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ブラック・ダリア（THE BLACK DAHLIA）
（2006年 アメリカ）（上映時間２時間１分）
監督：ブライアン・デ・パルマ
出演：ジョシュ・ハートネット、アーロン・エッカート、スカーレット・ヨハ
ンソン、ヒラリー・スワンク、ミア・カーシュナー、リチャード・ブレイク
＊日比谷スカラ座ほかにて全国公開
ホームページ http://www.black-dahlia.jp/
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＜ストーリー＞
元ボクサーでロス市警のバッキー・ブライカート（ジョシュ・ハートネット）
とリー・ブランチャード（アーロン・エッカート）は、警察のＰＲのためのボ
クシング試合で対戦したのをきっかけに親しくなる。リーの同棲相手ケイ・レ
イク（スカーレット・ヨハンソン）とともに、彼らは３人で行動するようにな
る。そんなある日、腰から切断された若い女性の死体が発見される。被害者は、
女優志望のエリザベス・ショート。後に「ブラック・ダリア事件」と呼ばれた
この事件に、リーは異常なほどの執着を見せるのだが……。
＜レビュー＞
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独特の雰囲気を持つフィルム・ノワール。デ・パルマ節がサクレツ！！
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『Ｌ．Ａ．コンフィデンシャル』の原作者ジェームズ・エルロイが、1940年代
にロサンジェルスで実際に起こった猟奇殺人事件をベースに書いた同名小説を
『アンタッチャブル』『殺しのドレス』のブライアン・デ・パルマ監督が映画
化しました。
サスペンス、ミステリーという言い方もできるでしょうが、フィルム・ノワー
ルと言ったほうがピッタリくる独特の雰囲気を持った映画です。
物語は、バッキーの視点で淡々と語られます。話の中心は「ブラック・ダリア
事件」という猟奇殺人事件の捜査。しかし、それを通して描かれるのは２人の
刑事を中心とした人間模様です。
バッキーとリーというどちらも元ボクサーの刑事、そしてリーと同棲する女性
ケイの３人が友情を深めていく。やがて、胴体を切断され、口を切り裂かれた
女性の惨殺死体が発見される。リーは異様な熱心さで事件にのめり込む。一方、
バッキーはケイに友情以上の感情を抱き始める……。
いずれも過去に大きな影を背負っているリーとケイ。そこに入り込んだバッ
キー。そんな彼らが猟奇殺人事件に関わり、どんどん迷宮の中に陥っていきま
す。さらにそこに関わってくる大金持ちの令嬢マデリン。物語が進むにつれて、
事件のナゾはますます深まって、深い霧の中をさまよっているような感覚にさ
えなります。
事件の発端となった奇妙な銃撃事件、それに続く惨殺死体の発見。そのあたり
からブライアン・デ・パルマ節がサクレツしまくります。ユニークなアングル
からの映像やスローモーションなどを使い、スリリングでナゾに満ちた世界を
生み出していきます。
特に目を引くのがバッキーが目撃する殺人シーン。『アンタッチャブル』の階
段から落ちる乳母車のシーンを彷彿とさせる印象的なシーンです。
1940年代が舞台ということで、ノスタルジックな雰囲気も巧みに漂わせていま
す。ブラック・ダリア事件の捜査のカギを握ると思われる、ポルノ映画やオー
ディション映像、笑うピエロの絵なども効果的に使われています。
こうして途中までは、登場人物の心の闇と事件のナゾが見事にリンクした、妖
しい魅力にあふれた世界に浸りきっていたのですが……。
残念なことに事件のナゾ解きはイマイチ。ラスト20分ぐらいで、あまりにも複
雑すぎる真相をバタバタバタと駆け足でタネ明かし。あれは、よほどちゃんと
観ていても混乱しますよねぇ〜。
あまりにも複雑すぎる物語ゆえ、バッキーの苦悩など心理の掘り下げ方もイマ
イチで、『Ｌ．Ａ．コンフィデンシャル』ほど物語としての深みがないのも、
物足りないところ。
俳優陣ではケイを演じたスカーレット・ヨハンソンがなかなかの妖しさですが、
金持ち令嬢のヒラリー・スワンクはそれ以上にアブナイ感じ。ジョシュ・ハー
トネットとアーロン・エッカートの２人の刑事もまずまず無難な演技でした。
ナゾ解きのおもしろさ＆物語の深みが加わったなら、『Ｌ．Ａ．コンフィデン
シャル』級の力作になったかと思うとちょっぴり残念な気もしますが、デ・パ
ルマ節がタップリ詰まったナゾに満ちた迷宮世界が楽しめたので、十分満足で
きた映画でした。さすがに自分の世界を持った監督は違うなぁ〜。
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆（＋1／2★）
（デ・パルマ監督らしさが漂う映画。途中までは文句ナシに★４つ。ラスト20
〜30分が惜しいなぁ……。ナゾ解きには期待せずに観てください。）
＜ぽち＞
〔鑑賞データ〕
2006年10月14日（日）ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午後1時15分の回
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