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まく子
（2018年 日本）（上映時間1時間49分）
監督・脚本：鶴岡慧子
出演：山崎光、新音、須藤理彩、つみきみほ、村上純、橋本淳、内川蓮生、根
岸季衣、小倉久寛、草なぎ剛
＊テアトル新宿ほかにて公開
ホームページ http://makuko-movie.jp/
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＜ストーリー＞
温泉街で旅館を営む両親と暮らす小学５年生のサトシ（山崎光）は、心と体の
変化に戸惑い、大人になることに嫌悪感を持っていた。そんなある日、サトシ
の前に美少女の転入生コズエ（新音）が現われる。仲居として働き始めた母親
と一緒に旅館に住み込むことになった彼女は、「自分はある星から来た」と打
ち明けるのだが……。
＜レビュー＞
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大人になりたくない少年が出会った不思議な転校生
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直木賞作家・西加奈子の同名小説を、新鋭の鶴岡慧子監督が映画化した作品。
ドラマの舞台となるのは温泉街（ロケは群馬県の四万温泉で行われた模様）。
そこで旅館"あかつき館"を営む両親と暮らす小学５年生のサトシが主人公です。
サトシはちょうど思春期。自分の心と体の変化に戸惑い、大人になることに嫌
悪感を持っています。
そんなある日、サトシの前に転入生コズエが現われます。コズエは仲居として
働き始めた母親と一緒にあかつき館に住み込みます。美少女だがおかしな言動
をするコズエに戸惑うサトシ。すると突然コズエは、「自分はある星から来
た」と思いも寄らぬ秘密を打ち明けます。
いわゆるファンタジータッチで小学生の男の子の成長を描くドラマ。成長に戸
惑い、大人を嫌悪する彼が、いかにして変化や成長を受け入れるのか。
そこでカギになるのが異星人を自称する転校生の存在。彼女の星では「死」と
いうものがなく、成長も変化もないといいます。そんな彼女との交流を通して、
主人公のサトシが変わっていきます。
とはいえ、この転校生。仲居の母親ともども最初から宇宙人モード全開。個人
的な好みでいえば、最初はもう少し抑えめにしておいた方が、クライマックス
の光のシーンのインパクトが高まって、もっと余韻が残る気がするのですが。
コズエが楽しそうに行う「まく」行為も、テーマとの結びつきがイマイチしっ
くりこないように感じました。
この映画には、サトシとコズエの交流以外にも様々な要素があります。サトシ
の父の不倫、学校に来ない同級生、子供たちに漫画を読んでくれる風変わりな
大人、再生を象徴するらしい奇妙な祭り、はては放火事件まで起きます。それ
らの様々なものが混沌としたまま入り混じって、整理しきれていない感じがし
ます。
とまあ、ネガティブなことを言ってきましたが、もちろん良いところもたくさ
んある映画です。むしろ全体としては思春期映画としての魅力を十分に備えて
います。特に山崎光、新音をはじめ子役たちの好演もあって、少年少女たちの
瑞々しい描写が出色。恋心も含みつつ、コズエに対して微妙に揺らぐサトシの
心理が、手に取るように伝わってきました。
誰しも、ああいう年頃には、サトシと似たような思いを持った経験があるので
はないでしょうか。そんなかつての自分を思い起こして、グッとくる人も多い
ことでしょう。
映像も魅力的。温泉街の風景を活かしつつ、アニメなども使い、鮮度の高い映
像を繰り出します。鶴岡監督は、なかなかの感性の持ち主です。今後の活躍に
期待しましょう。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆
（80点）
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2019年3月18日（月）テアトル新宿にて。午後12時5分の回
[「ま」のページ]
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