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ブラック・クランズマン（BLACKKKLANSMAN）
（2018年 アメリカ）（上映時間2時間8分）
監督：スパイク・リー
出演：ジョン・デヴィッド・ワシントン、アダム・ドライヴァー、ローラ・ハ
リアー、トファー・グレイス、コーリー・ホーキンズ、ライアン・エッゴール
ド、ヤスペル・ペーコネン、アシュリー・アトキンソン、ポール・ウォル
ター・ハウザー
＊TOHOシネマズシャンテほかにて公開
ホームページ http://bkm-movie.jp/
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＜ストーリー＞
1970年代前半のアメリカ。コロラド州のコロラドスプリングス警察署初の黒人
刑事となったロン・ストールワース（ジョン・デヴィッド・ワシントン）は、
白人至上主義団体「ＫＫＫ」のメンバー募集の新聞広告を見つけ、自ら電話を
掛ける。電話の相手の支部代表に、自分が黒人差別主義者の白人男性だと思い
込ませることに成功するが、面接に行くわけにもいかず、ロンは同僚の白人刑
事フリップ・ジマーマン（アダム・ドライヴァー）に協力を依頼する。こうし
て黒人のロンと白人のフリップがコンビを組み、潜入捜査が開始されるのだが
……。
＜レビュー＞
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スパイク・リー監督による極上の社会派エンタメ
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『ドゥ・ザ・ライト・シング』『マルコムX』など、アメリカの黒人差別を様々
な視点から告発してきたスパイク・リー監督。今回の作品も根底にはそうした
姿勢があります。同時に極上のエンターティメント映画にもなっています。
黒人刑事が白人至上主義団体「ＫＫＫ（クー・クラックス・クラン）」に潜入
捜査した実話を描いた元刑事によるノンフィクションが原作です。
意表をついた形で映画が始まります。冒頭に登場するのは、映画「風と共に去
りぬ」の一シーン。続いて、ある学者の差別的な言辞が描かれます。実は、こ
れこそがＫＫＫの思想的な源流なのです。
続いてドラマが始まります。1970年代前半のアメリカ。1人の黒人青年ロン・ス
トールワースが、コロラド州のコロラドスプリングス警察署初の黒人刑事にな
ります。しかし、彼に与えられたのは資料室の仕事。しかも、そこで黒人に対
する差別的な言動に直面します。
それに不満を持ったロンは配転を直訴。すると、与えられたのは黒人たちの集
会への潜入捜査。仕事で参加したものの、カリスマ指導者クワメ・トゥーレの
演説に思わず共感してこぶしを掲げるロン。そこで集会を組織した学生たちの
リーダーの女子学生パトリスと出会います。
まもなく、ロンはたまたま見かけたＫＫＫのメンバー募集の新聞広告を見つけ、
自ら電話を掛けます。いかにも自分が黒人差別主義者の白人であることを装っ
て話します。すると電話の相手の支部代表は、すっかりそれを信じ込んでしま
います。とはいえ、黒人のロンが彼らに会いに行くわけにはいきません。そこ
で、ロンは同僚の白人刑事フリップ・ジマーマンに協力を依頼。こうして黒人
のロンとフリップがコンビを組んで、潜入捜査が開始されます。
笑える映画です。特にＫＫＫのメンバーたちとロンとの電話のやりとりが最高
に面白い。彼らは黒人のロンを黒人差別主義者の白人であると信じて疑いませ
ん。「黒人は話し方でわかるんだ。あんたは絶対に白人だ」とまで言い切るの
です。何という皮肉！
潜入捜査もののドラマだけに、ハラハラドキドキのスリルもあります。ロンと
フリップのコンビによる潜入はかなり危険なもの。何度も身分がバレそうにな
ります。しかもＫＫＫのメンバーたちはユダヤ人も嫌っています。替え玉の警
察官というだけでなくユダヤ人でもあるフリップだけに、ますます危険を背負
っているわけです。
ロンとパトリスのラブロマンスもあります。ロンはパトリスに警官の身分を隠
しています。黒人たちにとって、警官とは差別丸出しの敵。それが2人のロマン
スを一筋縄ではいかないものにしています。
ＫＫＫの本部のリーダーが地元を訪れるところで、ドラマは大きな転機を迎え
ます。そこを起点に転がるクライマックスは、実にスリリングなもの。ＫＫＫ
たちによる集会と、黒人たちによる集会を交互に映し出します。
ラストもこれまた破格の面白さ。ある大きな出来事が起こった後に、観客がや
きもきしていたある人物の安否を明らかにし、さらに潜入捜査の行く末を示し
ます。そればかりか、その後にはまたまた大笑いの場面も用意。何だ？ この
凄まじいサービス精神は。
とはいえ、そこはスパイク・リー。最後にきっちり社会的メッセージを伝えま
す。2017年に起きた白人至上主義団体と差別反対派の衝突。それについて「双
方に非がある」と発言したトランプ大統領の映像。そこでは、トランプの「ア
メリカ・ファースト」がＫＫＫの主張と同じであることも暴露されます。
アカデミー賞作品賞を受賞した『グリーンブック』と何かと比較される本作。
ですが、両者は全くタイプが違うので比較は困難。どちらも黒人差別を描いた
素晴らしい映画です。
≪ぽちの満足度≫
★★★★☆（＋1／2★）
（93点）
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2019年3月28日（木）TOHOシネマズシャンテにて。午後7時の回
[「ふ」のページ]
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