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カメラを止めるな！
『カメラを止めるな！』
（2018年 日本）（上映時間1時間36分）
監督・脚本・編集：上田慎一郎
出演：濱津隆之、真魚、しゅはまはるみ、長屋和彰、細井学、市原洋、山崎俊
太郎、大沢真一郎、竹原芳子、吉田美紀、合田純奈、浅森咲希奈、秋山ゆずき、
山口友和、藤村拓矢、イワゴウサトシ、高橋恭子、生見司織
＊ユーロスペースほかにて公開
ホームページ http://kametome.net/
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＜ストーリー＞
山奥の廃墟で、ある自主映画の撮影隊がゾンビ映画を撮影していた。だが、そ
こに本物のゾンビが登場して役者やスタッフは恐怖のどん底に突き落とされる
……。
＜レビュー＞
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安っぽいゾンビ映画かと思ったら意外な裏事情のドラマに転化
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もともとは都内2館だけの上映だったのが、口コミで評判が広まり、全国で拡大
公開された異例のヒット映画です。
実は、この映画には仕掛けがあります。前半と後半でまったくタイプの違う構
成になっています。
前半は完全なゾンビ映画。山奥の廃墟で、ある自主映画の撮影隊がゾンビ映画
を撮影しています。ところが、そこに本物のゾンビが登場します。役者やスタ
ッフは恐怖のどん底に突き落とされます。
正直、前半は観るに堪えない映画でした。全編ワンカットの映像はユニークで
すが、全体のつくりがチープだし、役者も大根揃い。何だか妙なシーンもたく
さんあります。
ところが、後半は一変します。実は、前半で登場したゾンビ映画は、新たに開
局したゾンビ専門チャンネル製作による番組。しかも、それは37分ワンカット
の生中継という無茶苦茶な企画だったのです。
後半に描かれるのは、撮影に臨むまでの準備期間に、ディレクターの日暮やス
タッフ、役者たちが巻き起こす、すったもんだの大騒ぎ。赤ん坊連れでリハに
来る女優など、クセのありすぎる人々が勢ぞろいして、あれやこれやと問題を
起こします。そこには元女優の日暮の妻、映画監督志望の娘なども絡んできま
す。そのドタバタが面白くて素直に笑ってしまいました。
その後に描かれるのは、問題の撮影当日の様子。前半のゾンビ映画の流れに沿
って、その裏側で何が起きていたのかが明らかにされます。襲いくる数々のト
ラブルに必死で対処する役者やスタッフたち。
ここでワンシーンワンカットの生中継という設定が、抜群の効果を発揮します。
何しろ中継を途切れさせることはできません。まさにタイトル通りに「カメラ
を止めるな！」という状況下で、撮影隊の面々がとる珍妙かつ必死の行動が笑
いを誘います。前半のゾンビ映画を観た時に、「あれ？」「何これ？」と思っ
た場面について、なぜそうなったのかも明らかにされます。
クライマックスのクレーンカメラをめぐる大トラブルでは、撮影隊の絆と映画
愛を綴る心憎い締めくくり。深い人間ドラマなどはありませんが、エンタメと
して楽しい映画なのは間違いありません。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（86点）
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2018年8月21日（火）TOHOシネマズ日本橋にて。午後7時30分の回
[「か」のページ]
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