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検察側の罪人
（2018年 日本）（上映時間2時間3分）
監督・脚本：原田眞人
出演：木村拓哉、二宮和也、吉高由里子、平岳大、大倉孝二、八嶋智人、音尾
琢真、大場泰正、谷田歩、酒向芳、矢島健一、キムラ緑子、芦名星、山崎紘菜、
松重豊、山崎努
＊TOHOシネマズ日比谷ほかにて全国公開
ホームページ http://kensatsugawa-movie.jp/
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＜ストーリー＞
東京地検刑事部のエリート検事・最上（木村拓哉）のもとに、若手検事・沖野
（二宮和也）が配属される。２人は都内で発生した老夫婦殺人事件を担当する。
そこで最上は、被疑者の一人である松倉（酒向芳）という男に激しく反応する。
最上は今回の事件は松倉の犯行だと主張。それを受けて、沖野は松倉から自白
を引き出すべく取り調べに力を入れるのだが……。
＜レビュー＞
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「正義とは何か」をめぐって激突する木村拓哉と二宮和也
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雫井脩介のミステリー小説の映画化。監督・脚本は『クライマーズ・ハイ』
『わが母の記』『日本のいちばん長い日』など様々な映画を撮ってきた原田眞
人。
全体の構成は3章立て。冒頭で描かれるのは検察官の卵たちの研修風景。受講者
の中に沖野がいます。彼らを前にして、講師の東京地検刑事部のエリート検
事・最上が正義について説きます。その言葉が、この映画全体の展開に大きく
かかわってきます。
それからしばらくして、最上のもとに沖野が配属されてきます。そんな中、都
内で老夫婦殺人事件が発生し、最上と沖野はこの事件を担当することになりま
す。
この映画には、犯人捜しのミステリーとしての側面もありますが、それ以上に
大きいのが「正義とは何かを」をめぐる社会派ミステリー。最上は殺人事件の
犯人が松倉という男だと主張します。その背景にはすでに時効を迎えた未解決
殺人事件があります。松倉はその重要参考人でした。しかも、その事件は最上
の過去と深くかかわっています。だから、最上はどんな形でも松倉を罰しなけ
ればいけなかったのです。それが最上にとっての正義というわけです。
最大の注目点は、やはりキムタクＶＳ二宮和也の対決。二宮演じる沖野の見せ
場は取り調べシーンです。得体の知れない闇ブローカー諏訪部との虚々実々の
駆け引き、そして何といっても殺人事件の被疑者・松倉との迫力のやり取り。
最初は冷静沈着に松倉に迫る沖野ですが、その後は感情を前面に出して激しく
松倉に迫ります。鬼気迫る壮絶なシーンです。
一方、キムタク演じる最上は、どうしても松倉を罰したいものの、どうやら情
勢は不利。そこで彼がとるのは仰天の行動。己が信じる正義のために、彼はど
んどん暴走していきます。その表情には狂気さえ感じさせます。
ただし、その過程では、精神的な弱さや自らの決断に対するためらいなどもチ
ラチラと垣間見せます。ヒーローイメージの強いキムタクが演じる意外性もあ
って、その演技には思わず引きつけられてしまいます。
やがて最上の様子から異変を感じ取った沖野は、ついに彼と決別します。彼が
追求したかったのは、あくまでも「真実」です。こうして最上の正義と沖野の
真実がぶつかっていきます。
ラストは心憎いシーン。静かで熱い最上と沖野の対決が用意され、その後に哀
しい結末が提示されます。二宮の慟哭がいつまでも心に響く余韻の残るラスト
です。
ただし、ドラマはそれ以外にもあります。例えば、最上の旧友の丹野代議士を
めぐる事件、最上の崩壊しかけた家庭の話、諏訪部と最上をつなぐ戦時中のイ
ンパール作戦の話などなど。沖野の事務官の橘が、実はある目的で検察に潜入
していた、などというエピソードまで登場。
こうした錯綜する様々な内容を、原田監督は巧みにそしてダイナミックにまと
めているのですが、やや消化不良気味なところがあるのも事実です。
とはいえ、全体的にはキムタクＶＳ二宮の対決をはじめ、濃厚で観応え十分の
映画だと思います。内容盛りだくさんなので、置いてきぼりを食わないように
注意して観ましょう。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（88点）
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2018年8月25日（土）ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午後2時10分の回
[「け」のページ]
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