ダンガル きっと、つよくなる(DANGAL)
(2016年 インド)(上映時間2時間20分) 監督:ニテーシュ・ティワーリ
出演:アーミル・カーン、ファーティマー・サナー・シャイク、サニャー・マ
ルホートラ、ザイラー・ワシーム、スハーニー・バトナーガル、サークシー・ タンワル、アパルシャクティ・クラーナー
*TOHOシネマズシャンテほかにて全国公開 ホームページ http://gaga.ne.jp/dangal/
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<ストーリー>
レスリングの有望選手でありながら、生活のために金メダルの夢を諦めたマハ
ヴィル(アーミル・カーン)。その夢をまだ見ぬ息子へ託そうとするが、生ま
れたのは4人とも女の子だった。落胆するマハヴィルだったが、ある日、長女
ギータ(幼少期:ザイラー・ワシーム、青年期:ファーティマー・サナー・シ
ャイク)と次女バビータ(幼少期:スハーニー・バトナーガル、青年期:サニ
ャー・マルホートラ)が、男の子とケンカして圧倒したことを知り、2人の格闘
センスを確信する。翌日からギータとバビータにスパルタ特訓を始めるマハヴ ィルだったが……。
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インドのスポ根ドラマ。理不尽オヤジと姉妹の絆が感動を呼ぶ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
インド発の実話をもとにした涙と感動のスポ根ドラマです。
レスリングの有望選手でありながら、生活のために金メダルの夢を諦めたマハ
ヴィル。彼は自分に息子ができたら、その夢を託そうと考えていました。しか し、生まれてきたのは4人とも女の子。
落胆するマハヴィルでしたが、ある日、長女ギータと次女バビータが、男の子
とケンカして相手をボコボコにしたことを知り、2人に格闘センスがあることを 確信。翌日からギータとバビータにスパルタ特訓を始めます。
そこからは完全に「巨人の星」の展開。星一徹状態のマハヴィルが、2人の娘に
有無を言わせずスパルタ訓練を課します。それがまあ常軌を逸した訓練で、ラ
ンニングやレスリングの基礎訓練はもちろん、川に飛び込ませたり、反抗する と髪の毛まで切ってしまいます。
それはもはや人権問題だろう! と思ったりもするわけですが、それによって
娘たちの健気さ、かわいらしさがよけいに引き立って、観客は彼女たちに圧倒
的な同情の念を抱くのですから、なかなかよく考えられた展開です。
おまけに、けっして重たいタッチの映画ではありません。むしろユーモアも散
りばめた生き生きとした描写が目立ちます。いわゆるコテコテのインド映画に 比べれば控えめですが、音楽も効果的に使われています。
それにしてもマハヴィルを演じるアーミル・カーンがスゴイ。『きっと、うま
くいく』『PK』など、映画ごとにまったく違う姿を見せる役者ですが、今回
は冒頭では筋肉ムキムキのいかにもレスラー風体型で登場。ところが、ドラマ
が進んで年をとるとお腹の突き出た中年太り男に大変身。まるで別人です。何 でもこの映画では30キロ近く体重を増減させたとか。
無理やりスパルタ訓練を課されていた娘たちが、あることから自ら進んでス
ポーツに打ち込むようになる……という展開もスポ根ドラマの定番。ただし、
その「あること」というのが、同世代の女の子のひと言だというのが面白いと
ころ。それは「あなたたちは幸せよ。私なんか家事ばっかりやらされて、14歳
になったら知らない男と結婚させられて子育てするのよ!」というもの。
その言葉によって、彼女たちの成長はそのまま女性差別との戦いにつながるの
です。大会に出場しようとする姉妹に対して、周囲は冷笑して相手にしません。 その壁に父とともに挑み、2人はそれをぶち破っていきます。
トレーニングや試合シーンが本格的なのも、この映画の大きな魅力。幼少期と
青年期の姉妹を演じた4人の役者が、いずれも素晴らしい熱演です。
後半は、父と娘のすれ違いと絆の強さが大きなテーマになります。姉のギータ
は国内大会で優勝して代表選手になります。新たなコーチも絡んで、自立への 道を歩みます。
一方、父は寂しさを抱えつつ、妹バビータのトレーニングに力を注ぎ、彼女は どんどん強くなっていきます。
ところが、ギータはスランプに陥り、それをきっかけに父と娘は再び絆を取り 戻します。
クライマックスは国際大会の舞台。ギータの初戦、準決勝、決勝の試合が、手
に汗握るスリリングさと迫力で描かれます。その中でも、決勝については明確
な位置づけが示されます。それはインド中の女性の自立と、女性差別との戦い に対する応援歌です。
理不尽な父ちゃんの暴走劇は、やがて父娘の強い絆のドラマとなって最後には
観客を涙と感動の渦に巻き込みます。さらにインドの女性をめぐる社会問題も 織り込むなど見応え満点の映画です。
≪ぽちの満足度≫ ★★★★☆ (91点)
(田中ひろあき)
〔鑑賞データ〕 2018年4月6日(金)TOHOシネマズシャンテにて。午後1時10分の回
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