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ボブ・ディラン ノー・ディレクション・ホーム
（NO DIRECTION HOME: BOB DYLAN）
（2005年 アメリカ）（上映時間３時間30分）
監督：マーティン・スコセッシ
出演：ボブ・ディラン、ジョーン・バエズ、アレン・ギンズバーグ、アル・
クーパー、デイヴ・ヴァン・ロンク、ロビー・ロバートソン、メイヴィス・ス
テイプルズ、ブルース・ラングホーン、Ｄ・Ａ・ペネベイカー
＊ シアター・イメージフォーラムほかにて公開
ホームページ http://www.imageforum.co.jp/dylan/
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＜ストーリー＞
ミネソタの北、カナダ国境近くの田舎町で育ったロックンロール好きな少年、
ボブ・ディランは、やがてニューヨークへ出る。そこで、多くのフォーク・シ
ンガーと出会ううちに、独自のスタイルをつくりあげていった彼は、レコード
デビューを果たすのだが……。
＜レビュー＞
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音楽シーンの生きる伝説が自らを語ったドキュメンタリー
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ビートルズやローリング・ストーンズなどと並んで、伝説的なミュージシャン
となってしまったボブ・ディラン。誰でも名前ぐらいは聞いたことがあるでし
ょう。
そんな彼の自伝的長編ドキュメンタリー。劇映画だけでなく、『ラスト・ワル
ツ』（1978）など音楽ドキュメンタリーでも定評のあるマーティン・スコセッ
シ監督が、10時間にわたるディランへのインタビューに成功。貴重な未発表映
像やレア音源、ジョーン・バエズ、ピート･シーガーら友人たちのインタビュー
も盛り込んで完成させた３時間30分に及ぶ充実の音楽ドキュメンタリーです。
ロックンロールに憧れていた少年時代から、歌手デビューし、その後あれやこ
れやと荒波にもまれていくディランの姿が、赤裸々に描かれています。
ユニークなのが、幼少の頃から時間経過にしたがって描くと同時に、その合間
に、のちに彼がエレキギターを手にバンドを従えて歌い、非難の嵐にあった英
国ツアーの模様を挟み込んでいくところ。
このツアーがディランにとって、大きなターニングポイントになったのと同時
に、観客におもねらず、やりたいことをやるという彼の姿勢を象徴するツアー
だったと考えた、スコセッシ監督の意図だと思います。
また、ディランの自伝的要素を中心にしながらも、公民権運動、ベトナム戦争
など時代の出来事をリンクさせているところが、いかにもスコセッシの演出ら
しい感じです。
ほとんど感情をあらわさずに、淡々と語るディランはかなりヘンクツな人。や
っぱり天才なんでしょうね。天才が、自分のやりたいことをやると、なかなか
周囲から理解されないという典型的な人生かもしれません。
本人はあくまでも音楽家として自分の思ったままを歌にしているだけなのに、
周囲が反体制運動のシンボルにまつりあげるところなど、いつの時代も変わら
ないアーティストとファンの関係が垣間見えてきます。
意外な裏ネタ的話も満載で、たとえばかつての音楽的パートナーだったジョー
ン・バエズの証言は、かなり興味深いものでした。
また、名曲『ライク・ア・ローリング・ストーン』のオルガンがどうやって演
奏されたかを語るアル・クーパーの証言も、「トリビアの泉」的な話でおもし
ろかったです。
ここで語られるのは、伝説の英国ツアーまでですが、その後の人生も語ってく
れたら、きっと同じように興味深いものになることでしょう。
この映画、もともとはテレビ番組として制作され、米英では２夜に分けて放映
されたもの。日本でもＮＨＫＢＳハイビジョンで放映後、劇場公開されました。
なので、ファンはすでにＴＶで観ているでしょうけど、音がバツグンに良いの
でもう一度劇場で観ても損はないです。
歴史に残るミュージシャンのユニークな人生は、ファンでない人も興味深く見
られるかも。さすがに名前も聞いたことがないという人には、すすめませんけ
ど。
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆
（ボブ・ディランのファンはもちろん、多少なりとも彼に関心のある方はどう
ぞ。）
＜ぽち＞
〔鑑賞データ〕
2006年２月18日（土）シアター・イメージフォーラムにて。午後２時45分の回
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