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ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない
（2009年 日本）（上映時間1時間41分）
監督：佐藤祐市
出演：小池徹平、マイコ、池田鉄洋、田中圭、品川祐、中村靖日、千葉雅子、
須賀貴匡、朝加真由美、北見敏之、森本レオ、田辺誠一
＊シネクイントほかにて全国公開
ホームページ http://black-genkai.asmik-ace.co.jp/
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＜ストーリー＞
高校を中退して引きこもりのニート生活を送っていたマ男こと大根田真男（小
池徹平）は、母の死をきっかけに就職活動をするがことごとく不採用。ようや
く小さなＩＴ企業に採用されるが、そこは想像を絶する"ブラック会社"だった。
入社初日から大量の仕事を押し付けられ、サービス残業や徹夜は当たり前。世
間の常識がまったく通用しない上司や同僚に囲まれ、奴隷のように働くマ男だ
ったが……。
＜レビュー＞
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ネタは重たいけれど、笑って楽しくなれるエンタメ映画
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２ちゃんねるの人気スレッドの映画化だそうです。
残業や徹夜は当たり前、ヒドイ上司や同僚がテンコ盛り、必要経費が認められ
ず……といったように過酷な労働環境の会社のことを「ブラック会社」という
らしいです。そのブラック会社に入社してしまった、元引きこもり青年のお話
です。
２ちゃんねるのスレッドの内容をスクリーンに映しながら、お話を展開します。
オープニングは限界ギリギリでぶっ倒れる入社半年の主人公。そこに至るまで
にいったい何があったのか、そしてそれから何が起きるのかが描かれます。
というと、シリアスで重たい話のように思えますが、実際は正反対。ひたすら
笑えるコメディーです。何しろ、ブラック会社の人たちのキャラがユニークす
ぎますからねぇ。「俺を神と呼べ！」という横暴なリーダー、お調子者でガン
ダムオタクの男、社長の愛人だという経理の女、情緒不安定になっている危な
い社員などなど。唯一まともな人格者が１名いて、彼が何かと主人公をサポー
トしてくれます（しかし、なにやら彼もワケありらしく……）。
こんなアクの強い面々を演じるのは、品川祐、池田鉄洋、中村靖日、千葉雅子、
田辺誠一など。みんな芸達者で、特に池田鉄洋のアホアホさと中村靖日のコワ
レ方が見事。こういう人たちの挙動を見ているだけで笑えてしまいます。
しかも、会社を戦場に見立てたり、主人公の分身を登場させたり、三国志まで
引き合いに出すなど、ありとあらゆる手段で観客を楽しませようとします。
『キサラギ』の佐藤祐市監督らしいハジケた演出です。
一難去ってまた一難の主人公。プロジェクトリーダーをどうにかこなしたとい
うのに、その後にいよいよ最大のピンチを迎えて、もはやこれまでか……とい
うあたりの展開もよく考えられています。楽しく笑えるエンタメ映画としては
上出来。
ただし、ニートだの、引きこもりだの、母の死だの、父の病気だのと、主人公
にいろいろなものを背負わせているにもかかわらず、彼の人間ドラマに物足り
なさが感じられます。藤田という人格者の過去を絡めて、「変わりたかったん
だ！！！」と叫ばせているけれど、イマイチ胸の奥までは響いてきません。
こういう時代だけに、ブラック会社に対するシニカルな視点も欲しかったです
ね。ああいうラストだと、「みんなで一緒にガンバルって素晴らしい！」とい
うオメデタイだけの話ですから。エンタメ映画として、最後に観客をハッピー
にしたいのはわかるけれど、お気楽なだけでいいのか？？？？
徹底して観客を楽しませたいのなら、エンドロールの後に登場するアノ人に対
する森本レオのセリフは「ミキティに早く知らせてあげなさい」にすればよか
ったのに……（笑）。
《ぽちの満足度》
★★☆☆☆（+1／2★）
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆
（あの手この手で観客を笑わせて楽しませてくれます。難しいことを考えずに
気楽に観る分には満足できそう。）
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2009年11月22日（日）シネ・リーブル池袋にて。午後2時20分の回
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