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チェイサー（THE CHASER）
（2008年 韓国）（上映時間2時間5分）
監督・脚本：ナ・ホンジン
出演：キム・ユンソク、ハ・ジョンウ、ソ・ヨンヒ
＊シネマスクエアとうきゅうほかにて全国公開
ホームページ http://www.chaser-movie.com/
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＜ストーリー＞
元刑事のジュンホ（キム・ユンソク）が経営するデリヘルから、女たちが相次
いで失踪する。彼女達が最後に会った客の電話番号が同じことに気づくジュン
ホ。直前に行方不明になったミジン（ソ・ヨンヒ）を探すうちに、電話番号の
持ち主の青年ヨンミン（ハ・ジョンウ）と遭遇する。まもなくヨンミンは逮捕
されるのだが……。
＜レビュー＞
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まったく途切れない緊張感。連続殺人をめぐる異色の追跡劇
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なんなんだ？？？ この濃密さは。押しつぶされそうな緊張感は！！！
「チェイサー」というタイトルが示すように、連続猟奇殺人事件をめぐる追跡
劇です。といっても普通のサスペンスのように、犯人をストレートに追跡する
わけではありません。
デリヘルを経営する元刑事ジュンホの店から女が相次いで失踪。彼女達が最後
に会ったと思われる客の電話番号はどれも同じ。どうやらその客が関係してい
るらしいと気づいたジュンホは、直前にその客のところへ行ったミジンを探す。
途中で遭遇した不審な男が問題の電話番号の持ち主だとわかり、ジュンホは男
を捕まえて警察に突き出す……。
というわけで、犯人はあっけなく捕まってしまいます。しかし、ここから様々
な出来事が起きます。
最初ジュンホはヨンミンが女たちを売り飛ばしたと思っています。警察に突き
出したのもそのため。ところがそこでミジンは「殺した」と衝撃の事実を話す
のです。それをきっかけに、いよいよ追跡劇が本格化します。
追いかけるのは犯行現場、あるいは死体を埋めた場所です。警察は12時間以内
にそれがわからないとヨンミンを釈放しなければいけません。一方、ジュンホ
はミジンがまだ生きているのではないかと思い、彼女を探します。
その後、必死の追跡にもかかわらず、なかなか事態は進展しません。迷路の中
を進むように、何とかして真相に迫ろうとするジュンホ。その途中では、ミジ
ンの幼い娘が登場して、２人のぎこちない交流も描かれます。
脚本・監督のナ・ホンジンは新人ということですが、およそ新人らしからぬ手
腕です。全編に漂う息苦しいまでの緊張感。それがまったく途切れません。わ
ずか一日ほどの濃密な時間設定とはいえ、よくもまあこれほどの緊張感が出せ
るものです。
登場人物の心理描写も見事。ジュンホや刑事たちのジリジリするような焦燥感
がダイレクトに伝わってきます。彼らの追跡は強引なもの。その過程で描かれ
る逃げる相手を追いかけるシーンや格闘シーンもリアルです。
やがて、とうとうヨンミンが釈放されることになるものの、そこからまたもう
ひと山ある驚きの展開。いったんはハッピーエンドになるかと思いきや……。
けっしてあと味の良い結末ではありません。しかし、ジュンホのやり場のない
怒り、苦しみは十分に伝わってきます。ミジンからかかってきた電話、彼女の
娘の存在などが、効果的に使われています。特にラストの病室でのシーンは印
象的。最初は人間性を見せなかったジュンホが、殺人犯との出会いによって変
化するのが皮肉です。
議論が分かれそうなのは、ヨンミンの犯行動機がきっちり描かれていないこと。
しかし、それらしいヒントはいくつかあるし、あとは観客の判断に委ねたとい
うことでしょう。安直な動機を描くよりは、このほうがかえってよかった気が
します。
ちなみに、この映画、2004年に韓国で実際に起きた連続殺人事件をベースにし
ているとか。そして、ディカプリオ製作によるハリウッドリメイクも決定して
います。
《ぽちの満足度》
★★★★☆
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆（＋1／2★）
（すさまじい映画です。一瞬も途切れない緊張感を味わってください。猟奇殺
人ということで、多少のエグさはありますが。）
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2009年5月1日（金）ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午前10時45分の回
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