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時間回廊の殺人（HOUSE OF THE DISAPPEARED）
（2017年 韓国）（上映時間1時間40分）
監督：イム・デウン
出演：キム・ユンジン、オク・テギョン、チョ・ジェユン
＊シネマート新宿ほかにて公開。全国順次公開
ホームページ http://jikankairou.com/
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＜ストーリー＞
1992年11月11日。ある古い家で殺人事件が発生。ミヒ（キム・ユンジン）の夫
が殺され、息子が行方不明になる。ミヒは夫と息子を殺害した罪で逮捕され、
無実を訴えるものの裁判で懲役30年が求刑される。それから25年後、仮釈放さ
れたミヒは、息子を捜す手がかりを求めて事件現場となった家に戻るが、そこ
で何者かの気配を感じ取る。一方、元受刑者のケアにあたるチェ神父（オク・
テギョン）は、頑なに心を閉ざすミヒの過去を調べるうちに、その家にまつわ
る驚きの過去を突き止める……。
＜レビュー＞
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サスペンス・ミステリー＋ホラー＋ＳＦを母の愛で包む
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日本でもヒットした1999年の『シュリ』でヒロインを演じ、その後はアメリカ
のテレビシリーズ「LOST」に出演したキム・ユンジン。『国際市場で逢いまし
ょう』以来、3年ぶりに出演した韓国映画です。
舞台となるのは古い家。そこに住むのはミヒとその夫、そして2人の子供。1992
年11月11日。ミヒが気を失って倒れていたミヒ。意識が戻ると家の中が何やら
普通でない様子。地下室に下りてみると、そこには夫の死体が。そして長男は
ミヒが姿を見た次の瞬間に、姿を消してしまいます。ミヒは夫と息子を殺害し
た罪で逮捕され、無実を訴えるものの裁判で懲役30年が求刑されます。
事件から25年後、ミヒは仮釈放されます。彼女は、行方不明の息子を捜す手が
かりを求めて事件現場となった家に戻ります。そんな彼女のもとを元受刑者の
ケアにあたるチェ神父が訪ねてきます。
そこからは現在のドラマと、過去のドラマが交互に描かれます。ドラマの大枠
は殺人＆失踪事件をめぐるサスペンスミステリー。同時にホラー的な要素もあ
ります。
過去のパートでは、ミヒたちが住む家に正体不明の侵入者が出現します。怖く
なったミヒが地相鑑定士に家を見てもらうと「この家には問題がある！」と逃
げ帰ってしまいます。さらに今度は巫女を呼ぶと驚愕の出来事が起きます。
一方、現在のドラマでも、刑務所から戻ったミヒは何者かの気配を感じ取りま
す。そんなミヒが頑なに心を閉ざすのを見たチェ神父は、25年前の事件がミヒ
の心を縛り付けていると感じて、その真相を調べ始めます。その結果、その家
にまつわる驚きの過去を突き止めます。
ドラマが進むにつれてどんどんホラー色が濃くなります。古い家で心霊現象や
怪奇現象が起きて、ミヒを怖がらせます。地下室の謎の扉の存在をはじめ道具
立てはバッチリ。不気味で妖しく背筋をゾクゾクさせるような雰囲気の作り方
も巧み。ホラー映画としての壺をキッチリ押さえています。
だが、この映画の真骨頂はそこから。チェ神父が調べた「11月11日」にまつわ
る数々の出来事。それをふまえて、現在パートではついに今年の11月11日がや
ってきます。同時に過去パートでは25年前の11月11日に何が起きたかが描かれ
ます。
途中からすでに先の読めない展開に突入していたドラマは、予想もしない展開
へと突き進みます。それまでの現在と過去が入り乱れ、まったく違う世界が現
出。そこで、それまでの数々の伏線をキッチリと回収する見事さ。
おまけにラストに提示されるのは、圧倒的な母の愛です。それまでのすべての
ドラマを母の愛で包み込んで、ラストで一気に爆発させます。
サスペンス・ミステリー、ホラー、そしてＳＦ的世界まで縦横無尽に行き来す
る大胆なドラマでありながら、ラストは王道の母の情愛を示して、観客を感動
の境地に引きずり込んでしまう。規格外の凄い映画です。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（88点）
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2018年3月17日（土）シネマート新宿にて。午後2時5分の回
[「し」のページ]
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