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３０年後の同窓会（LAST FLAG FLYING）
（2017年 アメリカ）（上映時間2時間5分）
監督：リチャード・リンクレイター
出演：スティーヴ・カレル、ブライアン・クランストン、ローレンス・フィッ
シュバーン、Ｊ・クィントン・ジョンソン、ユル・ヴァスケス、シシリー・タ
イソン
＊TOHOシネマズシャンテほかにて公開
ホームページ http://30years-dousoukai.jp/
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＜ストーリー＞
バーを営むサル（ブライアン・クランストン）のもとに、かつてベトナム戦争
でともに戦った旧友のドク（スティーヴ・カレル）が30年ぶりに現れる。ドク
はサルと、同じく戦友で今は牧師になったミューラー（ローレンス・フィッシ
ュバーン）に、１年前に妻に先立たれ、2日前にはイラク戦争で息子が戦死した
ことを打ち明ける。そして、息子の軍葬に立ち会ってくれるように依頼するの
だが……。
＜レビュー＞
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戦友３人の笑えて切なくてちょっぴり苦いロードムービー
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30年ぶりに再会した戦友3人によるロードムービーです。原作は、ハル・アシュ
ビー監督、ジャック・ニコルソン主演で1973年に公開された名作『さらば冬の
かもめ』の原作者ダリル・ポニックサンが2005年に発表した小説。それを『恋
人までの距離（ディスタンス）』『６才のボクが、大人になるまで。』のリチ
ャード・リンクレイター監督が映画化しました。脚本もリンクレイター監督と
ポニックサンが共同で手掛けています。
時代は2003年。バーを営むサルのもとに、かつてベトナム戦争でともに戦った
旧友のドクが30年ぶりに現れます。ドクはサルを伴って、同じく戦友で今は牧
師になったミューラーのもとを訪ねます。2人に対してドクは、１年前に妻に先
立たれ、2日前にはイラク戦争で息子が戦死したことを打ち明けます。そして、
息子の軍葬に立ち会ってくれるように依頼します。
主役3人のキャラが際立った映画です。酒びたりで独身のサルは、おしゃべりで
ジョークばかり言います。妻と息子を相次いで亡くしたドクは、悲しみに沈ん
だままです。牧師のミューラーは旅に乗り気でなく不機嫌。彼らを演じるブラ
イアン・クランストン、スティーヴ・カレル、ローレンス・フィッシュバーン
がいずれも絶品の演技を見せます。
おかげで3人の旅は爆笑珍道中。リンクレイター監督の映画らしく、移動しなが
らのセリフのやり取りを中心に展開しますが、そのセリフが抜群に面白い。3人
のキャラを生かした笑いが次々に飛び出します。同時に深みのあるセリフも散
りばめられて、心にジンワリとくる場面があちこちにあります。
3人はかつての軍隊生活で楽しい思い出を共有し、それを懐かしく思っています。
その一方で、過酷な戦場に放り込まれ、そこで多くの仲間を失ってもいます。
そうしたことから、過去を忌み嫌ってもいます。その相反する2つの思いが、さ
らにドラマに深みと哀愁を漂わせます。
この映画はシビアな現実も突きつけます。ドクの息子は戦場で英雄的に死んだ
わけではなく、悲惨な死に方をしていたことがわかります。それを知ったドク
は、アーリントン墓地への埋葬を拒否して、遺体を故郷に連れ帰ることにしま
す。それが3人の旅の発端になります。それらを通して戦争の愚かさや悲惨さ、
9.11以降のアメリカの息苦しさまで伝わってきます。
爆笑の旅を繰り広げつつ、少しずつ心が変化し、昔の絆を取り戻す3人。もちろ
んお互いに年をとり失ったものもたくさんありますが、それでも前を向こうと
します。ベトナム戦争中に心に引っかかっていたある出来事にも落とし前をつ
けた3人は、ついにドクの家に着きます。ラストには心を揺さぶる仕掛けが用意
されています。そこには苦みや切なさも漂います。
3人のベテラン俳優たちの演技、リンクレイター監督の味わい深い語り口によっ
て、単なる旧友再会映画とは違う魅力を持つ作品になっています。深い余韻が
残りました。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（88点）
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2018年6月9日（土）TOHOシネマズシャンテにて。午後1時20分の回
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