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明日の記憶
（2005年 日本）（上映時間２時間２分）
監督：堤幸彦
出演：渡辺謙、樋口可南子、坂口憲二、吹石一恵、木梨憲武、及川光博、渡辺
えり子、香川照之、大滝秀治、田辺誠一、遠藤憲一、袴田吉彦
＊丸の内ＴＯＥＩ１ほかにて全国公開
ホームページ http://www.ashitanokioku.jp/
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＜ストーリー＞
広告代理店に勤める佐伯雅行（渡辺謙）は、ビッグプロジェクトが始まり充実
した毎日。プライベートでも、一人娘の結婚を控え、公私ともに多忙な日々を
送っていた。そんなある日、急に物忘れが激しくなり、不安になって病院を訪
れた佐伯は、そこで"若年性アルツハイマー"という衝撃の診断を受ける。やり
場のない怒りと不安に苛まれる佐伯を妻の枝実子（樋口可南子）は励まし、２
人で病と闘い続けるように説得するが……。
＜レビュー＞
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堤幸彦らしい映像で描く若年性アルツハイマーの主人公の苦闘の日々
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テレビと映画を行き来しながら、ホラーから純愛ドラマ、コメディーなど、あ
りとあらゆる作品を監督する堤幸彦。
今回はいわゆる難病モノ。若年性アルツハイマーにかかった主人公と妻の闘病
の日々が描かれます。
広告代理店の第一線で活躍する佐伯が、物忘れがひどくなり、病院に行ったと
ころ「若年性アルツハイマー」という診断を受ける。絶望しつつも、何とか前
向きに生きようとする佐伯とそれを支える妻……。
というわけで、涙ナシには見られない感動物語ではあるのですが、比較的淡々
と、時にはユーモアさえ交えて描いています。
佐伯の退職、娘の結婚・出産といった出来事を通して、佐伯と妻の心情がジワ
ジワと伝わってきて、心に染み渡ります。
そして、最も印象深いのが映像です。ＴＶ＆映画の『トリック』などでも見ら
れたキレのある映像がたくさん登場します。「お前のやったことは全部エブリ
シングお見通しだ！！！」てか。
特にゆがんだ映像や広角レンズなどを使って、佐伯の不安と恐怖を観客に同時
体験させていくところが見事。観客は知らず知らずのうちに、佐伯の立場にな
って、目の前の過酷な現実と直面するのです。
それとは対照的に、佐伯が訪ねていった奥多摩の大自然の美しさも心に残りま
す。現実をありのままに受け入れて、生きていこうとする佐伯と妻の決意が伝
わってきました。
主演の渡辺謙の少々大げさすぎる演技が、堤監督の映像とフィットして逆に効
果的だったのがおもしろかったですね。いつもながら含蓄のある樋口可南子の
演技も見もの。相変わらず底知れぬパワーを秘めた大滝秀治、最近は役者とし
てもかなりの存在感を発揮する及川光博の演技も印象に残りました。
話の内容からして、感動の涙を流させねばならないわけで、自分のスタイルを
押し通しつつ、それをキッチリやり遂げた堤演出はさすがでした。
ただし、忘れられない名作というには足りない感じも……。肝心のところでツ
メが甘いというか、キレイごとに逃げているというか。特に、後半はうわべだ
けをなぞっているように感じられました。
それからオープニングの印象的なシーンは、キッチリとラストにつなげて欲し
かったですね。
《ぽちのオススメ度》
★★☆☆（＋1／2★）
（誰もが感動できる映画。難病モノとはいえ爽やかさが漂います。その分、キ
レイごとに終始してしまっているのがやや残念ですが……。）
＜ぽち＞
〔鑑賞データ〕
2006年６月１日（木）池袋シネマサンシャインにて。午後1時20分の回
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