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ボヘミアン・ラプソディ（BOHEMIAN RHAPSODY）
（2018年 イギリス・アメリカ）（上映時間2時間15分）
監督：ブライアン・シンガー
出演：ラミ・マレック、ルーシー・ボーイントン、グウィリム・リー、ベン・
ハーディ、ジョセフ・マッゼロ、エイダン・ギレン、トム・ホランダー、アレ
ン・リーチ、マイク・マイヤーズ、アーロン・マカスカー、ダーモット・マー
フィ
＊TOHOシネマズ日比谷ほかにて全国公開
ホームページ http://www.foxmovies-jp.com/bohemianrhapsody/
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＜ストーリー＞
空港で働くフレディ・マーキュリー（ラミ・マレック）は、ブライアン・メイ
（グウィリム・リー）、ロジャー・テイラー（ベン・ハーディ）たちと出会い、
バンド"クイーン"を結成する。同時に、フレディは「運命の人」と呼ぶメア
リー・オースティン（ルーシー・ボーイントン）と巡り合う。クイーンは、ロ
ックとオペラを融合させた『ボヘミアン・ラプソディ』などの名曲を生み出し
成功を収めるのだが……。
＜レビュー＞
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圧巻のステージを再現した伝説のバンドの軌跡
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伝説のバンド"クイーン"の軌跡とリード・ヴォーカルのフレディ・マーキュ
リーの人生を描いた映画。
まずは場内に流れる20世紀ＦＯＸのファンファーレ。それが、完全にクイーン
のサウンドにアレンジされています。何という心憎い演出！
映画は、チャリティ・イベント"ライブ・エイド"の当日からスタート。家を出
て会場に向かい、スタンバイするフレディ・マーキュリー。
そこから時代をさかのぼって舞台は1970年のイギリスへ。若き日のフレディが
空港で働いています。インド系移民という出自と容姿によるコンプレックスを
抱えつつ、自分で曲を作り、いつかバンドを組む日を夢見ています。家に帰れ
ば母や姉とは良好な関係ですが、父親との間には確執があります。
フレディはバーに出かけてバンドの演奏を聴きます。その日の出演バンドを気
に入って、演奏終了後に声をかけます。そして、ブライアン・メイとロジ
ャー・テイラーと出会います。
出会いといえば、ここでもう一つの大きな出会いがあります。フレディは洋服
店の店員のメアリー・オースティンとそのバーで出会います。彼女こそがフレ
ディが「運命の人」と呼んだ女性です。
まもなくフレディ、ブライアン、ロジャー、そしてジョン・ディーコンの4人は
クイーンとして演奏活動を始めます。転機になったのは、車を売って金を捻出
して、レコーディングを行ったこと。たまたまそれを目にしたレコード会社の
関係者が彼らを評価し、メジャーデビューを果たします。
そんなふうに、バンドが栄光をつかむまでの経緯が、様々なエピソードととも
に描かれます。そこには興味深い裏話が満載。例えば、タイトルにもなってい
る『ボヘミアン・ラプソディ』という曲。レコード会社のボスが、今までと同
じような曲を求めたのに対して、フレディは断固拒否。ロックとオペラを融合
させた斬新な曲を完成します。しかし、６分という当時としては異例の長さに、
ラジオでかけられないとボスは猛反発。最初はマスコミの評価も散々でした。
クイーンの軌跡を描くのと並行して、フレディの壮絶な人生が描かれます。そ
の最大のポイントは、彼が同性愛者だということ。最初はメアリーと恋人同士
として過ごしていたフレディ。ところが、男性への関心に目覚めていきます。
そうなれば、普通はメアリーと別れるものですが、彼はそうしません。隣の家
に住まわせ、頻繁に連絡を取ります。
ある時、メアリーは新しい恋人（もちろん男性）を連れてフレディの前に現れ
ます。その時のフレディの態度が印象的。「何で他の男を連れてくるんだ
よ！」とでも言いたげな表情で、明らかに不機嫌になっています。とはいえ、
自分は異性としてメアリーと関係することができません。心と体の狭間で苦悩
し、複雑な感情が渦巻いています。
そしてフレディは孤独でした。生活は荒廃し、他のメンバーとの軋轢も表面化。
フレディのソロアルバムの話も絡んで、抜き差しならない状態へと突入してい
きます。
この映画の特徴は、音楽で多くのことを語らせている点。純粋なドラマ部分だ
けを取り出せば、物足りなく感じるかもしれません。それが音楽と一体化する
ことで、なまじのドラマよりも奥深い世界が広がります。フレディの苦悩にし
ても、よりリアルに伝わってくるのです。
何せ登場するのは名曲ばかり。それらの楽曲は、基本的にクイーンの原曲を使
っています。歌声も基本はフレディの歌声。だから、役者たちはそれに合わせ
て演技したり、演奏をするわけです。しかし、不自然さはまったくありません。
圧巻はラストの21分。冒頭にも登場した"ライブ・エイド"のステージが再現さ
れます。しかも完全再現です。ここでも、メンバーを演じた役者たちのなりき
りぶりが半端ではありません。フレディがエイズにかかり、余命わずかである
ことも手伝って、まさに感涙もののステージが展開します。
クイーンの楽曲を十二分に生かし、ドラマと見事に融合させた音楽伝記映画で
す。クイーン好きでなくても、きっと楽しめるはず。
≪ぽちの満足度≫
★★★★☆
（90点）
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2018年11月15日（木）ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午後1時50分の回
[「ほ」のページ]
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