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ワンダー 君は太陽（WONDER）
（2017年 アメリカ）（上映時間1時間53分）
監督：スティーヴン・チョボスキー
出演：ジュリア・ロバーツ、オーウェン・ウィルソン、ジェイコブ・トレンブ
レイ、マンディ・パティンキン、ダヴィード・ディグス、イザベラ・ヴィドヴ
ィッチ、ダニエル・ローズ・ラッセル、ナジ・ジーター、ノア・ジュープ、ミ
リー・デイヴィス、ブライス・ガイザー、エル・マッキノン、ソニア・ブラガ
＊ＴＯＨＯシネマズ日本橋ほかにて全国公開
ホームページ http://wonder-movie.jp/
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＜ストーリー＞
顔に障害を抱えて、27回も手術を受けてきた10歳の少年、オギー（ジェイコ
ブ・トレンブレイ）。幼い頃から母イザベル（ジュリア・ロバーツ）と自宅学
習を続けてきたが、イザベルは夫ネート（オーウェン・ウィルソン）の反対を
押し切って、5年生の新学期から学校に通わせることを決意する。初めのうちは
同級生から好奇の目を向けられ、孤立してしまうオギーだが……。
＜レビュー＞
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難病の子どもと周囲の人々の苦悩と成長を多面的に描く
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全世界で800万部以上を売り上げたというR・J・パラシオの小説の映画化。予告
編を観た時には、よくある難病モノの涙腺決壊映画かと思っていました。とこ
ろが、実際は違っていました。確かに泣けるのは泣けるのですが、押し付けが
ましさはまったくなし。しかも、難病の主人公を描くだけでなく、より幅広い
人々のドラマになっていたのです。
主人公は10歳の少年、オギー。最初に彼の独白によって、生まれてから今日ま
での経緯が紹介されます。オギーは、遺伝性の難病でこれまでに27回も手術を
してきました。日常生活は普通に遅れるものの顔に障がいが残ったこともあっ
て、幼い頃から母イザベルと自宅学習を続けてきました。彼が宇宙飛行士のヘ
ルメットをかぶっているのは、宇宙飛行士に憧れているという理由もあります
が、それ以上に他人に顔を見られたくないからです。
そんな中、イザベルは夫ネートの反対を押し切って、5年生の新学期からオギー
を学校に通わせることを決意します。登校前の夏休みに、オギーは学校へ顔を
出します。そこには優しく理解ある校長先生がいます。また、3人の同級生が案
内役として学校の中を案内してくれます。上々の学校生活の滑り出しに見えた
のですが……。
登校初日、オギーに対して多くの生徒が好奇の目を向けます。からかい程度で
露骨なイジメなどはないのですが、そこには厳然として壁が存在します。それ
に対してオギーは戸惑い、傷つきます。
こうして何度も困難な目に遭いながら、オギーは少しずつそれを乗り越えて成
長していきます。そんな彼の学校生活の光と影の両面が瑞々しく描かれます。
彼が好きな『スター・ウォーズ』のチューバッカを出現させるなど、ファンタ
スティックなシーンもあります。ユーモアもたっぷり。
オギーを演じたジェイコブ・トレンブレイの巧みな演技も見ものです。2015年
の『ルーム』で外の世界を知らないままに育った子供の役を見事に演じていま
したが、今回も出色の演技です。
そして、この映画で最も驚かされたのが、途中で何度かオギー以外が主人公に
なったドラマが描かれること。姉ヴィア、その友達のミランダ、オギーと最初
に友達になったジャスティンなどのドラマです。
例えば、姉ヴィアのドラマを描くパートでは、一家の生活がいつもオギーを中
心に回り、常に「良い子」でいなくてはならなかった彼女の苦悩が綴られます。
そして、高校で新たな出会いやチャレンジを重ねて、成長していく姿も描かれ
ます。そうです。この映画は難病を抱えたオギーだけでなく、その周囲の人々
の苦悩と成長もくっきりと刻まれた映画なのです。
正直なところ、あまりにもきれいごとすぎる世界のようにも思えます。しかし、
観ているうちはそれも気になりません。むしろ、この映画にはその方がふさわ
しく思えてきます。
ラストの修了式でのシーンも素晴らしい。例の校長先生が、実に良い味を出し
ています。そしてオギーのはじけんばかりの笑顔。これで感動できない人はい
ないのでは？ 実に温かくて心地よい世界が存在する映画です。
≪ぽちの満足度≫
★★★★☆
（90点）
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2018年6月15日（金）ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午前11時40分の回
[「わ」のページ]
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