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愛を読むひと（THE READER）
（2008年 アメリカ・ドイツ）（上映時間2時間4分）
監督：スティーブン・ダルドリー
出演：ケイト・ウィンスレット、レイフ・ファインズ、デビッド・クロス、レ
ナ・オリン、ブルーノ・ガンツ、アレクサンドラ・マリア・ララ、カロリー
ネ・ヘルフルト
＊TOHOシネマズスカラ座ほかにて全国公開中
ホームページ http://www.aiyomu.com/
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＜ストーリー＞
1958年のドイツ、15歳のマイケルは、偶然出会った21歳年上のハンナ（ケイ
ト・ウィンスレット）と関係を持つようになる。ベッドの上で、彼女に頼まれ
て本を朗読してあげるようになるマイケル。ところが、ある日突然、彼女は姿
を消す。それからしばらくして、法学生となったマイケルは、傍聴したナチス
の戦犯を裁く法廷で被告席に座るハンナと思わぬ再会する。裁判を見守るマイ
ケルは、ハンナがある秘密を隠していることに気づくのだが……。
＜レビュー＞
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過酷な運命の男女の心の機微が伝わる深くて重みのある愛の物語
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ベストセラー小説「朗読者」を、『リトル・ダンサー』『めぐりあう時間た
ち』のスティーブン・ダルドリー監督が映画化。
前半はまるで官能映画です。15歳の少年マイケルが、ふとしたことで知り合っ
た36歳の女性ハンナと関係を持ち、ずるずると深みにはまります。2人の関係で
変わっているのは、ベッドの中でマイケルがいろいろな本を朗読してあげるこ
と。
まもなく、年齢からくる環境や考え方の違いによって、2人の関係には亀裂が入
ります。そして別れが……。ひと夏の恋が終わりました。
そこまでは、エロチックな場面が満載のありがちな恋愛ドラマなのですが、問
題はここからです。ドラマは想像もしない方向に展開していきます。
やがて大学で法律を学ぶようになったマイケルの前に、ハンナが再び現れます。
なんと、彼女は戦前にナチス収容所の看守として、虐殺に加担した罪を問われ
る戦犯となっていたのです。
そのあたりで、かつてハンナがどうして「朗読」にこだわったのかが、明らか
になっていきます。そこには、彼女が絶対に口に出さない秘密が隠されていま
した。それは裁判の行方にも大きくかかわること。すべてを知ったマイケルは
どういう選択をしたのか……。
後半は、ほんのちょっとしたことで人生が大きく変わってしまった男と女の人
間ドラマとして、深みのある映画になっています。同時に、戦争のむごさを描
いたドラマとしても奥行きがあります。ナチスはユダヤ人を虐殺しただけでな
く、ドイツ人にも大きな傷を負わせたことがよくわかります。
スティーブン・ダルドリー監督は、ほんのわずかな表情の変化やしぐさで、登
場人物の心理を描き出します。ハンナとマイケルはもちろん、ユダヤ人被害者
のメイザーの複雑な心理なども巧みに描いています。
過酷な運命にさらされるハンナ、そして罪の意識と悔恨に苦しむマイケル。2人
の思いがリアルに伝わってきて、後半はグッと胸に迫ってきました。
主演のケイト・ウィンスレットは、抑制された演技が印象的。アカデミー主演
女優賞も納得の演技。そして、大人になってからのマイケル役のレイフ・ファ
インズの含蓄のある演技もさすがです。
《ぽちの満足度》
★★★★☆
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆（＋1／2★）
（官能的な恋愛映画が一転して苦悩と悲しみのドラマに転化。深みと重みを持
った見事なドラマです。）
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2009年6月20日（土）シネマサンシャイン池袋にて。午後6時5分の回
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