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トレイン・ミッション（THE COMMUTER）
（2018年 アメリカ・イギリス）（上映時間1時間45分）
監督：ジャウマ・コレット＝セラ
出演：リーアム・ニーソン、ヴェラ・ファーミガ、パトリック・ウィルソン、
ジョナサン・バンクス、エリザベス・マクガヴァン、フローレンス・ピュー、
サム・ニール
＊TOHOシネマズ日比谷ほかにて全国公開
ホームページ http://gaga.ne.jp/trainmission/
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＜ストーリー＞
10年間勤めてきた保険会社を突然リストラされた元警官のマイケル・マコー
リー（リーアム・ニーソン）。いつもの通勤電車で帰路につくが、車内で見知
らぬ女から話しかけられる。その女は「乗客の中からある人物を捜し出せば10
万ドルを払う」と告げる。高額な報酬に惹かれ、さらに妻子が人質にされてい
ることが判明したマイケルは、後戻りできないところまで追い詰められてしま
う……。
＜レビュー＞
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列車での謎の人捜しをスリリングに見せる
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ジャウマ・コレット＝セラ監督と主演のリーアム・ニーソンが『アンノウン』
『フライト・ゲーム』『ラン・オールナイト』に続いてコンビを組んだ作品。
主人公は保険会社に勤めるマイケル・マコーリー。映画の冒頭では、彼が毎朝
起床して、家族と食事し、通勤電車で会社に行くシーンが描かれます。ですが、
どうも様子が変。どうやら1日の出来事ではなく、別々の日の光景を組み合わせ
ているらしい。おそらく毎日同じことを繰り返してきたマイケルの10年間の通
勤風景を、端的に表現しているのでしょう。こうした細かな工夫が、あちこち
に施された映画です。
ところが、マイケルは会社を突然リストラされてしまいます。住宅ローンを抱
え、息子の学費を確保しなければならない彼は茫然とします。そのマイケルが
会社を出たところを、高所から見下ろすショットが印象的。彼のショックと戸
惑いを的確に表現しています。
こんなふうに映像が素晴らしい映画です。アクションシーンのド迫力のカメラ
ワーク、怪しさや不安定さを煽る手持ちカメラなど、その場その場にふさわし
い映像を巧みに使い分けます。
マイケルは、いつもの通勤電車で帰路につきます。だが、そこでとんでもない
出来事が起きます。車内でマイケルの前に現れたジョアンナと名乗る見知らぬ
女が、「トイレの中にお金がある。乗客の中からある人物を捜し出せば10万ド
ルの報酬を支払う」と告げたのです。
女はすぐに姿を消しますが、マイケルがトイレに行ってみると、確かにお金が
あります。会社をリストラされて金に困っているマイケルは、高額な報酬に惹
かれて、とりあえず人捜しを始めます。そんな中、妻子が人質にされているこ
とが発覚。これでマイケルは謎の女性の依頼を受けざるを得なくなります。
前半は、列車の車内という密室を効果的に使い、人捜しに奔走するマイケルの
姿がスリリングに描かれます。乗客は約100人。その中から1人の人物を見つけ
なければいけません。
実はマイケルは元警官。この設定がいろんな場面で効いてきます。彼は座席の
背もたれに挟み込まれた切符などをヒントに、ターゲットを絞っていきます。
しかし、なかなか問題の人物を特定できません。
おまけにマイケルは監視されています。どうやら敵の仲間が乗客の中に混じっ
ている模様。列車の車内外では、この一件に絡んだ殺人事件まで起きます。い
ったい誰が敵で誰が味方なのか。そして、なぜ彼らは問題の人物を捜させるの
か。謎が謎を呼び、一瞬も目が離せません。
はかどらない人捜し、犯人からの脅迫、乗客からの嫌疑の視線にさらされ、戸
惑い、焦り、怒るマイケル。その心中がリアルに伝わってきます。確かな演技
力を持つリーアム・ニーソンが、貫禄の演技を見せます。そして、近年のリー
アム・ニーソンといえば、やっぱりアクション！ 格闘バトルから列車の連結
器での大ピンチまで、アクションがテンコ盛りで詰まっています。
途中までは、サスペンス・ミステリー＋アクションといった趣の展開。そして、
終盤は列車パニックアクションの様相を呈します。脱線の危機を前にしたハラ
ハラドキドキの展開。
それがひと段落した後に、さらなるスリルが襲ってきます。そこから浮かび上
がる事件の大きな背景と、予想外の敵側の人物。それまでに張られた数々の伏
線が見事に回収されていきます。
濃密かつスリリングな106分。観客を楽しませるという点で、実にグレードが高
い作品です。文句なしに面白い映画でした。
≪ぽちの満足度≫
★★★★☆
（90点）
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2018年3月31日（土）池袋シネマ・ロサにて。午後12時15分の回
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