レディ・バード(LADY BIRD)


(2017年 アメリカ)(上映時間1時間34分)
監督・脚本:グレタ・ガーウィグ
出演:シアーシャ・ローナン、ローリー・メトカーフ、トレイシー・レッツ、
ルーカス・ヘッジズ、ティモシー・シャラメ、ビーニー・フェルドスタイン、
スティーヴン・マッキンリー・ヘンダーソン、ロイス・スミス
*TOHOシネマズシャンテほかにて公開。全国順次公開
ホームページ http://ladybird-movie.jp/
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<ストーリー>
2002年、カリフォルニア州サクラメント。閉塞感漂うこの町でカトリック系の
高校に通うクリスティン(シアーシャ・ローナン)は、自分のことを「レデ
ィ・バード」と呼んでいた。口うるさい母親・マリオン(ローリー・メトカー
フ)とことあるごとに衝突してしまうクリスティは、大学進学を巡っても地元
に残って欲しい母親の願いに逆らって、大都会ニューヨークに行きたいと言い
出して騒動になる。そんな中、ダニーという男の子と親しくなるクリスティン
だったが……。

<レビュー>
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揺れ動く少女の高校生活を生き生きと描く
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『フランシス・ハ』『20センチュリー・ウーマン』などで見事な演技を見せて
いたグレタ・ガーウィグの初の単独監督作品。17歳の女の子の高校生活最後の1
年を描いた青春ドラマです。

舞台になるのは2002年のカリフォルニア州サクラメント。ガーウィグ監督自身
の生まれ故郷ということで、自伝的要素も盛り込まれた作品のようです。

映画が始まって間もなく、驚きのシーンが登場します。カトリック系の高校に
通う主人公クリスティンが、母のマリオンが運転する車に乗っています。日頃
から口うるさい母親とぶつかっていたクリスティンは、この日も大学進学をめ
ぐって口論になります。

その時にクリスティンがとった行動がスゴイ。なんと彼女は走る車のドアを開
けて、外に飛び出してしまうのです。このようにクリスティンは、時にエキセ
ントリックで予想もつかない行動をします。しかし、基本は、どこにでもいそ
うな普通の高校生。ただし、微妙なお年頃のせいもあってあちこちに心が揺れ
動きます。

クリスティンの現状を象徴するのが、自らを「レディ・バード」と称している
こと。鳥のように羽ばたきたいという思いが、そこに込められているのかもし
れません。そんな絶妙なクリスティンのキャラ設定が、観客の共感を呼びそう
です。

クリスティンの日常を、テンポよく、生き生きと描いていくガーウィグ監督。
友達やボーイフレンド、家族とのあれこれは、突飛な出来事ではなく、あの年
頃の女の子にありがちな出来事。それをキラキラとした青春の輝きとともに捉
えていきます。ユーモアもタップリ。笑えるネタが満載です。

その間も、母親との葛藤は続きます。母は当然ながらクリスティンのことを心
配して、口うるさく言うのですが、それでもクリスティンは反発します。2人と
も自我が強く似た者同士。親子だからこそぶつかってしまうわけです。このあ
たりも、多くの観客が経験することではないでしょうか。

進学をめぐって2人が対立する背景には、一家の経済状況もあります。それでも
クリスティンは自分の意思を通そうと奮闘します。同時に、友人やボーイフレ
ンドとの関係をはじめ、様々な失敗を糧に少しずつ成長していきます。

そしていよいよ卒業の時。そこから先の展開は伏せますが、ここも絶妙の仕掛
けです。「レディ・バード」からクリスティンへ戻り、故郷のありがたさを再
認識する彼女の姿を通して、温かな余韻を残してくれます。

クリスティンを演じたシアーシャ・ローナンは、すでに若くしてその演技力が
高く評価されていますが、今回もナチュラルで魅力的な演技を見せています。
母親役のローリー・メトカーフ、父親役のトレイシー・レッツ、友達役のビー
ニー・フェルドスタインなどの演技も印象に残ります。

≪ぽちの満足度≫

★★★★☆
(90点)

                                 (田中ひろあき)

〔鑑賞データ〕
2018年6月3日(日)TOHOシネマズシャンテにて。午後12時の回


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