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あるスキャンダルの覚え書き（NOTES ON A SCANDAL）
（2006年 イギリス）（上映時間１時間32分）
監督：リチャード・エアー
出演：ジュディ・デンチ、ケイト・ブランシェット、ビル・ナイ、アンドリ
ュー・シンプソン
＊シャンテシネほかにて公開。順次全国公開
ホームページ http://movies.foxjapan.com/notesonascandal/
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＜ストーリー＞
ロンドン郊外にある中学校のベテラン教師バーバラ（ジュディ・デンチ）は、
その厳格さゆえに生徒はもちろん同僚教師たちからも疎まれる孤独な存在だっ
た。ある日、赴任してきた美貌の美術教師シーバ（ケイト・ブランシェット）
のたたずまいに目を奪われたバーバラは、彼女を秘かに観察し、それを日記に
書き留めるようになる。やがてシーバが15歳の生徒と不倫していることを知っ
たバーバラはある行動に出るのだが……。
＜レビュー＞
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ジュディ・デンチがコワすぎる。孤独な女の異色サスペンス
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ジュディ・デンチとケイト・ブランシェットという２人のオスカー女優の顔合
わせ。とくれば、感動のヒューマンドラマかと思いきや、なんとスキャンダル
をめぐるサスペンス。ゾーイ・ヘラーのベストセラー「あるスキャンダルにつ
いての覚え書き」を『アイリス』のリチャード・エアー監督が映画化しました。
厳格で孤独なオールドミスの中学教師バーバラの前に、新任の美術教師シーバ
が現れる。美しい彼女と友達になれると思ったバーバラは、シーバが15歳の生
徒と不倫していることを知り、それを使って彼女を支配するようになる……。
まあ、とにかくジュディ・デンチの熱演（怪演？）がスゴイです。孤独な老婦
人の感情の変化を見事に表現しきっています。
キラキラ輝くような美しさを持つシーバと知り合った時の喜び。彼女の秘密を
握って優位に立った時のイヤラシイ顔。言うことを聞かない彼女に怒りキレる
姿。まさに背筋ゾクゾクものの怖さを感じさせます。
彼女の日記（モノローグ）がまたいいんですよ。皮肉と減らず口がタップリ詰
まっていて、いかにも性格が悪そうです。
一方、彼女に翻弄されるケイト・ブランシェットも、これまた見事な演技。い
けないと知りつつ愛欲に溺れていく姿。それをバーバラに知られた時の戸惑い。
事実が発覚して憔悴するところ。信頼していたバーバラに裏切られたと知った
時のブチ切れるようす。
こうして２人のスリリングな愛憎劇が、リアルに描かれていきます。
ストーリー展開自体は、それほど驚くような転換はありません。バーバラにも
実はある秘密が存在するのですが（彼女にとっての"友達"というのがクセモ
ノ）、早いうちにだいたい想像がつくし、驚くような話ではありません。それ
でも、２人の迫真の演技が緊張を途切れさせません。
フィリップ・グラスによる音楽も、そうした緊張感や不安定さを煽るのに十分
な効果を発揮しています。
ラストの２人の運命。シーバのほうは、ちょっぴり苦くて余韻が残るラスト。
一方、バーバラのほうは……。アンタまだ懲りないのか？？？ いやいや、あ
まりにも孤独すぎて、そうでもしないと生きられないのでしょう。
それにしてもこの映画のジュディ・デンチはコワすぎます。人を殺すわけでは
ないけれど、そのコワさときたら『ハンニバル』シリーズのアンソニー・ホプ
キンスに匹敵するかも。
１時間30分余りとコンパクトな長さゆえ、やや駆け足で描き足りないところも
目立ちます。ただし、そのおかげでスリリングさは加速されています。２人の
女優のぶつかり合いは見応え十分。実に濃密なサスペンスです。
最後に教訓。教え子に手を出しちゃダメよ！
《ぽちの満足度》
★★★☆☆（＋1／2★）
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆（＋1／2★）
（ジュディ・デンチとケイト・ブランシェットのぶつかり合いだけでも観る価
値アリ。コワくて哀しいお話です。)
＜ぽち＞
〔鑑賞データ〕
2007年6月21日（木）新宿武蔵野館にて。午後３時の回。
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