|
キャプテントキオ
（2007年 日本）（上映時間１時間35分）
監督・脚本・出演：渡辺一志
出演：ウエンツ瑛士、中尾明慶、泉谷しげる、いしだ壱成、渋川清彦、飯田一
期、藤谷文子、山岡由実、日村勇紀、車だん吉、石立鉄男
＊渋谷シネマＧＡＧＡ！ シネ・リーブル池袋ほかにて全国公開
ホームページ http://www.captain-tokio.com/
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
＜ストーリー＞
西暦20XX年、マグニチュード10の大地震が東京を直撃した。荒廃した東京は日
本政府に切り捨てられ、無法地帯の"新・東京都"となる。映画好きのフルタ
（ウエンツ瑛士）とロック好きのニッタ（中尾明慶）は、巨大ロックライブが
開かれるという噂を聞いて新・東京都にやって来る。２人は映画製作をしてい
る集団と遭遇し、彼らの撮影を手伝うことになるのだが……。
＜レビュー＞
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ハチャメチャなオバカ映画と思いきや、けっこうマジメな青春友情物語
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ウエンツ瑛士主演といえば、『ゲゲゲの鬼太郎』ばかりが話題ですが、こちら
のほうがれっきとした初主演映画です。
予告編を観た時には、ただのハチャメチャなオバカ映画かと思ったんですヨ。
確かに導入部はハチャメチャな感じ。地震で壊滅して犯罪都市となった東京に
やってきた２人の高校生、ウエンツ君演じるフルタと中尾君演じるニッタ。し
かし、いきなり警官姿の追いはぎに身ぐるみはがれ、人買いに運ばれる途中で、
アナーキーな撮影方法で映画をつくる集団に遭遇。彼らを手伝うようになる…
…。
とにかく出てくるヤツがみんなマトモじゃありません。どう見ても警官の車だ
ん吉が追いはぎだったり、アナーキーな映画製作集団がバズーカ砲をぶっ放し
たり。
そんな中、２人は映画製作を手伝うようになり、映画好きのフルタはどんどん
熱中していきます。それに対してロック好きのニッタは何をやってもダメ。２
人の間に微妙な気持ちのすれ違いが生じます。
そこに登場するのが泉谷しげる演じる東京都知事。フルタに接近した彼は、自
分を主人公にした映画を撮るように依頼する。待望の監督ができるとあって張
り切るフルタだったが……。
途中までは相変わらずの完全なオバカ映画テイスト。近未来の東京を舞台にワ
ケのわからんヤツがバカをやっています。特に警官役の日村勇紀が爆笑ものの
演技。しかし、それを上回るのが泉谷しげるの怪演。あのハジケ方は異常だよ
なぁ〜。誰もかないません。
都知事によるお笑いコンテストでは、ダンディ坂野も登場して笑えない芸を披
露。もう完全にこれはオバカ映画の世界だぁ〜〜！！
などと思って観ていたのですが、そのうちに気づいてしまいました。これって、
意外にマジメな青春友情物語ではないですか。映画好きとロック好きの仲の良
い高校生。しかし、徐々に友情にヒビが入る。そして、そこに付け込むエゲツ
ナイ大人。翻弄される２人だったが、そのうちに大切なものに気づいて……。
フルタのちょっとした恋心なども散りばめながら、実にまっとうな青春ストー
リーが展開されているのです。近未来ＳＦと強烈キャラの登場で、すぐにはそ
れに気づかなかったんですが。
青春映画らしくテンポもとってもいいです。ＰＡＮＴＡ（頭脳警察）による音
楽もロックな香り満載で、この映画のテイストにピッタリ。
マニアックな映画ネタや音楽ネタ、「北斗の拳」のナレーターを起用したり、
石立鉄男演じる奇妙な老人役の独白にドラマ「パパと呼ばないで」を流したり
といった、遊び心タップリの仕掛けも楽しい。
難点といえば、アナーキーでオバカな要素と、まっとうな青春映画の要素とが
詰め込まれているためやや窮屈なところでしょうか。フルタとニッタ、それに
サブキャラについて、背負ったものをもっとツッコンでみてもよかったかも。
監督は『１９』『スペースポリス』の渡辺一志。自ら映画監督役（そのまんま
やんけ！）で出演です。
アナーキーな笑いの中に、青春映画が展開されているので、けっこう楽しく観
られる映画だと思います。とはいえ、観客の主流を占めると思われるウエンツ
＆中尾ファンの若いコたちに、こういう映画が理解されるのだろうか？？？
マニアックなネタがわかるのだろうか？？？ 頭脳警察を知っているヤツもほ
ぼ皆無ではないのだろうか？？？
うーむ、アイドル主演で、大プロダクションや大レコード会社が製作に加わっ
た映画で、こんな無謀なことをする暴挙に拍手だッ！！！
というわけで、個人的にはけっこう楽しめたものの、とてもヒットするとは思
えない映画なのでした……。
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆
（とりあえずウェンツ＆中尾ファンは観ときましょう。やっぱり、主人公たち
と年齢の近い若い人のほうが共感できるかな。）
＜ぽち＞
〔鑑賞データ〕
2007年2月17日（土）シネ・リーブル池袋にて。午後5時20分の回
[「き」のページ] |
|