ブーリン家の姉妹(THE OTHER BOLEYN GIRL)


(2008年 アメリカ・イギリス)(上映時間1時間55分)
監督:ジャスティン・チャドウィック
出演:ナタリー・ポートマン、スカーレット・ヨハンソン、エリック・バナ、
ジム・スタージェス、マーク・ライアンス、クリスティン・スコット・トーマ
ス、デビッド・モリッシー、ベネディクト・カンバーバッチ、オリバー・コー
ルマン、アナ・トレント、エディ・レッドメイン
* シャンテシネほかにて公開
ホームページ http://www.boleyn.jp/
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<ストーリー>
16世紀のイングランド。国王ヘンリー8世(エリック・バナ)は、王妃キャサ
リンとの間に男子の世継ぎができず、夫婦仲は悪化していた。そこに目を付け
た新興貴族ブーリン家は、長女アン(ナタリー・ポートマン)を王の愛人に仕
立てようとする。ところが、ヘンリーが見初めたのは、結婚したばかりの次女
メアリー(スカーレット・ヨハンソン)だった。まもなく、ヘンリーはブーリ
ン一家を宮中に住まわせ、メアリーを愛人にするのだが……。

<レビュー>
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姉妹によるドロドロの愛憎劇を絶妙のキャストで描く
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日本の『大奥』などもそうですが、権力者をめぐる愛憎劇は面白いネタです。
しかも、この映画には姉妹の確執という要素も加わっているから、ますます面
白くなっています。

イングランド王ヘンリー8世と王妃の仲がギクシャク。そこに目を付けた新興
貴族のブーリン家が、長女のアンを愛人にしようとします。もしも彼女が世継
ぎを生めば、一族には富と名誉がドーンとやってくるはず。ところが、ヘン
リー8世はアンではなく、人妻になったばかりの次女メアリーを気に入って、愛
人にしてしまいます。愛人の座を横取りされたアンは、次第にメアリーを憎む
ようになって……。

話の筋は、フジTV系列の昼ドラあたりでやりそうなドロドロの愛憎劇。特に
後半のドロドロさはかなり過激。あわや禁断の世界へ!

しかし、そのドロドロの世界を王宮の暗くて荘厳な雰囲気の中で、ギトギトし
すぎたり、お下品にならないように、節度を持って描いているのがこの映画の
偉いところ。

しかも、姉妹の心理がうまく描かれています。二人は常にバトルをしているわ
けではなくて、憎しみの炎をメラメラと燃え上がらせたかと思うと、姉妹愛を
見せたりして、いろいろと心理が変化します。そんな屈折した心理をきちんと
描いています。

『クイーン』のピーター・モーガンの脚本、俳優でもあるジャスティン・チャ
ドウィックの演出もいいけれど、なんといっても配役が絶妙ですね。愛人にな
るのに乗り気だったりする野心家で積極的な姉をナタリー・ポートマン、おく
ゆかしくて控えめな妹をスカーレット・ヨハンソン。これ、イメージ的には、
どう見ても逆の配役でしょう。でも、この意表を突いたキャストが大成功。姉
妹それぞれの陰影がクッキリと出ています。

姉妹の両親や王妃など、周囲の人々もよく描写されています。特に姉妹の母親
が、富や名声のためにすべてを犠牲にする男どもを、一刀両断に斬って捨てる
ところは痛快。

ついでにいえば、歴史のお勉強にもなります。ヘンリー8世の離婚騒動とイギ
リス国教会の誕生、そしてエリサベス1世(アンの娘)へと続くイギリスの歴
史が、よくわかります。

ちなみに、観客は女性が大半なのですが、女の人のほうが、こういうお話が好
きなんでしょうか? とにかく女性が大活躍する映画ですしね。次々に女を乗
り換えるヘンリー8世はじめ、登場する男は情けないヤツが多いので、男性が
観ると自己嫌悪に陥ったりして(笑)。

《ぽちの満足度》
★★★☆☆(+1/2★)

《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆(+1/2★)
(歴史的な知識がなくても大丈夫です。ナタリー・ポートマンとスカーレッ
ト・ヨハンソンの共演だけでも観る価値あり)
                              (田中ひろあき(ぽち))
〔鑑賞データ〕
2008年11月1日(土)シネ・リーブル池袋にて。午後1時55分の回


[「ふ」のページ]




ブーリン家の姉妹
ジャスティン・チャドウィック
ナタリー・ポートマン
スカーレット・ヨハンソン
エリック・バナ