ブロークン(The Broken)


(2008年 イギリス・フランス)(上映時間1時間22分)
監督・脚本:ショーン・エリス
出演:レナ・ヘディ、リチャード・ジェンキンス、ミシェル・ダンカン、アシ
エル・ニューマン、メルビル・プポー
*テアトルタイムズスクエアほかにて公開
ホームページ http://www.broken-movie.jp/
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<ストーリー>
ロンドンに暮らすX線技師のジーナ(レナ・ヘディ)が家族とともに父親の誕
生日を祝っていると、突然大きな鏡が割れる。彼らは「鏡が割れると7年間不
幸が続く」という不吉な迷信を笑って口にする。翌日、ジーナは自分と瓜二つ
の人間が自分と同じ車に乗っているのを目撃する。あとをつけると、そこには
自分と全く同じ部屋があった。その帰途、事故に遭ったジーナは命こそ助かっ
たものの、事故前後の記憶が欠落してしまう。それから、彼女の周りでは奇妙
な出来事が次々と起こるようになって……。

<レビュー>
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寒々しい映像で綴る緊迫感に満ちたサスペンス・スリラー
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この映画の監督、ショーン・エリスはもともとファッション・フォトグラフ
ァーとして活躍し、その後ミュージック・ビデオなどの映像に進出、そして、
監督デビュー作の前作『フローズン・タイム』が、かなり話題になりました
(筆者は未見ですが)。

この経歴を見れば想像がつくように、とにかく映像が素晴らしいです。どの
シーンも、まったく手を抜いたところがありません。

物語自体は、それほど奇抜なものではありません。X線技師で幸せそうなヒロ
インが、交通事故でケガをしたのをきっかけに、不思議な出来事に次々と遭遇
し、その裏にある衝撃の真実を知るというお話。

しかし、この映画にはいくつかの工夫があります。まず、突然鏡が割れた時に
飛び出す「鏡が割れると7年間不幸が続く」という迷信をふまえて、鏡を使っ
てドラマに緊迫感をもたらしています。

また、主人公の前に突然現れる自分とそっくりの女、心臓が右側にある珍しい
ケースなどに象徴されるシンメトリー(左右対称)も重要な要素として使われ
ます。映像もシンメトリーを意識して描かれています。

映像全体のタッチは寒々しくて、暗い雰囲気。何気ないシーンにさえ不気味な
恐怖感が漂います。音楽や効果音も印象的。静かなシーンで突然響く衝撃音!
といったところで、ゾクゾクする恐さがタップリ味わえます。

ヒッチコックを意識しているようなシーンもあります。特にシャワーシーンは、
音楽の使い方もかなり似てますね。

自分に似た女を目撃した直後に事故に遭い、それから恋人が他人に思えるなど、
どんどん迷宮に入っていく主人公。不思議な出来事に遭遇するうちに憔悴して
いきます。これだけ謎をばら撒いて恐がらせたあとで、いったいどんな結末が
用意されているのか?

と思ったら、ラストのオチはそれほどビックリするものではありませんでした。
まあ、結局、ああいうオチしかないでしょうね。SFじゃないんだから、異次
元世界を登場させるわけにもいかないでしょうし……。

それでも、最後の最後まで謎めいた不気味な雰囲気で、余韻の残る終わり方で
した。

主演の『300 <スリーハンドレッド>』のレナ・ヘディは、無気質な感じが
この映画にはピッタリ。

観終わってしまうと、「な〜んだ」という気はするものの、観ている間の緊迫
感、ゾクゾクするような恐さはホンモノ。映像だけでもなかなかの映画でした。

《ぽちの満足度》
★★★☆☆

《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆
(緊迫感あふれる不気味な映像は見応え十分。ゾクゾクしたい方にはオスス
メ。)
                              (田中ひろあき(ぽち))
〔鑑賞データ〕
2008年11月16日(日)テアトルタイムズスクエアにて。午後2時10分の回


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ショーン・エリス
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