容疑者(CITY BY THE SEA)
（2002年 アメリカ）（上映時間１時間48分）
監督・脚本・製作：マイケル・ケイトン＝ジョーンズ
出演：ロバート・デ・ニーロ、フランシス・マクドーマンド、ジェームズ・フ
ランコ、エリザ・ドゥシュク、ジョージ・ズンザ、ウィリアム・フォーサイス
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＜ストーリー＞
殺人犯の息子として育ったニューヨークの刑事ヴィンセント（ロバート・デ・
ニーロ）。かつて彼が別れた妻との間にもうけた息子のジョーイ（ジェームズ
・フランコ）が殺人事件の容疑者となる。何とか息子を保護しようとするヴィ
ンセントだったが……。
＜レビュー＞
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デ・ニーロとマクドーマンドの貫禄の演技が光る！でも、タイトルはねぇ〜
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天下のデ・ニーロとオスカー女優フランシス・マクドーマンド（『ファーゴ』
）の共演とくれば、これはもう観るしかないッ！
そんな気持で映画館へ向かったこの作品。派手さはまったくないものの、安定
した演出もあって、想像以上に見応えがありました。 (^-^)
今回、デ・ニーロが扮するのはニューヨーク市警の刑事ヴィンセント。といっ
ても、かなり変わった境遇で、父親は彼が幼い頃に幼児を誘拐して殺した罪で
死刑になった。つまり殺人犯の息子という過去を持つ男。
しかも、14年前には結婚生活に破れ、息子のジョーイとも音信不通になってい
た。
そんなある日、麻薬の密売人の殺人事件を捜査するうちに、なんとそのジョー
イが容疑者として浮上。さらに、別の容疑も彼にふりかかって……。
最初にチラッとストーリーを聞いた時にゃ、「なんだかテレビのサスペンスド
ラマみたいだなぁ〜」と思ってしまったのですよ。
ですが、実際に観てみると、これがなかなか深い、深い。
まず、なんといっても良いのがデ・ニーロです。
屈折した過去を振り捨て、今は恋人のミッシェルと新しい人生を始めている。
そんな時に突きつけられたのが別れた息子の殺人容疑。満足に父親役を果たし
てこなかった悔恨の情があるだけに、息子のことが心配で仕方がない。
だが、一方で刑事という仕事柄、彼を逮捕しないわけにはいかない。
父親と刑事という２つの立場の間で揺れ動く彼のジリジリした思いが、こちら
にもしっかりと伝わってきました。デ・ニーロの額のシワが一段と深いぜ！
やがて事件が公になり、マスコミはヴィンセントの父の事件を持ち出して、「
殺人者の血」などと書き立てます。
さらに、息子ジョーイに子供がいることがわかり、「父とヴィンセント」「ヴ
ィンセントと息子ジョーイ」「ジョーイと彼の息子（ヴィンセントの孫）」と
いう４代に渡る親子関係が、ドラマに様々な波紋を投げかけます。
さて、フランシス・マクドーマンド演じる恋人ミッシェルは、こうした展開の
中で、ヴィンセントに父親の情や過ぎ去った幸せな日々を思い起こさせる役割
を果たします。２人の会話シーンはそれほど多くないけれど、さすがに深みが
ありますねぇ〜。２人とも貫録タップリの演技です。 (*^。^*)
そして、事件は意外な方向に転がりだします。あれあれあれ……。
でも、まぁサスペンスとしちゃあ、それほどたいした展開ではない。
その代わり、親子の人間ドラマは見応え十分。
特にヴィンセントとジョーイとのぎこちなく、せつない、久しぶりの再会シー
ンは、とっても印象に残りました。
クライマックスでの親子の熱い熱い対決（？）シーンも迫力満点。デ・ニーロ
の語る重みのある言葉がグイグイと胸を突いてきます。
息子ジョーイ役のジェームズ・フランコの熱演ぶりも見もの。彼は『スパイダ
ーマン』で、トビー・マグワイアの友人役だったそうですが、孤独で痛々しい
青年を見事に演じていました。
余韻を残したエンディングもなかなかのものでしたが、個人的にはフランシス
・マクドーマンドをラストでも絡ませたほうがよかったかなと……。途中で消
えちゃったのは残念ですね。
それに、犯罪ミステリーとして全体にやや弱い感じがするのも残念。親子の人
間ドラマが中心なので、仕方のない面はあるけれど、もうちょっとどこかでひ
とヒネリあったほうが楽しめたと思う。 (~ヘ~)
ある意味、この映画を最も象徴するシーンは、オープニングかもしれません。
美しい海辺の街ロング・ビーチ。だが、それは今の姿ではなく、かつてヴィン
セントが妻や子とともに暮らしていた頃の姿。バックに流れるオールディーズ
とセピアがかった映像が、もう二度と戻らない幸せな日々を連想させます。そ
れがとっても甘酸っぱい。 (>_<")
そんな過去を持つ親子の悲しい関係を、繊細に、そして情感豊かに描いた感動
のドラマ。本格的なサスペンスファンには物足りないかもしれませんが、人間
ドラマを好む方にはオススメできます。
ただし、オススメできないのが邦題。どこかの新聞にも書いてありましたが。
『容疑者』ってのはいかがなものか？
安易に英語のタイトルをそのまま持ってこなかった意欲は買うけれど、もうち
ょっと何とかして欲しかったですね。 (｀ヘ´)
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆（+1／2★）
（ちなみに、これ実話をベースにした話だそうです。え！ホント？）
＜ぽち＞