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ゲティ家の身代金（ALL THE MONEY IN THE WORLD）
（2017年 アメリカ）（上映時間2時間13分）
監督：リドリー・スコット
出演：ミシェル・ウィリアムズ、クリストファー・プラマー、マーク・ウォー
ルバーグ、チャーリー・プラマー、ロマン・デュリス、ティモシー・ハットン、
チャーリー・ショットウェル、アンドレア・ピーディモンテ、キット・クロン
ストン、マヤ・ケリー
＊りTOHOシネマズ日比谷ほかにて全国公開
ホームページ http://getty-ransom.jp/
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＜ストーリー＞
1973年、世界一の大富豪として知られた石油王ジャン・ポール・ゲティ（クリ
ストファー・プラマー）の17歳の孫ポールが、ローマで誘拐される。だが、ゲ
ティは犯人が要求する身代金1700万ドルの支払いを拒否する。ポールの母親ゲ
イル（ミシェル・ウィリアムズ）は離婚してゲティ家から離れ、自ら身代金を
払う経済的余裕はなかった。息子を救い出すために、ゲイルは脅迫してくる誘
拐犯のみならず、支払いを拒否するゲティとも戦うことになる……。
＜ストーリー＞
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ハラハラの犯罪サスペンスと大富豪をめぐる人間ドラマ
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大ベテランのリドリー・スコット監督が、1973年に世界中で大きな話題になっ
た大富豪の孫の誘拐事件を描いた実録ドラマです。
事件の発端はローマ。17歳の青年ポールが誘拐されるところからドラマが始ま
ります。直後に描かれるのは彼の祖父ジャン・ポール・ゲティの成り上がりの
経緯。彼はサウジアラビアから石油を輸入したのをきっかけに石油王となり、
世界一の大富豪として知られるようになったのです。
続いて、このドラマの主人公であるポールの母ゲイルの身の上が描かれます。
彼女はゲティの息子と結婚したものの、どうしようもない夫に愛想を尽かし、
離婚します。その際に彼女は、「金は一銭もいらないから子供たちの養育権を
よこせ」と要求。息子と娘と暮らすようになるものの、ゲティ家を離れたこと
によって金銭的には苦しい状況に追い込まれます。そんな中で起きた誘拐事件
です。
前半で描かれるのは、大富豪ゲティの並外れた守銭奴ぶり。ポールを誘拐した
犯人たちは、身代金として1700万ドルを要求します。しかし、ゲティは断固と
して支払いを拒否します。彼は孫が嫌いなわけではありません。しかし、金は
特別な存在。どんな理由があろうとも儲からない投資などしないのです。
一方、ゲイルには自ら身代金を払う経済的余裕はありません。何が何でもゲテ
ィから金を引き出すしかないわけです。息子を救い出すために、ゲイルは脅迫
してくる誘拐犯のみならず、支払いを拒否する大富豪ゲティとも戦うことにな
ります。
この映画には犯罪サスペンスと同時に、大富豪ゲティ家をめぐる葛藤を描いた
人間ドラマの側面があります。大富豪ゲティとゲイルの人間ドラマでは、ゲテ
ィを演じる88歳の大ベテラン、クリストファー・プラマーとゲイルを演じるミ
シェル・ウィリアムズの演技が観応え満点。
実は、ゲイル役はもともとケヴィン・スベイシーが演じていたのですが、例の
セクハラ問題で降板。急遽クリストファー・プラマーが起用されて、短期間で
撮り直したそうです。しかし、これが結果的に成功でした。銭ゲバ男のギラギ
ラ感に加え、憐れみや哀しみも漂うのはクリストファー・プラマーなの演技の
おかげでしょう。
それに対するミシェル・ウィリアムズも素晴らしい熱演。愛する息子を取り戻
すために、執念でゲティに迫り、あの手この手で金を引き出そうと奮闘します。
ゲイルが派遣した元ＣＩＡの男チェイスが次第にゲイルに肩入れするようにな
ったり、犯人の一人まで情にほだされていくのも納得の大迫力の演技です。
そんなゲティとゲイルの人間ドラマを描きつつ、犯罪サスペンスとしての面白
さをきちんと担保するリドリー・スコット監督。ハラハラドキドキの場面がた
くさん飛び出し、最初から最後まで目が離せません。終盤もいったん大団円と
思わせて、再びハラハラを仕掛ける心憎い展開。そして、銭ゲバじいさんの寂
しい末路を描いて哀愁を漂わせます。
犯罪サスペンスとしてのスリル、迫力は一級品。マネーに支配された人々の人
間模様も織り込みつつ、完成度の高いエンタメ映画に仕上げています。さすが
リドリー・スコット監督です。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（87点）
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2018年5月27日（日）池袋シネマ・ロサにて。午後12時35分の回
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