|
若い女（JEUNE FEMME）
（2017年 フランス）（上映時間1時間37分）
監督・脚本：レオノール・セライユ
出演：レティシア・ドッシュ、グレゴワール・モンサンジョン、スレマン・セ
イ・ンジャイェ、ナタリー・リシャール、レオニー・シマガ、エリカ・サント、
オドレイ・ボネ、ジャン＝クリストフ・フォリー、フィリップ・ラスリー
＊ユーロスペースほかにて公開。全国順次公開
ホームページ http://www.senlis.co.jp/wakai-onna/
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
＜ストーリー＞
パリで暮らす31歳の女性ポーラ（レティシア・ドッシュ）は、10年付き合った
恋人に捨てられてしまう。お金も家も仕事もない彼女は、恋人の飼い猫を抱え
てパリの街を転々とする。だが、気ままな性格が災いして、友人宅からも安宿
からも追い出され、疎遠だった母親にも拒絶されてしまう。なんとか住み込み
のベビーシッターのバイトを見つけ、ショッピングモールの下着屋でも働き始
めるのだが……。
＜レビュー＞
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
恋人に捨てられた面倒で痛い女が魅力的になる不思議
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
レオノール・セライユ監督が、2017年のカンヌ国際映画祭のカメラ・ドール
（新人監督賞）を受賞した映画です。
冒頭からビックリのシーンが登場。一人の女がある家の前で大声でわめき、悪
態をつき、ドアに頭をぶつけて額をケガします。
続いて、またしてもこの女がわめき散らし、悪態をつくシーンが映し出されま
す。相手は運ばれた先の病院の医者。いったい何なのだ？ この女は。
彼女の名前はポーラ。31歳。10年付き合った年上のカメラマンの恋人に捨てら
れ、家を追い出されてしまったのです。病院を出た彼女は再び恋人の家に向か
います。しかし、相手にされないと悟ると家の外にいた恋人の飼い猫を連れて
行ってしまいます。
そんなポーラを観ていると。「コイツ、面倒で痛い女だなァ」と思ってしまい
ます。「これじゃあ、恋人に捨てられてもしょうがいなかも……」なんてこと
まで思ってしまいます。
お金も家も仕事もないポーラは、猫を抱えてパリの街を転々とします。パーテ
ィーに潜入して飲み食いしたり、他人の家に泊めてもらおうとしたり。しかし、
知人宅からも安宿からも追い出されてしまいます。
このあたりも、ポーラのメチャクチャさが目立ちます。相変わらず彼女は痛い
女のまま。ところが、その後は雰囲気が少しずつ変化してきます。彼女の多様
な表情がチラチラと見えてくるのです。
やがてポーラは、住み込みのベビーシッターのバイトを見つけ、同時にショッ
ピングモールの下着店でも働くようになります。ベビーシッターのバイトでは、
最初は生意気な子供に手を焼くものの、少しずつ心を通わせていきます。
一方、下着店の仕事では、同僚の男性と知り合い、猫を預かってもらうなどし
て距離を縮めていきます。
こうして新たな人生を歩み出したかに見えたポーラですが、その先には思いも
よらぬ運命が待っています。そこで彼女は難しい決断を迫られます。
終盤になる頃には、最初とは違ってポーラが魅力的に見え、共感したり、応援
したくなってきます。エキセントリックで幼稚な彼女ですが、それでも彼女な
りに一生懸命に生き、悩み、苦しんでいることが理解できるからです。そして、
映画のラストでは、ポーラの自立と前進をクッキリと印象付けます
主演のレティシア・ドッシュの演技が素晴らしい。最初の頃と終盤の印象がま
ったく違ってしまうのですから。不思議な魅力を持つ女優だと思います。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（87点）
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2018年8月27日（月）ユーロスペースにて。午後12時15分の回
[「わ」のページ]
|
|