(500)日のサマー((500) DAYS OF SUMMER)


(2009年 アメリカ)(上映時間1時間36分)
監督:マーク・ウェブ
出演:ジョセフ・ゴードン=レビット、ズーイー・デシャネル、ジェフリー・
エアンド、クロエ・グレース・モレッツ、マシュー・グレイ・ガブラー、ク
ラーク・グレッグ、レイチェル・ボストン、ミンカ・ケリー
*TOHOシネマズシャンテ、シネクイントほかにて公開
ホームページ http://movies.foxjapan.com/500daysofsummer/
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

<ストーリー>
グリーティングカードの会社に勤めるトム(ジョセフ・ゴードン=レビット)
は、ある日、入社してきたサマー(ズーイー・デシャネル)に一目ぼれする。
だが、運命の恋を信じるトムに対して、サマーは真実の愛など信じない女の子。
それでも2人は友達として付き合うようになり、良好な関係が続いていく。と
ころが、そんな2人の関係にやがて変化が訪れて……。

<レビュー>
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
こんなラブコメ観たことない!?ユニークで笑える恋愛の顛末
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

運命の出会いや真実の愛を信じる青年トム。それとは正反対の風変わりな女性
サマー。そんな2人が出会って、少しずつ親しくなり、転機を迎えるまでの500
日間を描いたドラマです。ストーリー自体はありがちだけれど、ユニークな手
法を駆使して、他にはない映画に仕上がっています。ジャンル分けすればラブ
コメということになるのでしょうが、それだけではくくれない不思議な魅力を
持った映画です。

目線は完全にトムの男目線。500日間のうち、彼にとって印象的な出来事だけを
切り取って描いています。しかも、ときどき時間を前後させているところがユ
ニーク。そうやって時間をバラバラにすることで、同じ場所のシーンでも状況
が違ってくるのが面白いところ。

トムの心象風景の描き方もユニークです。サマーとの仲が進展したときの喜び
を街中のダンスシーンで表現したり(まるでミュージカル映画のよう)、画面
を2分割して自分が期待するシーンと現実とを同時に映したり、失意のトムを
フランス映画の登場人物に仕立てたり。そんな楽しい場面が満載。CMやミュー
ジック・クリップなどで活躍してきたマーク・ウェブ監督らしく、ポップでテ
ンポのよい映像が続きます。登場する音楽もザ・スミスをはじめセンスの良い
楽曲ばかり。

語り口はかなりシニカル。なにしろ最初に「これは恋物語ではない」と断って
しまっているんですから。勝手な思い込みで暴走したり、ちょっとしたことで
有頂天になったり、本人にとっては真剣でも周囲から見ればバカバカしいのが
恋愛。それを一歩引いて笑っちゃっている感じがたまりません。

風変わりなサマーに翻弄されつつも、それなりに順調だったトムの恋愛。しか
し、やがて暗雲が……。

はたして、2人の恋がどうなったかは内緒にしておきますが、最後のほうでサ
マーが「あなたの言うことは正しかった」と告げるのが印象的。「いまさら何
を」という感じですが、まあ、恋愛なんてそんなものでしょう。思い通りに行
くことなんてめったにないし、理屈だけじゃどうしようもないことだらけ。そ
んな恋愛の実像が、笑いの向こうからチラチラ見えてくるのがこの映画の最大
の魅力かも。

ラストのひとネタも傑作です。「サマー」のあとが「オータム」だなんて……。

ありがちな恋の話をストレートに描かずに、ポップな映像とユニークな仕掛け
で楽しく見せる発想に感心させられました。

誰にでも経験がある恋愛。ストレートに描かれても、なんだか気恥ずかしかっ
たりしますが、こういう映画なら文句なしに楽しめますね。

《ぽちの満足度》
★★★☆☆(+1/2★)

《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆
(他にはないユニークなラブコメ。「ラブコメなんて」と敬遠する方も一見の
価値あり。)
                             (田中ひろあき(ぽち))

〔鑑賞データ〕
2010年1月14日(木)TOHOシネマズシャンテにて。午後1時45分の回。


[「こ」のページ] [「数字」のページ]