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ブレイブ ワン（THE BRAVE ONE）
（2007年 アメリカ）（上映時間2時間2分）
監督：ニール・ジョーダン
出演：ジョディ・フォスター、テレンス・ハワード、ナヴィーン・アンドリ
ュース、メアリー・スティーンバージェン、ニッキー・カット
＊サロンパス ルーブル丸の内ほかにて全国公開
ホームページ http://wwws.warnerbros.co.jp/thebraveone/
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＜ストーリー＞
ニューヨークでラジオのパーソナリティを務めるエリカ（ジョディ・フォス
ター）は、散歩中に暴漢に襲われ、婚約者を殺され自分も瀕死の重傷を負う。
傷ついた彼女は、自分で身を守るしかないと思い拳銃を手に入れる。ある時、
偶然入ったコンビニで元妻を銃殺した男を撃ち殺した彼女は、それをきっかけ
に思わぬ行動を開始する……。
＜レビュー＞
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主人公の内面をリアルに描き出した復讐の人間ドラマ
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一人の女性による壮絶な復讐劇です。ジャンル分けすればサスペンスというこ
とになるのでしょうが、筋書きにヒネリがあるわけでも、迫力のアクションが
あるわけでもありません。むしろ主人公の内面を描いた人間ドラマの側面が強
い映画です。
主人公はニューヨークのラジオパーソナリティのエリカ。恋人と結婚間近のあ
る日、彼とセントラルパークを散歩していたところ、暴漢に襲われてしまう。
恋人は死亡。彼女も瀕死の重傷を負う。
体の傷はなんとか回復したものの、周囲の人間がすべて暴漢に見えてしまうほ
どエリカの心の傷は深かった。そこで、彼女は一丁の拳銃を買い求める。あく
までも護身用のはずだったが、あることで一度引き金を引いた彼女は、それを
きっかけに自らの手で犯罪者を裁いていく……。
こうして以前とはまったく変わってしまったエリカと、彼女を追う刑事の姿が
描かれていきます。
中心に描かれるのはエリカの心の動き。幸せの絶頂にあった日常が一変し、心
に大きな傷を負う。それがもとで善と悪との境界線を越えてしまう。そんな彼
女の苦しみ、悲しみ、怒り、そして復讐心が、どれも手に取るように伝わって
きます。
秀作『クライング・ゲーム』や『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』など
で知られるニール・ジョーダン監督の演出は実に巧みで、エリカの微妙な心理
を余すところなく描ききっています。
もちろんエリカに扮するジョディ・フォスターの演技も素晴らしいものです。
復讐といってもただ爆発するのではなく、善と悪との狭間で葛藤する姿が印象
的です。
あまりにリアルにエリカの心情が伝わってきて、時には重苦しさに胸が痛くな
るほど。観ているうちに、まるで我が事のように思えてきました。だから、多
少の強引な展開もまったく気になりませんでした。
このドラマの舞台はニューヨーク。その街の雰囲気もとてもよく描かれていま
す。ふだんは平和なように見えるのに、一つ間違えばとんでもない世界が待ち
受けている街。安全と危険が隣り合わせの雰囲気がそのまま伝わってきます。
エリカのラジオパーソナリティという仕事も、効果的に使われています。
ストーリー自体にヒネリはないものの、ラストにはかなり驚かされました。彼
女を追う刑事がある行動に出るのですが、「いくら何でもあのラストはどうな
の？」と大いに疑問に思いました。
ただし、後になって少し冷静になって考えると、「やはりあのラストしかなか
ったのかな……」という気もします。それというのも、この映画のテーマは実
に重たく深いもの。そんなシビアなテーマを観客に投げかけるには、つくり手
にとって、ああいうラストがベストとは言わないまでもベターだったのかもし
れません。その後のエリカの運命を考えれば、実に重く示唆に富んだラストと
いえるかもしれませんね。
ジョディ・フォスターに加え、刑事役のテレンス・ハワード（『Ray／レイ』
『クラッシュ』）も深みのある演技を見せています。
「復讐とは何か？」「善と悪との境界線はどこにあるのか？」。そんなことを
突きつけられる映画です。もしも、自分がエリカの立場だったらどう行動する
のか。観終わって観客の誰もが考えさせられることでしょう。
《ぽちの満足度》
★★★☆☆（＋1／2★）
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆（＋1／2★）
（重いテーマを突きつけられるサスペンスの秀作。ほぼ★4つの評価ですが、ラ
ストにやや違和感も……。）
（ぽち）
〔鑑賞データ〕
2007年10月27日（土）ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午後1時の回。
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