|
THE 4TH KIND フォース・カインド（THE FOURTH KIND）
（2009年 アメリカ）（上映時間1時間39分）
監督・脚本：オラントゥンデ・オスサンミ
出演：ミラ・ジョボビッチ、ウィル・パットン、イライアス・コティーズ、ハ
キーム・ケイ＝カジーム、コーリイ・ジョンソン、エンゾ・シレンティ
＊丸の内ピカデリーほかにて全国公開
ホームページ http://www.the4thkind.jp/
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
＜ストーリー＞
アラスカ州ノームでは、不眠症を訴える人々が増え続けていた。不審に思った
地元の心理学者アビゲイル・タイラー博士は、彼らの不眠の理由を解明しよう
としていた。2000年10月、タイラー博士は患者に催眠療法を行い、その様子を
カメラに記録するのだが……。
＜レビュー＞
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
実在の（？）博士の証言と再現ドラマで描く恐怖の出来事
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
いわゆる超常現象をネタにした映画です。
ミラ・ジョボビッチ扮するアラスカ州ノームの心理学者アビゲイル・タイラー
博士の夫が何者かに殺害される事件が発生。そんな中、地元では不眠症の患者
が急増。彼らはみんな「深夜にフクロウを目撃した」と言うのでした。そこで
タイラー博士が、催眠療法で不眠の理由を解明しようとしたところ、実は彼ら
が見たのはフクロウではない別の「何か」であることが判明。そして、まもな
く彼らの身に恐ろしい出来事が起きます。そしてタイラー博士自身にも大変な
ことが……。
というわけで、ここでいったい何の話かバラしてしまいましょう。完全なネタ
バレなので、知りたくない方は次の１行は飛ばし読みしてください。
＜＜＜＜＜ 要するに「宇宙人が地球人を誘拐するお話」です。＞＞＞＞＞
まあ、ありがちなネタとはいえ、ミラの熱演や緊迫感漂う映像でそれなりに面
白い映画になっています。しかし、この手の超常現象ものとしても、サスペン
スものとしても、タイラー博士と子供たちの親子のドラマとしても中途半端。
パンチ不足です。何よりも、コワさが足りないのが致命的。これだけでは、ち
っともゾクゾクきません。
そこで、監督が考えたのが意表をついた仕掛け。なんとまあ、これはフィクシ
ョンではなく、実話に基づく再現ドラマだということにしたのです。そして、
本物のタイラー博士本人と監督とのインタビュー映像、そのタイラー博士が事
件当時に撮影した映像と録音した音声をあちらこちらに織り込んでいます。ミ
ラにも再現ドラマの主役であると同時に、ドキュメンタリーのナビゲーターと
いう役割を与えています。
これによってリアルさがド〜〜〜ンとアップ。不気味でコワイ映画に大変身し
ています。『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』『クローバーフィールド／HAK
AISHA』などとも似た仕掛けですが、あれよりももっとヒネリが効いています。
ウソを本当らしく見せるのも映画の持つ力。そういう点ではよくできた映画だ
と思います。
なに？ あれはウソじゃなくて本当だ？ タイラー博士は実在しているし、彼
女が撮った映像や録音した音声も本物だ？
いや、まあ、信じる信じないは個人の自由なので、そのへんはお好きにどうぞ。
こちらも、確信を持って真偽のほどを断言できる材料を持っているわけではな
いので。
それにしても、ミラの熱演以上にスゴイのが本物のタイラー博士を演じたオバ
サン。コワすぎます。まさに怪演です（もちろん作り事だという前提での話で
すが……）。彼女にインタビューしたオラントゥンデ・オスサンミ監督も大変
な役者です。
映画には本当にいろんな映画があることを実感させられる作品。ユニークな仕
掛けには脱帽です。
《ぽちの満足度》
★★☆☆☆（＋1／2★）
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆
（大したネタではないものの、味付けはなかなかのもの。宇宙人やＵＦＯ話が
好きな方はぜひどうぞ）
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2009年12月19日（土）池袋シネマ・サンシャインにて。午後2時40分の回
[「さ」のページ]〔「アルファベット」のページ〕 |