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パティ・ケイク＄（PATTI CAKE$）
（2017年 アメリカ）（上映時間1時間49分）
監督・脚本・音楽：ジェレミー・ジャスパー
出演：ダニエル・マクドナルド、シッダルト・ダナンジェイ、ブリジット・エ
ヴァレット、マムドゥ・アチー、キャシー・モリアーティ、マコール・ロンバ
ルディ、パトリック・ブラナ、ディラン・ブルー、ウォーレン・バブ、ワス・
スティーヴンス、サー・ンガウジャー
＊ヒューマントラストシネマ渋谷ほかにて公開
ホームページ http://www.patticakes.jp/
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＜ストーリー＞
ニュージャージーの寂れた町で、酒に溺れた元ロック歌手の母バーブ（ブリジ
ット・エヴァレット）と車椅子の祖母ナナ（キャシー・モリアーティ）と暮ら
す23歳のパティ（ダニエル・マクドナルド）。ラップ歌手O-Zに憧れ、ラップで
の成功を夢みるが、現実にはつらい日々が続く。そんな中、同じくラッパーを
目指す親友のジェリや謎のギタリストのバスタードとユニットを組み、デモＣ
Ｄを制作するのだが……。
＜レビュー＞
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ダメダメな女の子のラップにかける青春
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ダメダメな女の子が大好きなラップで成功を目指すドラマ。サンダンス映画祭
で話題を集めたそうです。
主人公はニュージャージーに住む23歳のパティ。元ロック歌手の母バーブは酒
浸り。祖母ナナは車いす生活。必然的に生活は彼女の肩にかかり、掛け持ちで
仕事をするが貧乏暮らしが続きます。おまけに、パティはかなりの太め。その
ため「ダンボ」と呼ばれて周囲から嘲笑されています。
だが、彼女はめげません。ラップが大好きで、ラップ歌手O-Zに憧れ、自分もラ
ップでの成功を夢見ています。同じくラッパーを目指す親友でドラッグストア
で働くジェリのサポートも受けて、日々詩を書き、ラップにのめりこむ日々。
そんな彼女の心の内を、ぶっ飛んだ映像も交えて描くジェレミー・ジャスパー
監督。O-Zが登場する夢のシーンや、ラップ中に空中浮遊するシーンなど、なか
なか面白い仕掛けです。
ある日、謎のギタリストのバスタードと知り合ったパティは、ジェリと3人でユ
ニットを組み、デモＣＤを制作します。そこにはたまたまその場にいた祖母の
ナナも加わります。様々なアイデアで曲を仕上げていくその過程には、音楽映
画としての醍醐味が詰まっています。
そうやって、つらい日々の中でも前を向くパティを、ジャスパー監督は生き生
きと描いていきます。それを観ているうちに、観客は自然に彼女を応援したく
なってくるはず。
その後、パティは大きな挫折を味わい、ラップを捨てます。しかし、終盤に待
ち受けているのは大逆転劇。一生懸命にラップを極め、デモＣＤをつくり、売
り込みをかけていた彼女の努力が、意外な形で実を結ぶのです。
クライマックスは新人コンテストでの迫力のステージ。そこで歌われるのは、
まさに等身大の彼女の生き様。キラキラと輝くパティ。しかも、そこでは彼女
と母バーブとの音楽の絆まで見せてくれます。これで感動しない人はいないで
しょう。
周囲から嘲笑され、母親にも認められていなかったパティが最も望んでいたの
は、「誰かから認められる」ということ。それをついに実現させたラストが、
心地よい余韻を残してくれます。
大枠は定番ストーリーなのに、それをこれだけ魅力的な映画にするのだから大
したものです。おかげで、「一生懸命やっていればいつか夢はかなう」などと
いう一見陳腐なメッセージが、素直に受け止められてしまいました。
主人公のパティを演じたダニエル・マクドナルドの健気で真っすぐな演技が見
事。それと対照的に、いかにも不幸な人生を送ってきた女性のヤサグレ感たっ
ぷりの演技見せるブリジット・エヴァレット、祖母ナナ役のキャシー・モリ
アーティの演技も味わいがあります。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（89点）
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2018年4月28日（土）ヒューマントラストシネマ渋谷にて。午後12時10分の回
[「は」のページ]
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