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あるいは裏切りという名の犬（36 QUAI DES ORFEVRES）
（2004年 フランス）（上映時間１時間50分）
監督：オリヴィエ・マルシャル
出演：ダニエル・オートゥイユ、ジェラール・ドパルデュー、アンドレ・デュ
ソリエ、ヴァレリア・ゴリノ 、ロシュディ・ゼム、ダニエル・デュヴァル
＊銀座テアトルシネマ、シネ・リーブル池袋ほかにて公開
ホームページ http://www.eiga.com/official/aruinu/
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＜ストーリー＞
パリ警視庁で異なる捜査班を率いる２人の警視、レオ・ヴリンクス（ダニエ
ル・オートゥイユ）とドニ・クラン（ジェラール・ドパルデュー）は、次期長
官候補として激しく対立するライバルだったが、かつては親友で同じ女性を愛
した過去を持つ。ある日、現金強奪犯のアジトを突き止めたレオは包囲作戦を
展開するが、権力欲にとりつかれたドニの不用意な行動で作戦は失敗。窮地に
陥ったドニは、レオを卑劣なワナにかけるのだが……。
＜ストーリー＞
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男と男がぶつかり合う苦くて濃密なフィルム・ノワール
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邦題がカッコいいですねぇ〜。どうせつけるなら、こういう邦題にして欲しい
もの。映画の中身も見応えがあります。これだけ充実した本場フランスのフィ
ルム・ノワールは久々かもしれません。
かつては親友で、１人の女性を愛した過去を持つ２人の警視のお話。正義感あ
ふれるレオ・ヴリンクスと権力志向の強いドニ・クラン。現金強奪犯のアジト
を突き止めたレオの指揮の下、包囲作戦が展開されるものの、そこにドニが出
現して作戦をメチャクチャに。危機に陥ったドニは、ある裏情報を基にレオを
ワナにかけていく……。
とにかく濃密な映画です。ダークで重苦しい雰囲気がスクリーンを覆います。
かつてのジャン・ギャバンあたりの出演作と共通する雰囲気かも。
お話だけ聞くと、正義ＶＳ悪という図式に思えるかもしれませんが、ハリウッ
ド映画のようなそんな単純な物語ではありません。正義感の強いレオ、権力志
向のドニ。両者とも、捜査のためには多少の悪には目をつぶる人物。しかも、
レオは友人や同僚のためなら、私的制裁も辞さない男です。最初のうちに、そ
ういうキャラをクッキリさせているので、ドラマに厚みが生まれます。
２人がかつて同じ女性を取り合ったというエピソードも、ドラマに陰影をもた
らします。しかも、それをクドクドと説明するのでなく、ちょっとしたセリフ
や行動でさりげなく描いていくところが憎い。
出世のために手段を選ばないドニと、彼のワナにはめられていくレオ。苦味漂
う映像の中、２人の心理がジワジワとあぶりだされていきます。そして一瞬も
息を抜けない緊迫感。最後までまったくテンションが落ちません。
後半は、ワナにはめられたレオのドニに対する復讐が始まる……かと思わせま
す。ところが、ラストは意外な展開に。きっちりと伏線が張られ、裏社会が絡
んだ結末も、この映画にふさわしいものといえるでしょう。しかも、最後の最
後で、わずかな希望の光を示して余韻を残します。
というわけで、脚本も演出も素晴らしいのですが、主演の２人の名優の演技が
それをさらに魅力的にしています。レオ役のダニエル・オートゥイユ、ドニ役
のジェラール・ドパルデューともにフランスを代表する名優。両者ともカンヌ
映画祭最優秀男優賞など多数の賞を受賞している演技派です。ダニエルの哀愁
漂う演技、ジェラールの憎々しい悪役ぶりはまさにガップリ四つの対決。
ただし、伏線がいろいろ張られていたりするので、ちゃんと観ていないと多少
の混乱はあるかもしれません。そのあたりはご注意を。
これはまさしく男と男のドラマだ！ でも、女性の方も十分に楽しめます。残
念ながらイケ面クンはあまり登場しませんが（笑）。
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆（＋1／2★）
（これほど濃密なフィルム・ノワールはめったにありません。２人の男のぶつ
かり合いに身をゆだねてください。）
＜ぽち＞
〔鑑賞データ〕
2007年1月14日（日）シネ・リーブル池袋にて。午後4時10分の回
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