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ブロークン・フラワーズ（BROKEN FLOWERS）
（2005年 アメリカ）（上映時間1時間46分）
監督：ジム・ジャームッシュ
出演：ビル・マーレイ、ジェフリー・ライト、シャロン・ストーン、フランセ
ス・コンロイ、ジェシカ・ラング、ティルダ・スウィントン
＊シネマライズほかにて公開
ホームページ http://www.brokenflowers.jp/
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＜ストーリー＞
インターネット・ビジネスで大儲けした元プレイボーイのドン・ジョンストン
（ビル・マーレイ）は、勝手気ままな独身生活を送り、恋人から愛想を尽かさ
れてしまう。そんな時、彼のもとに差出人不明のピンクの手紙が届く。便せん
には「19年前にあなたとの間にできた子供が訪ねていく」と書かれていた。そ
れを聞いた親友のウィンストン（ジェフリー・ライト）は、ドンが当時付き合
っていた女性たちを訪ねて回る旅を段取りしてしまう。気乗りしないながら、
息子探しの旅へ出かけるドンだったが……。
＜レビュー＞
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過去の自分に向き合ってしまった熟年男の切なく苦いロードムービー
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思わぬことから、自分の過去と向き合ってしまった熟年男の悲哀を鬼才ジム・
ジャームッシュ監督が描いた映画。いやぁ〜、切ないですねぇ〜。苦いですね
ぇ〜。大人の映画ですねぇ〜。
ちなみに、去年のカンヌ国際映画祭で、グランプリ（最高賞の次）を受賞した
作品です。
主人公はビル・マーレイ演じるお金持ちドン。若い時から気ままに暮らして今
も独身。恋人も家を出てしまう。そんな時に突如届いた謎の手紙「あなたの息
子が訪ねていきます」。それを知ったおせっかいで強引な隣人のおかげで、か
つての女性たちを訪ねる旅へと出発……というロードムービーなわけです。
前半は、突然、届いた手紙に戸惑うドンの姿が描かれます。表面的には、「そ
んなこと気にしちゃいないさ」てな感じなのに、実はけっこう気になっていた
りします。隣人の介入を迷惑がりつつも、結局、計画に乗って旅に出るドン。
中盤以降は、４人の女性たちを訪ねるドンの姿が描かれます。今はそれぞれの
生活がある彼女たち。当然ながら昔とは姿かたちも変わっています。同時に変
わらないものもある。それを前にして、懐かしさと驚き、感傷など、様々な感
情に襲われてしまうドン。そんな彼の微妙な心理を切り取るジャームッシュ監
督の手腕が見事です。特にセリフ以外のところで巧みに表現していくんですよ
ねぇ〜。
忘れようとしても忘れられない思い出。でも、もう昔には戻れない。俺は彼女
たちにどう接すればいいのだ？？？？？
そんなドンの戸惑いが、たまらんですなぁ〜。まさに過去の人生を突きつけら
れるドンなのでした。切な過ぎるぞ！ 熟年オヤジ。 （´＿｀。）
ジャームッシュ監督らしく音楽の使い方もセンスがいいですねぇ〜。特に全編
に流れるエチオピアの音楽がミョーにはまっているんですよねぇ〜。
主人公のビル・マーレイの無表情さもいい味出してます。その中に、複雑な感
情をチラチラと出していく演技が印象的。ちょっと『ロスト・イン・トランス
レーション』に似た熟年オヤジの悲哀をかもし出します。
でもって、４人の女性たちもいいんですよ。シャロン・ストーン、フランセ
ス・コンロイ、ジェシカ・ラング、ティルダ・スウィントンという顔ぶれ。み
んな個性があって、存在感が光ります。昔の男が突然訪ねてきた混乱、怒り、
悲しみ、懐かしさ。いろんな感情が表現されます。
ラストの含みのある終わり方も心に残ります。最後のビル・マーレイの表情が
実にいいんですよ。ジンワリ心に染みてくる感じですねぇ〜。 （・＿・、）
地味ですが、大人の切なさや苦さが伝わってくる哀愁あふれる映画です。しか
も、けっして深刻ぶっていなくて、全編がユーモラス。主人公の名前をドン・
ジョンストンにしたのもミソ。そのほかにも、いろんな小ネタを使って、観客
をクスクス笑わせながら、熟年男の哀愁を感じさせていくのです。
まあ、主人公に近い世代の人なら、文句ナシにその心情が理解できるでしょう
し、そうでない人もそれなりにグッとくるはず。どんな人にも、もう取り戻せ
ない過去はあるんだから……。
《ぽちのオススメ度》
★★★★☆
（軽妙さの奥から深みのある人間ドラマが浮かび上がる映画。気楽に観ながら
人生の機微を感じてください。）
＜ぽち＞
〔鑑賞データ〕
2006年４月29日（土）シネ・リーブル池袋にて。午後２時40分の回。
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