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アンジェラ（ANGEL-A）
（2005年 フランス）（上映時間１時間30分）
監督・製作・脚本：リュック・ベッソン
出演：ジャメル・ドゥブーズ、リー・ラスムッセン、ジルベール・メルキ、セ
ルジュ・リアブキン
＊ 丸の内ピカデリー1ほか松竹・東急系にて全国公開
ホームページ http://angel-a.jp/
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＜ストーリー＞
パリに暮らすアンドレ（ジャメル・ドゥブーズ）はギャングに借りた借金が返
済できずに自殺しようとする。橋からセーヌ河に飛び込もうとするが、その瞬
間、隣に現われた美女がいきなり川に飛び込んでしまう。とっさに自分も後を
追ったアンドレは無我夢中で彼女を助け出す。これをきっかけに、アンドレは
アンジェラ（リー・ラスムッセン）と名乗る女性とともに行動するようになる
が、実は彼女にはある秘密があった……。
＜レビュー＞
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リュック・ベッソン久々の監督作はダメ男と謎の女による大人の寓話
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最近は、製作＆脚本に回ることが多くて、しかもそのほとんどの作品が、ハリ
ウッドのモノマネ映画でしかなかったリュック・ベッソン監督。
そんな中で、『ジャンヌ・ダルク』以来６年ぶりの監督作品が登場です。しか
も、これ、今までのベッソン作品とはかなり違う雰囲気の映画なのです。
どういう話かといえば、大人のための寓話なんですよ。
自分を偽り、現実逃避をする男が、借金を苦に自殺しようとしたところ、同じ
く自殺を図った女を助けることになる。それをきっかけに、２人は一緒に行動
するようになる……。
２人のコンビがユニークです。男はいわゆるダメ男で、ブサイクな小男。それ
に対して女は長身でモデルみたいなスタイル（しかも超ミニスカート）。この
２人が一緒に歩くだけで何となくユーモラス。しかも、この女には大きな秘密
があるのです……。
彼女が男の窮地を救ううちに、彼のダメさがますます露呈します。女にそれを
突きつけられて怒り、戸惑う男。しかし、やがて彼女のおかげで彼自身が変わ
っていくのです。「自分を愛せない人間に他人は愛せない」「もうウソをつく
のはやめなければ」。
自分の窮地を救い、自分を変えてくれた彼女に対して、男は愛を感じるように
なります。しかし、彼女の重大な秘密のせいで、その愛は……。
というわけで、衝撃の結末へとなだれ込みます。あの結末には賛否両論あるこ
とでしょうが、個人的には好きな終わり方。だって、ダメ男にも希望が見出せ
るもん。あのままなら救われませんヨ。
この映画、全編がモノクロです。セーヌ川やエッフェル塔など、パリの様々な
場所が独特の風情とともに映し出されます。いかにもおとぎ話らしい映像で、
その雰囲気につい引き込まれてしまいます。
ある男の成長のドラマとしても、不思議な出会いをした男女の愛のドラマとし
ても、それなりに見応えのある映画だと思います。
ただし、ちょっと引いてみると、ツッコミ不足のところもけっこうあるんです
よね。男の成長ぶりや女への愛情は比較的よく描けているけれど、女の側の心
情はほとんど描かれません。特殊なシチュエーションの女性なので、しょうが
ない面はあるのですが……。
セリフもつまらないですねぇ〜。リュック・ベッソンって、脚本家としての才
能はあんまりないんじゃないかなぁ〜。
主人公の男を演じるのは『アメリ』の八百屋役ジャメル・ドゥブーズ。いかに
も情けない感じがピッタリ。そして、謎の女役はモデル出身で、ブライアン・
デ・パルマ監督の『ファム・ファタール』でも妖しい光線を放っていたリー・
ラスムッセン。今回もかなり妖しいです。
これまでのベッソン作品は過剰なまでの痛みや、暴力性、エネルギーに満ちた
ものが多かったように思います。それとはまったく違うタッチの今回の映画。
なので、これまでの作品のファンには不満かもしれません。
ですが、過去の作品の仰々しさや自己陶酔ぶりにイマイチついていけなかった
ボクは、それなりに好感を持って受け止めました。リュック・ベッソンも多く
の経験を経て一皮むけたんじゃないかなぁ〜。毒が抜けて良い意味で枯れたの
かも。
少なくともここ数年彼が関わったハリウッドのモノマネ映画よりは、ずっと良
い映画ですよ。ホント。
《ぽちのオススメ度》
★★☆☆☆（＋1／2★）
（モノクロ映像が独特の雰囲気を醸し出すユニークな愛の物語。これまでのリ
ュック・ベッソンのイメージを捨ててご覧くださいませ。）
＜ぽち＞
〔鑑賞データ〕
2006年５月14日（日）ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午後２時30分の回
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