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ブラインドネス（BLINDNESS）
（2008年 カナダ・ブラジル・日本）（上映時間2時間1分）
監督：フェルナンド・メイレレス
出演：ジュリアン・ムーア、マーク・ラファロ、アリス・ブラガ、伊勢谷友介、
木村佳乃、ドン・マッケラー、ダニー・グローバー、ガエル・ガルシア・ベル
ナル
＊丸の内プラゼールほかにて全国公開
ホームページ http://blindness.gyao.jp/
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＜ストーリー＞
ある日、車を運転していた日本人男性が突然視力を失い、目の前が真っ白にな
る。それをきっかけに、同様の患者が各地で続出し、混乱が広がっていく。政
府は感染症と考え、発症者を片っ端から隔離病棟へ強制収容していく。そんな
中、最初の患者を診察した医師の妻（ジュリアン・ムーア）は、ただ一人目が
見えていながら、失明したフリをして夫に付き添って隔離病棟に入り込むのだ
が……。
＜レビュー＞
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極限状態の人間性を赤裸々に描いた重みのあるパニック映画
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ノーベル賞作家ジョゼ・サラマーゴの小説「白の闇」を、『シティ・オブ・ゴ
ッド』『ナイロビの蜂』のフェルナンド・メイレレス監督が映画化した作品。
ジャンル分けすれば、パニック・サスペンスといったところ。しかし、恐怖や
スリル以上に、いろいろと考えさせられる重みのある映画になっています。
突然視界が真っ白になり視力を失う謎の病気が世界中に蔓延。患者は政府によ
って強制的に隔離されてしまう。そこには、ただ一人、目が見える女性も夫に
付き添って紛れ込んでいた……というお話。
中心的な舞台は隔離病棟。そこで外界から隔絶され、盲目という初めての体験
をし、極限状態に追い込まれていく人々の姿をリアルに描き出していきます。
徹底してリアリティーを追求する監督だけあって、色と欲にまみれた人間の本
性を「これでもか！」と見せ付けてくれます。食料をめぐる醜い争い、権力で
人々を支配しようとする者たちの出現……、ここまで人間性を赤裸々に描かれ
ると、さすがに怖いですね。
映像も見事です。光と闇を巧みに使い分け、失明した人たちが見ているのと同
じような、真っ白な映像をあちこちにはさみながら、隔離病棟内の惨状をつぶ
さに映し出していきます。
この手の伝染病ネタは珍しくありませんが、この映画では「失明」という設定
が大きな意味を持ってきます。今までは見えていることが当たり前だった患者
たち。しかし、彼らは本当にちゃんとものを見ていたのか。見えることで、気
がつかなかったり、おろそかにしていたことがたくさんあるのではないか。そ
んな思いを観客に抱かせます。
それまでなんとか持ちこたえていた隔離病棟内ですが、"第三病棟の王"の出現
によって、完全なる修羅場と化します。そこで、起きる大事件。そして、再び
外界に足を踏み出した人々の前にあった光景とは……。
ラストはけっして暗いものではありません。失明という恐怖の果てに、彼らは
あらためて希望の光を見い出していくのです。
まあ、とにかくいろいろなことを考えさせてくれる映画です。エンタメ性はそ
んなに高くないけれど、見応えは十分でした。
キャストでは、ジュリアン・ムーアの大熱演が光ります。『エデンより彼方
に』『めぐりあう時間たち』あたりで見せた演技力は健在。特に反抗を決意し
た時の毅然とした力強さが印象的。
ガエル・ガルシア・ベルナルも、さすがにこういう悪役は似合いますねぇ〜。
その他、マーク・ラファロ、ダニー・グローバーなども好演。
伊勢谷友介と木村佳乃は、ちょっぴりだけの出演かと思ったら、意外にもずっ
と出ずっぱり。主要キャストの一角でした。日本が製作に加わっているにして
も立派なものです。
《ぽちの満足度》
★★★☆☆（＋1／2★）
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆
（いろいろなことを考えさせられる、重みのあるパニック・サスペンス。派手
さはないけれど見応えは十分。）
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2008年11月22日（土）ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午後2時30分の回
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