カーズ

カーズ（CARS）

（2006年　アメリカ）（上映時間２時間２分）
監督：ジョン・ラセター
声の出演：オーウェン・ウィルソン、ポール・ニューマン、ボニー・ハント、
ラリー・ザ・ケイブル・ガイ、チーチ・マリン、トニー・シャルーブ
＊日比谷スカラ座、渋東シネタワーほかにて全国公開
ホームページ　http://www.disney.co.jp/movies/cars/index.html
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＜ストーリー＞
若き天才レーサー、ライトニング・マックイーンは、レース会場への移動中に
小さな田舎町"ラジエーター・スプリングス"に迷い込んでしまう。そこは以前
の繁栄がウソのようにさびれた町で、見るからに風変わりな住民たちが住んで
いた。この町に足止めをくらってしまい、早くレース会場に戻らねばと焦るマ
ックイーン。だが、奇妙な住民たちと一緒に過ごすうちに、彼の心に少しずつ
変化が見え始める……。

＜レビュー＞
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登場するのはクルマだけ。若者の成長を描いた大人のアニメ
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日本のアニメがスタジオジブリなら、アメリカのアニメはピクサー。『ファイ
ンディング・ニモ』『Ｍｒ．インクレディブル』のピクサー社の新作アニメは、
クルマの世界を舞台に描く冒険ファンタジーです。

人間が登場せずに、動物だけのアニメなどはよくありますが、この映画に登場
するのはクルマだけ。人間どころか生き物もまったく登場しないのだ！！！
それでも、クルマたちをまるで人間のように描いて、ちゃんとした人間ドラマ
（クルマドラマ？）を展開しているからエラいもの。

なんといっても映像が素晴らしい！　オープニングのレースシーンは実写以上
の迫力。大自然の姿なども、美しく、雄大で、息を飲むほどの見事さです。

さすがにクルマは表情豊かとまではいきませんが、それでもすべてのキャラク
ターが際立っています。かつての名レーサーのドック（声はポール・ニューマ
ン！）、オンボロ・レッカー車のメーターなど、どれも人間顔負けの豊かなキ
ャラクターの持ち主です。

ドラマの背景にあるのは、ルート66沿いにある町の衰退。かつては歌にも歌わ
れるほど繁栄したものの、高速道路の登場とともに衰退。その事実を取り上げ
て、「何でも速ければそれでいいのか？」という現代社会に対する問題提起を
ドーンと投げかけています。

そのうえで展開されるのが若者の成長のドラマ。主人公（主人クルマ？）のラ
イトニング・マックイーンは、新人ながら素晴らしい才能を見せ付けるレー
サー。しかし、独善的で、勝利しか考えない性格。そんな彼がたまたま迷い込
んだある町で、不思議な人々とふれあううちに、自己チューな性格が変化し、
ただ勝てばいいという思いが消えていく。そんな成長物語がちゃーんと描かれ
ているのです。

全体はコメディータッチ。けっこう辛口の笑いが多くて、最近のアメリカ的な
民主主義を皮肉ったようなところもあります。これって、吹き替え版を中心に
子供の観客も多そうですが、子供にはわかんないよねぇ～。やっぱりこれは大
人のためのアニメだよなぁ～。

ドラマの展開は予想通りだし、優等生的な印象はぬぐえませんが、それでもた
だオチャラケるだけでなく、マジメなメッセージを伝えようとするジョン・ラ
セター監督たちの姿勢には、好感が持てました。

ただし、やっぱりクルマだけのアニメを２時間も見せられるのはツライ……。
クルマ好きでないボクにはなおさら。アメリカ人って、ホントにクルマやカー
レースが大好きだよなぁ～。

《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆
（あまりにもパターン的なドラマには物足りなさが残るものの、よく出来たア
ニメなのは確か。クルマ好きには特にオススメ。子供より大人向けです）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜ぽち＞
〔鑑賞データ〕
2006年７月１日（土）池袋ＨＵＭＡＸシネマズ４にて。午後４時の回

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