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あの頃、君を追いかけた
（2018年 日本）（上映時間1時間54分）
監督：長谷川康夫
出演：山田裕貴、齋藤飛鳥、松本穂香、佐久本宝、國島直希、中田圭祐、遊佐
亮介
＊TOHOシネマズ日比谷ほかにて全国公開
ホームページ http://anokoro-kimio.jp/
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＜ストーリー＞
高校生の水島浩介（山田裕貴）は、クラスの悪友たちとバカなことばかりして
能天気な高校生活を楽しんでいた。ある日、そんな浩介の態度に怒った教師は、
彼をクラス一の優等生・早瀬真愛（齋藤飛鳥）の前の席に座らせて、真愛にお
目付け役を命じる。中学時代から仲間たちのマドンナ的存在だった真愛。その
真面目さに反発しつつも、少し心がときめく浩介だった。やがて教科書を忘れ
た真愛のピンチを浩介が救ったことをきっかけに、2人は距離を縮めていくのだ
が……。
＜レビュー＞
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甘酸っぱくて、切ない台湾の青春映画を忠実にリメイク
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台湾の青春映画のリメイク版です。オリジナルは台湾の作家、ギデンズ・コー
が自作の自伝的小説を2011年に映画化し、日本でもヒットした作品。
今回のリメイク版。人物のキャラ設定やストーリー展開、エピソードの数々が
そっくりです。舞台となる高校の制服をはじめ、細かなディテールもかなり似
通っているし、ドラマを映すカメラワークまでそっくり。
劇中では、どう考えても台湾としか思えない異国情緒あふれる風景も登場。主
人公たちの受験風景では、みんなが半袖の夏服を着ていますが、それもオリジ
ナルに合わせたもののようです。ここまでオリジナルに忠実なリメイクも珍し
い。
大人になった主人公が、高校生時代を振り返る形でドラマが始まります。前半
は、お気楽な高校生活を送る水島浩介とクラスのマドンナ的存在の優等生・早
瀬真愛を中心に、高校生たちのキラキラした青春の日々を生き生きと綴ってい
ます。
マンガチックで笑える場面もあったりします。たとえば、浩介は自宅で全裸で
過ごします。「何だコイツは？」と思ったら、父ちゃんも全裸だった……など
というオチ（これもオリジナルと同じ）に思わず笑わせられます。ちなみに生
田智子演じる母ちゃんは、ちゃんと服を着ています（笑）。
浩介と真愛は距離を縮めるものの、そのままお気楽に恋人関係に突入したりは
しません。お互いに「自分に自信が持てない」「本当の私を知ったら嫌われる
かも」などと微妙な心理を抱えて、その関係は遅々として進展しません。
そんな2人に対して、もどかしさを感じると同時に、「そうだよなぁ。初恋って
あんなものだよなぁ」と共感し、自分の過去ともリンクして甘酸っぱさがこみ
あげてきます。
そして高校卒業。浩介や真愛が仲間とともに海に遊びに行くシーンが、とびっ
きり輝いています。それ以外にも印象深いシーンがたくさんある映画です。も
ちろん、その多くはオリジナルを踏襲したものですが。
卒業後、彼らはそれぞれの道を歩み出します。そんな中、離れて暮らすことに
なった浩介と真愛ですが、それでも微妙な関係は続きます。久しぶりに再会し
た2人が、お互いの気持ちを書いた気球を飛ばすシーンが心に染みます。まさに
胸キュンのシーン。
しかし、それでも2人が恋人になることはありません。小さなすれ違いが決定的
な亀裂に発展してしまいます。
その後、疎遠になった2人が地震をきっかけに、連絡を取り合うエピソードもオ
リジナル通り。そして、ラストの結婚式でのユーモラスで微笑ましいエピソー
ドもまた然り。
というわけで本当に何から何までオリジナル通りだけに、さすがに驚きはない
ものの、「甘酸っぱくて、切なくて、ノスタルジックな青春映画」というオリ
ジナルの魅力が、そのまま受け継がれているのは間違いありません。
時間が経って青春時代を振り返った時に、「あの時ああだったら……」という
思いは誰もが持つのではないでしょうか。そんなちょっぴり苦い思いと共鳴し
て、心を揺さぶられてしまう映画です。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（85点）
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2018年10月16日（火）池袋シネマ・ロサにて。午前10時50分の回
[「あ」のページ]
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