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ぼくのエリ ２００歳の少女（LET THE LIGHT ONE IN）
（2008年 スウェーデン）（上映時間1時間55分）
監督・編集：トーマス・アルフレッドソン
出演：カーレ・ヘーデブラント、リーナ・レアンデション、ペール・ラグナル、
ヘンリック・ダール、カーリン・ベリィクイスト、ペーテル・カールベリ、
イーカ・ノード、ミカエル・ラーム、カール＝ロベルト・リンドグレン、アン
ダージュ・テー・ペードゥ、パレ・オロフソン
＊銀座テアトルシネマにて公開。順次全国公開
ホームページ http://www.bokueli.com/
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＜ストーリー＞
いじめられっ子の12歳の少年オスカー（カーレ・ヘーデブラント）は、隣の家
に引越してきた少女エリ（リーナ・レアンデション）に恋をする。年齢を聞く
と「だいたい12歳」と答えるエリ。２人は毎晩のように言葉を交わすようにな
る。そんな中、町では奇怪な殺人事件が起きる。実は、エリは200年も生きてい
るヴァンパイアだったのだ。オスカーは彼女の秘密を知ってしまうのだが……。
＜レビュー＞
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いじめられっ子とヴァンパイア。孤独な魂のふれあいを詩情豊かに描く
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スウェーデンのヴァンパイア映画。ヨン・アイビデ・リンドクビストのベスト
セラー小説「モールス」の映画化だそうです。
12歳の少年オスカーとヴァンパイアの少女エリの淡い恋を描いたドラマです。
オスカーはいじめられっ子で、それを誰にも言えず、復讐を夢見る日々を過ご
しています（両親は離婚している模様）。一方、エリは、少女の姿で200年も生
き続け、人間の血を吸いながら町から町へと移り住んでいます。
そんな２人が知り合って、次第に親しくなっていきます。いじめっ子への反撃
を決意するなど、エリに励まされたオスカーは成長していきます。一方、エリ
は自分がヴァンパイヤであることを隠して、オスカーとつきあいます。
しかし、やがてオスカーはエリの秘密を知ってしまいます。とまどいつつも、
完全にエリを拒否できないオスカー。そして、あまりにも衝撃的なラストの展
開へ……。
ハグレ者同士の少年と少女の淡い恋が、繊細に描かれます。血を吸わずには生
きていけないエリ、それを知ってもどうすることもできないオスカー。２人の
切なさや哀しさが、手に取るように伝わってきます。
特に印象的なのが、２人の表情の切り取り方。単なる愛情ではなく、複雑な心
理が混ざった表情を細やかに映し出していきます。
映像も際立っています。スウェーデンの雪に覆われた冷たい風景が、詩情あふ
れる世界を生み出しています。ヴァンパイア映画ということで、グロテスクな
描写はあるものの、あまり凄惨な感じはしません。
ベッドに入り込んできたエリにオスカーが「つきあってくれる？」と尋ねるほ
ほえましいシーン、エリが血を吸った唇でオスカーとキスする官能的なシーン、
モールス信号を使った２人の交信など、印象的なシーンがたくさん登場します。
クライマックスでの見つめあう２人の表情が圧巻。一見、唐突に思えるラスト
も、孤独な２つの魂が行き着く先に思いをはせれば納得。余韻を残してエンデ
ィングを迎えます。
オスカー役の金髪の少年カーレ・ヘーデブラントの初々しさ、エリ役のリー
ナ・レアンデションのやや中性的で浮遊感のある演技も見事。
過去のヴァンパイア映画とは違う、哀しくて、切なくて、美しい世界にすっか
り酔わされてしまいました。
≪ぽちの満足度≫
★★★★☆
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（詩情あふれ映像美と繊細な心理描写で、最初から最後までスクリーンから目
が離せず。ここ数年のヴァンパイア映画ではピカイチかも。）
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2010年7月10日（土）銀座テアトルシネマにて。午後4時20分の回
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