相棒−劇場版−絶体絶命!42.195km 東京ビッグシティマラソン


(2008年 日本)(上映時間1時間57分)
監督:和泉聖治
出演:水谷豊、寺脇康文、鈴木砂羽、高樹沙耶、岸部一徳、川原和久、六角精
児、木村佳乃、松下由樹、西村雅彦、本仮屋ユイカ、柏原崇、津川雅彦、平幹
二朗、西田敏行
*丸の内TOEI、お台場シネマ・メディアージュほかにて全国公開
ホームページ http://www.aibou-movie.jp/
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<ストーリー>
警視庁特命係に所属する杉下右京(水谷豊)と亀山薫(寺脇康文)は、ある女
性議員の警護を命じられ彼女を危機一髪で救う。事件が不可解な連続殺人の一
部だと突き止めた2人は捜査を開始し、わずかな手がかりから犯人の次のター
ゲットを割り出す。それは、3万人のランナーと15万人の観衆が集まる"東京ビ
ッグシティマラソン"だった……。

<レビュー>
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テレビ版の魅力をそのままスケールアップした名コンビの刑事ドラマ
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タイトル長いよッ!(笑)

それはともかく、テレビ朝日の人気ドラマシリーズ『相棒』の映画版です。こ
のドラマの魅力は、警視庁特命係という窓際部署に所属する2人の刑事の活躍
ぶり。冷静で頭脳明晰な右京と、直情径行型の亀山という対照的なキャラク
ターが、バディムービーの面白さを存分に見せてくれます。

しかも、事件の謎解きだけでなく、社会的なテーマも適度に織り込み、ラスト
には単純な勧善懲悪でない苦味を残すという展開。いわば大人の刑事ドラマと
いうワケ。

そんなテレビシリーズが大好きなボクにとっては、「映画になってその良さが
失われたらどうしよう……」「ウケねらいのチャチな映画になったら困るな
ぁ」と危惧していたのでした。

しかし、それは無用な心配でした。テレビの良さはそのままに、エンタメ映画
でありながら、社会派の要素や人間ドラマも盛り込んだ見応えある作品になっ
ています。

今回、右京と亀山が追うのは謎の連続殺人事件。2人のコンビは相変わらず絶
妙で、チェスの棋譜を使って事件に迫っていくあたりは、かなりスリリングな
展開です。SNSを重要なポイントに据えるなど時代性も感じさせます。

クライマックスはビッグなマラソン大会。爆発シーンを織り込むなど仕掛けも
大がかりで、エンタメ性もパワーアップ。

事件の背景として、かてつのイラクでの人質事件を想起させる社会的素材を取
り上げているのも、いかにもこのシリーズらしいところ。政治家、マスコミ、
国民に対するさりげない問題提起が感じられます。

事件が終わってすべてがハッピーとはいかず、そのあとにまた一つのドラマを
持ってくるところも、期待を裏切りません。

たとえば、必死で追いかけていた犯人の居場所が、あっさりわかってしまうと
ころは拍子抜けするし、細かいことを言えばいくつか難点はあります。しかし、
これだけたくさんの内容をテンポよく、コンパクトにまとめあげているのだか
ら上出来でしょう。

ちなみに監督でテレビ版の監督も務める和泉聖治は、かつてはピンク映画界で
知る人ぞ知る存在。その後、テレビやVシネを中心に活動していましたが、つ
いに金鉱を掘り当てましたね(笑)。ベテランらしいきちんとした演出です。

ボクのようなテレビシリーズのファンはかなり満足できそう。そして、テレビ
シリーズを見たことがない人も十分に楽しめる内容です。

ただし、テレビシリーズを見ていると面白さは倍化しますね。たとえば、ラス
トの木村佳乃扮する政治家の行動などは、テレビシリーズでの彼女の言動を見
ているから納得できるけれど、そうでないとやや唐突に思えてしまうかも……。
主要な登場人物の相関関係なども、事前に知っておくとより楽しめます。

まあ、何にしても、ゴミみたいな作品も多い最近のテレビドラマの映画版の中
では、間違いなく出色の作品デス。

《ぽちの満足度》
★★★☆☆(+1/2★)

《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆
(テレビ同様に骨のある大人の刑事ドラマの魅力がタップリ。テレビ版を知ら
ない人も、エンターティメントとしてそれなりに楽しめるのでは?)
(ぽち)

〔鑑賞データ〕
2008年5月4日(日)ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午後4時15分の回


[「あ」のページ]




相棒
和泉聖治
水谷豊
寺脇康文
鈴木砂羽
高樹沙耶