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500ページの夢の束（PLEASE
STAND BY）
（2017年 アメリカ）（上映時間1時間33分）
監督：ベン・リューイン
出演：ダコタ・ファニング、トニ・コレット、アリス・イヴ、リヴァー・アレ
クサンダー、マイケル・スタール＝デヴィッド、ジェシカ・ロース、マーラ・
ギブス、ジェイコブ・ワイソッキ、パットン・オズワルト、ロビン・ワイガー
ト
＊新宿ピカデリーほかにて公開
ホームページ http://500page-yume.com/
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＜ストーリー＞
家族と離れて施設で暮らす自閉症のウェンディ（ダコタ・ファニング）は、
「スター・トレック」が大好きで、趣味で脚本を書いていた。そんなある日、
彼女は「スター・トレック」の脚本コンテストが開かれることを知り、応募し
ようと考える。だが、郵送では締め切りに間に合わないことに気づいたウェン
ディは、直接届けようとして無断で施設を抜け出し、後をついてきた愛犬ピー
トとともにロサンゼルスを目指して旅に出るのだが……。
＜レビュー＞
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「スター・トレック」への熱い思いで自分を変えた自閉症の女性の旅
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姉妹で活躍するダコタ＆エルのファニング姉妹。姉のダコタ・ファニングが自
閉症の女性という難しい役を演じた映画です。
自閉症の女性ウェンディは、施設でソーシャルワーカーのスコッティの支援を
受けながら暮らしています。彼女は人と話すのが苦手。自分のことが自分でで
きない。物忘れが激しい。そしてときどき感情のコントロールが効かなくなっ
てしまう。そんな症状を抱えています。
そこで彼女を自立に導くために、スコッティは毎日規則正しい生活を課してい
ました。起床から就寝まですべてルーティンに沿って行動。曜日ごとに着る
セーターの色も決まっています。
そんな中、ウェンディには唯一の楽しみがありました。「スター・トレック」
の大ファンで、趣味で脚本を書いていたのです。ある日、「スター・トレッ
ク」の脚本コンテストが開かれることを知ったウェンディは、自ら書いた脚本
を応募しようと考えます。
ところが、郵送では締め切りに間に合わないことに気づいたウェンディは、自
分で直接脚本を届けることを決意。早朝に無断で施設を抜け出して、ロサンゼ
ルスのパラマウント・ピクチャーズを目指します。
そこからはウェンディのロードムービーが展開します。彼女の後をついてきた
愛犬ピートも一緒に旅をします。しかし、その旅は苦難の連続。何しろ彼女は、
人とうまくコミュニケーションが取れず、生活の基本も単独ではうまくこなせ
ません。ほとんどのことが初めての体験なのです。
そんなハラハラドキドキの経験を重ねるウェンディの心理を、ベン・リューイ
ン監督はリアルに見せていきます。ダコタ・ファニングの迫真の演技もあって、
自閉症のことをよく知らなくても、まるで自分がウェンディになったかのよう
な気持ちを味わってしまいます。
というわけで、一歩間違えば深刻で重いタッチになりがちな映画ですが、全編
にユーモアをまぶしているのが大きな特徴。その中心になるのが「スター・ト
レック」ネタ。特に終盤の「スター・トレック」好きの警官とウェンディとの
奇妙な会話は爆笑モノ。
中盤からのロードムービーでは、ソーシャルワーカーのスコッティと姉オード
リーも大きな役割を果たします。ウェンディの行方を必死で追う2人。それを通
してスコッティは、今までのウェンディに対する接し方が良かったのかどうか
自問自答します。また、同行した「スター・トレック」好きの息子との絆も強
めていきます。
一方、姉のオードリーは、ウェンディに対する愛を再確認していきます。実は
彼女は母の死後ウェンディの面倒を見ていたのですが、自身が妊娠したことな
どから施設に預け、再び引き取ることを躊躇していました。その心が次第に変
化します。
そして何よりも大きく変化したのがウェンディです。それまで自分に自信を持
てず、明確な自己主張ができなかったウェンディが、旅を通じて変化していき
ます。
家族の絆で締めくくるラストも心地よいもの。観終わって爽やかな気持ちにな
って、心がポカポカと温まりました。同時に、強い思いで前に進んだウェンデ
ィの姿が、多くの人に勇気を与えてくれそうな映画です。
≪ぽちの満足度≫
★★★★☆
（90点）
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2018年9月9日（日）新宿ピカデリーにて。午後12時45分の回
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