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ボーダーライン ソルジャーズ・デイ
（SICARIO: DAY OF THE SOLDADO）
（2018年 アメリカ）（上映時間2時間2分）
監督：ステファノ・ソッリマ
出演：ベニチオ・デル・トロ、ジョシュ・ブローリン、イザベラ・モナー、ジ
ェフリー・ドノヴァン、マヌエル・ガルシア＝ルルフォ、マシュー・モディー
ン、イライジャ・ロドリゲス、デヴィッド・カスタニェーダ、キャサリン・
キーナー
＊新宿ピカデリーほかにて全国公開
ホームページ http://border-line.jp/
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＜ストーリー＞
アメリカ国内で自爆テロが発生し、犯人の不法入国にメキシコの麻薬カルテル
が関わっている疑いが浮上する。それを受けてアメリカ政府は、CIA工作員マッ
ト・グレイヴァー（ジョシュ・ブローリン）に麻薬カルテル壊滅の極秘ミッシ
ョンを命じる。マットは旧知の暗殺者アレハンドロ（ベニチオ・デル・トロ）
に協力を依頼する。2人は麻薬カルテル同士の抗争を誘発するために、敵対する
カルテルの仕業と見せかけて麻薬王カルロスの娘イサベル（イザベラ・モ
ナー）を誘拐するのだが……。
＜レビュー＞
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コワもて2人が競演するスリリングでリアルなクライム・アクション
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アメリカとメキシコ国境をはさんで繰り広げられる壮絶な麻薬戦争の実態を描
き、アカデミー賞で3部門にノミネートされた『ボーダーライン』の続編です。
前作はエミリー・ブラント演じるFBI女性捜査官ケイト・メイサーが主人公。メ
キシコの麻薬組織壊滅を目的とする特殊チームにスカウトされた彼女が、正義
のために行動するものの、善悪の狭間で葛藤するという物語でした。
しかし、今回の主役は違います。ベニチオ・デル・トロ、ジョシュ・ブローリ
ンとくれば、どちらもコワもてのアクの強い俳優。その2人が演じるCIA特別捜
査官マット・グレイヴァーと、コロンビア人の殺し屋アレハンドロがこの映画
の主人公。こりゃあ、どう考えても前作以上にアクの強い映画になるわけです
よ。
ドラマの発端はアメリカ国内で発生した自爆テロ。その犯人の不法入国にメキ
シコの麻薬カルテルが関わっている疑いが浮上。アメリカ政府はマットに麻薬
カルテル壊滅の極秘ミッションを命じます。マットは旧知の暗殺者アレハンド
ロに協力を依頼。2人は麻薬カルテル同士の抗争を誘発するために、敵対するカ
ルテルの仕業と見せかけて麻薬王の娘イサベラを誘拐します。
前作同様にヒリヒリするような緊張感とリアルさに包まれた映画です。まるで
自分が現場に放り込まれたかのようです。不気味な音楽もそれを煽り立てます。
前半のハイライトは砂塵地帯での攻防戦。イサベルを帰すために車を走らせる
マットやアレハンドロたち。空からの監視体制もバッチリで慎重に車を進めま
す。しかし、まもなく舗装道路が尽きて、砂煙がもうもうと舞う中での走行に
なり、一気に事態は変わります。いつ敵が襲ってくるかわからない緊張感に包
まれて、予測不可能な世界が現出。そして、ついに……。
激しい銃撃戦の中、イサベラは逃走してしまいます。アレハンドロはマットと
別れて、1人で彼女を探すことにします。まもなくイサベラを発見しますが、そ
こからは国境越えを目指した2人の風変わりな逃避行が始まります。
というわけで、今回も背筋ゾクゾクものの恐さを見せるベニチオ・デル・トロ
とジョシュ・ブローリン。ただし、今回のベニチオは違った側面も見せます。
彼が扮するアレハンドロとイサベラとのさりげない心の触れ合いが見られます。
非情な殺し屋がなぜ麻薬王の娘を助けるのか？ そこには彼の過去が関係して
います。アレハンドロはもともと検事として麻薬組織を追求していました。そ
れがもとで組織の恨みを買い、ボスの手下によって家族を皆殺しにされたので
す。
イサベラとの逃避行の途中で、アレハンドロは聾者の男と出会い、手話で会話
をするシーンがあります。彼女の殺された娘も聾者だったというのです。麻薬
王に対する憎しみを持ち続ける一方で、殺された娘の親でもあるアレハンドロ
は、麻薬王の娘イサベラに複雑な感情を持っています。その果てに彼女を捨て
置けないと考えたのでしょう。そのあたりの複雑な心理も過不足なく描かれて
います。
一方、ジョシュ・ブローリン扮するマットも葛藤を抱えます。メキシコ警察を
敵に回した砂煙の中での戦いが原因で、アメリカ政府は作戦を中止するととも
に、証拠隠滅のためマットにアレハンドロとイサベルを消すことを命じるので
す。さあ、どうするマット？
終盤もすさまじいスリルが襲いかかります。アレハンドロとイサベル、マット、
そして麻薬組織が絡み合って、国境地帯での壮絶なバトルが展開。ここもまた
現場に自分がいるかのようなリアルさです。そして観終わると、ホンモノのワ
ルに思えたマットとアレハンドロが、実は血も涙もある人間だということがよ
くわかります。このあたりも、今回の新機軸と言えるかもしれません。
しかし、まあ、ベニチオ・デル・トロとジョシュ・ブローリンの貫禄の演技と
きたら。そこにいるだけで絵になるのですから。それだけでも観る価値のある
映画だと思いました。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（88点）
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2018年11月17日（土）ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午後2時20分の回
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