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去年の冬、きみと別れ
（2018年 日本）（上映時間1時間59分）
監督：瀧本智行
出演：岩田剛典、山本美月、斎藤工、浅見れいな、土村芳、Mummy-D、利重剛、
小林且弥、山田明郷、堀内正美、林泰文、永倉大輔、毎熊克哉、松田珠希、菊
地麻衣、大山蓮斗、辻大樹、佐藤貢三、円城寺あや、でんでん、北村一輝
＊丸の内ピカデリーほかにて全国公開
ホームページ http://wwws.warnerbros.co.jp/fuyu-kimi/
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＜ストーリー＞
結婚を間近に控えたフリーライターの耶雲恭介（岩田剛典）は、盲目の女性が
亡くなった不可解な焼死事件のスクープ記事を狙っていた。耶雲は事件の容疑
者となったカメラマンの木原坂（斎藤工）に接近し、取材を重ねて真相に迫る。
だが、そんな中で婚約者の百合子（山本美月）が木原坂の危険な罠にはまって
しまう……。
＜レビュー＞
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おぞましい殺人事件をめぐる驚愕のストーリー
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芥川賞作家・中村文則の小説を映画化したサスペンス・ミステリー。
盲目の女性が焼死し、彼女を監禁・殺害した容疑でカメラマンの木原坂が逮捕
されます。しかし、姉・朱里が手配した弁護士の力もあり、木原坂が重罪に問
われることはありませんでした。やがて耶雲恭介というフリーライターが、そ
の不可解な焼死事件のスクープ記事の企画を雑誌に持ち込みます。
前半は、耶雲が取材を重ねて真相に迫る様子が描かれます。木原坂本人に接近
し、様々な角度から事件について問いただすと同時に、彼に関わりのあった人
間からの証言を集めます。そんな中から、不気味で謎めいた木原坂の素顔が浮
かび上がります。そして、木原坂と姉の朱里の幼少時に起きた恐ろしい事件に
ついても謎が浮上します。
実のところ、このあたりまでのストーリーに奇抜さはありません。児童虐待に
起因するある事件、それによってゆがんだ姉弟の性質と異常な関係性といった
ネタは、既視感たっぷりです。木原坂が耶雲の婚約者の百合子に接近する展開
も、十分に予想がついてしまいます。
しかし、後半に待っているのは驚愕の展開。ただ事件を追っていただけに見え
た耶雲自身にも大きな秘密があり、それが彼を動かす原動力になっていたこと
が明らかになります。そのあまりにもおぞましく周到な策略ときたら！！！
そうした真相を、耶雲が書いた本で種明かしする構図が効果的です。その中で、
そこまでに張られた数々の伏線が見事に回収されます。
このドラマの根底にあるのは純愛です。それを示す情感あふれるシーンも挟み
込まれます。とはいえ、数々の凄惨で恐ろしい出来事のせいで、素直に感動で
きるかどうかは微妙なところ。むしろこのドラマからは、人間の内面の悪魔性
が感じられます。
ただし、そうした人間の奥底にある闇や狂気、復讐心などについて深く掘り下
げている映画ではありません。それよりも驚愕のストーリー展開や、サスペン
スとしての面白さを追求することに注力しています。エンターティメントとし
て、シンプルに面白い映画だと思います。
役者も全体的に抑制的な演技で、この映画に合っています。主演の岩田剛典は
「EXILE」「三代目J Soul
Brothers」のパフォーマーだそうですが、アクのな
さが逆に底知れなさを感じさせる印象的な演技。浅見れいなの怖さ＆エロさ、
盲目の女性役の土村芳のピュアな演技もなかなかのものです。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（85点）
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2018年3月18日（日）ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午前11時40分の回
[「き」のページ]
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