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バッド・ルーテナント
（BAD LIEUTENANT：PORT OF CALL NEW ORLEANS）
（2009年 アメリカ）（上映時間2時間2分）
監督：ベルナー・ヘルツォーク
出演：ニコラス・ケイジ、エバ・メンデス、バル・キルマー、アルビン・“イ
グジビット”・ジョイナー、フェアルーザ・バーク、ショーン・ハトシー、ジ
ェニファー・クーリッジ、トム・バウアー、ボンディ・カーティス＝ホール
＊恵比寿ガーデンシネマほかにて公開
ホームページ http://bad-lieutenant.jp/pc.html
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＜ストーリー＞
ハリケーン・カトリーナ直撃後のニューオーリンズ。刑事テレンス・マクド
ノー（ニコラス・ケイジ）は、浸水した刑務所から逃げ遅れた囚人を助け出し
た功績で、警部補に昇格する。だが、まもなく愛人のフランキー（エバ・メン
デス）とともにドラッグ漬けとなった彼は、警察の押収品にまで手を出すよう
になる。そんなある日、セネガルからの不法移民一家が惨殺される事件が起き
る。テレンスは、その捜査を指揮するのだが……。
＜レビュー＞
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悪徳刑事の暴走サスペンス。ニコラス・ケイジの怪演による怪作
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アベル・フェラーラ監督、ハーヴェイ・カイテル主演の1992年の映画『バッ
ド・ルーテナント／刑事とドラッグとキリスト』のリメイクだそうです。
ハリケーン・カトリーナで逃げ遅れた囚人を救出して昇進した刑事が、不法移
民一家の惨殺事件の真相を追うというのが物語の柱。
これだけならよくあるサスペンスですが、問題なのはこの刑事が負傷をきっか
けにドラッグに走り、愛人のコールガールとともにドラッグ漬けの生活を送っ
ているところ。そのため町の住人を脅してドラッグをくすねたり、捜査の押収
品の麻薬まで手に入れます。しかも、ギャンブルで多額の借金まで背負う始末。
この強烈な主人公の存在が、ドラマを面白くしています。演じるのはニコラ
ス・ケイジ。ハンパなヒーローよりも、こういうアクの強い役が似合いますね
ぇ〜。ドラッグでハイになったりブチ切れた時の演技が壮絶。まさに怪演です。
オスカーものの演技といえるかも。
最初はまともに事件を捜査していた主人公ですが、そのうちにどんどん暴走し
ていきます。ドラッグをはじめ様々なトラブルに見舞われ、ついに一線を越え
てしまいます。そうやって堕ちていく主人公の姿が圧倒的な迫力で描かれてい
きます。犯罪サスペンスではあるものの、バイオレンスに満ちあふれ、危険な
香りが漂う異色の映画です。
そして、この映画のもう一つのユニークな点が、独特の映像世界です。冒頭の
蛇が水中を泳ぐシーンから、不思議で怪しい映像が登場。特に主人公が幻覚を
見るシーンが印象的です。延々とイグアナを映したり、死者の魂が踊ったり…
…。
監督は、『アギーレ／神の怒り』『フィッツカラルド』などで知られるドイツ
のベルナー・ヘルツォーク。独自の世界を持つ人で、一部にカルト的なファン
もいるようです。今回は犯罪サスペンスで、しかもリメイクなので、さすがに
全体の構成はおとなしめですが、それでもかなりぶっ飛んだ世界が見られます。
クライマックスからエンディングに至る展開も異色。普通この手のドラマは、
主人公がどんどん暴走して破滅していくもの。この映画の主人公にも破滅への
道しか用意されていないように見えたのですが、そこから意外な展開が待ち受
けています。このどんでん返しにはビックリさせられました。
しかも、ラストにはもうひとヒネリが……。懲りないヤツだぜ！
細かなところではアラも目立ちますが、そういう次元を越えて圧倒させられる、
奇妙な魅力を持った映画です。ヘルツォーク監督の独自の世界、そしてそれを
見事に表現したニコラス・ケイジの怪演によって、最後までスクリーンに引き
込まれてしまったのでした。
《ぽちの満足度》
★★★☆☆（＋1／2★）
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆
（不思議な魅力を持った異色のサスペンス。アクの強い映画なので誰にでもオ
ススメとは言いませんが、一見の価値はあります。特にニコラス・ケイジの怪
演は。）
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2010年3月16日（水）恵比寿ガーデンシネマにて。午後4時20分の回
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