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ばかもの
（2010年 日本）（上映時間2時間）
監督：金子修介
出演：成宮寛貴、内田有紀、白石美帆、中村ゆり、浅見れいな、岡本奈月、浅
田美代子、小林隆、池内博之、古手川祐子
＊有楽町スバル座、シネマート新宿ほかにて公開
ホームページ http://www.bakamono.jp/
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＜ストーリー＞
群馬県高崎市。大学生の大須秀成（成宮寛貴）は、バイト先で出会った年上の
額子（内田有紀）と初体験。それをきっかけに、どんどん彼女にのめりこむ。
ところがある日、額子は「結婚を決めたから」と別れを告げ、秀成の前から去
ってしまう。ショックを受けた秀成は留年後にどうにか就職。新しい彼女もで
きるが、喪失感が消えることはなく、次第に酒に溺れていく。ついには飲酒運
転で交通事故を起こす秀成。ようやくアルコール依存症を克服するが、そんな
時に、額子が事故で変わり果てた姿になったことを知る。10年ぶりに再会する2
人だったが……。
＜レビュー＞
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不器用な男女の10年間にわたる屈折した純愛物語
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芥川賞作家・絲山秋子の小説を『DEATH NOTE デスノート』『プライド』の金
子修介監督が映画化。
年上の女性・額子と知り合って初エッチした大学生の秀成が、彼女に夢中にな
るものの、ある日突然「結婚するから」と捨てられて、それをきっかけに人生
の歯車が狂い始めるというお話。やがてアルコール依存症になってどん底に落
ち込む秀成。そして、出会いから10年後に変わり果てた姿で再会する2人……。
プロットを読めばまるで韓流の純愛ドラマのようなお話。しかし、ウェットな
恋愛ドラマではありません。
何しろ知り合ってから別れるまでの秀成と額子の関係は、純愛とは程遠い感じ。
簡単に肉体関係を持って、そのままセックスにのめりこみます。
その後、あっさりと捨てられる秀成。転落人生の幕開けです。留年、就職、別
の女性との交際、アルコール依存症というように、めまぐるしく人生が変わっ
ていきます。
特徴的なのは、登場人物の心理をあまり繊細に描かないこと。秀成の喪失感な
どもそれほど丹念には描かれません。むしろ、多彩なエピソードを次々に積み
重ねて、物語を展開していきます。
原作は未読ですが、おそらくかなり内容が濃いはず。それをていねいに追って
いたのでは、何時間あっても描ききれない。かといって、大幅にはしょってし
まうのもつまらない。
そんな考えによるものかどうかはわかりませんが、細かな心理描写をほとんど
省いて、エピソードの積み重ねで物語を展開させるというのはユニーク。感情
移入はしにくいものの、ついついスクリーンに引き込まれてしまいます。
秀成の転落の過程では、大学時代の同級生たちの変化や、家族の苦悩なども描
かれます。しかも、大学時代の同級生の女の子が株で大儲けをして、さらに宗
教に入れあげるなどという波乱のドラマまで登場。さらに、ドラマの時代背景
などもチラチラと織り込まれています。
その一方で、秀成と額子の10年後の再会以降は2人の揺れ動く心をじっくりすく
いとるなど、それまでとは違ったていねいな描写が目立ちます。それを通して
過去の2人の心の変遷も、何となく見えてくるから面白いもの。
結局、終わってみれば、最初は肉欲だけに見えた2人の関係が、不器用でピュア
な純愛に転化しているという不思議な映画。こういうタイプの恋愛映画はあま
り見たことがありません。
成宮寛貴＆内田有紀のカップルは、いかにも……という感じの適役。特に内田
のハジケ方は『クワイエットルームにようこそ』に負けず劣らず見事でした
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆
（不器用な男女のちょっと変わった純愛物語。こういう恋愛もあるのだと実感。
原作を読んでいなくても、それなりに楽しめると思います。）
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2010年12月20日（月）シネマート新宿にて。午後1時40分の回
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