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００７／カジノ・ロワイヤル（CASINO ROYALE）
（2006年 アメリカ・イギリス）（上映時間２時間24分）
監督：マーティン・キャンベル
出演：ダニエル・クレイグ、エヴァ・グリーン、マッツ・ミケルセン、ジュデ
ィ・デンチ、ジェフリー・ライト、ジャンカルロ・ジャンニーニ、サイモン・
アブカリアン、カテリーナ・ムリーノ、イワナ・ミルセヴィッチ
＊サロンパスルーブル丸の内、渋谷ＴＯＥＩ２ほかにて全国公開
ホームページ http://www.sonypictures.jp/movies/casinoroyale/
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＜ストーリー＞
"００７"として初めての任務に挑むジェームズ・ボンド（ダニエル・クレイ
グ）は、世界中のテロリストを資金面で支える男、ル・シッフル（マッツ・ミ
ケルセン）を追う。彼が、モンテネグロの"カジノ・ロワイヤル"でポーカーの
勝負に出ることを知ったボンドは、組織を壊滅に追い込むためモンテネグロへ
と向かう。そんなボンドのもとに監視役として美女ヴェスパー・リンド（エヴ
ァ・グリーン）が送り込まれるのだが……。
＜レビュー＞
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最近のシリーズとは一線を画す新しい魅力のボンド登場
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最近の００７ってパターン化していて、どうにも観る気がしなかったのですが、
ダニエル・クレイグが新ジェームズ・ボンドに抜擢されたというので観てみま
した。
そうしたら、これがなかなかいいのですよ。ダークでワイルドなタッチがとて
も印象的。ゴージャスさは影を潜め、ゴツゴツした感じが全編に漂います。
物語は、若き日のボンドのお話。００７に昇進したものの、後先考えず突っ走
る暴走列車。ボスのＭの言うことさえまともに聞かず、人を殺すことも何とも
思っていない。そんなアウトローな雰囲気のボンドが、世界を舞台にテロ資金
を追っていくというお話。
原作はシリーズの原点である昔の話。いわば「００７ビギニング」なのに、9.1
1後の世の中を舞台にしているところがユニークです。と思ったら、脚本には
『クラッシュ』やイーストウッド作品でおなじみのポール・ハギスが参加して
いるではありませんか。物語にできるだけリアリティを持たせようとしている
のは、彼の影響によるものかもしれません。
とはいえ、目玉はやっぱりアクション！ オープニングから間もない高所での
アクション、その後の空港でのアクションなど、どれも迫力タップリです。し
かも、飛び道具を使ったり、カッコよさにこだわったアクションではなく、肉
体を生かした骨っぽいアクションが目立ちます。
中盤以降は、タイトル通りに、カジノでのポーカー勝負が中心に描かれます。
相手の心理を読みあう微妙なおもしろさ、さらにゲームの背後で動く陰謀など
を描きつつ、ポーカーを知らない観客も飽きさせない工夫をしています。ただ
し、テロ資金をポーカーで増やすという設定が、ちょっと現実味が薄い気もす
るのですが……。
そのポーカー勝負と同時並行で、ボンドとお目付け役として派遣された女性と
の愛のドラマが描かれていきます。ここで効果的なのは、ボンドが彼女を愛す
ることで、それまでとは違う人間らしさを持つに至る展開。深〜いというほど
ではないけれど、ただの甘〜いラブ・ストーリーとはひと味違う魅力がありま
す。今回のボンドは完全無欠なヒーローではなく、人間臭い男。だからこそ、
愛によって変身するワケ。
しかし、やはりボンドにはありきたりの平和などありえません。ラストにはど
んでん返しが用意されています。イタリアでのスケールの大きなアクションも
見応え十分です。
ダニエル・クレイグは、ボンドに新しい息吹を吹き込む演技。肉体改造して挑
んだアクションも迫力満点。舞台で鍛えた演技力も、ジュディ・デンチ演じる
Ｍとのやり取りなどで発揮されていました。
悪役のマッツ・ミケルセンの怖さは一級品で、背筋ゾクゾクもの。ボンドの恋
人役エヴァ・グリーンのいかにもインテリ風な美しさに加え、ジェフリー・ラ
イト、ジャンカルロ・ジャンニーニといったあたりを要所に配したその他の脇
役陣も見応えがあります。
これまでのボンドとは一線を画すタッチには好感が持てるし、迫力のアクショ
ンといい、愛のドラマといい、エンターティメントとしてはまずまずの映画だ
と思います。次回作も楽しみ。
ただし、時間が長いのが玉にキズかな。さすがにこの手の映画で２時間24分は
長い。もう少し整理して２時間ちょっとの映画にしてくれたら、もっと楽しめ
たと思うのですが。
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆
（最近の００７シリーズに比べたら、けっこう見応えがあると思います。今ま
でのファンは戸惑うかもしれませんが……。）
＜ぽち＞
〔鑑賞データ〕
2006年12月3日（日）ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午後1時45分の回
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