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ちょんまげぷりん
（2010年 日本）（上映時間1時間48分）
監督・脚本：中村義洋
出演：錦戸亮、ともさかりえ、今野浩喜、佐藤仁美、鈴木福、忽那汐里、堀部
圭亮、中村有志、井上順
＊恵比寿ガーデンシネマほかにて全国公開
ホームページ http://c-purin.jp/
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＜ストーリー＞
シングルマザーのひろ子（ともさかりえ）は一人息子の友也を抱え、子育てと
仕事に追われる毎日を送っていた。そんなある日、彼女は侍の格好をした青年
と出会う。その青年は、木島安兵衛（錦戸亮）という江戸時代の武士で、現代
にタイムスリップしてきたのだった。ひろ子の家に居候することになった安兵
衛は、そのお礼に家事一切を引き受ける。やがて、安兵衛は、お菓子作りの才
能を発揮して、コンクールにも出場するのだが……。
＜レビュー＞
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タイムスリップもので現代的テーマを追求
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江戸時代の武士が現代にタイムスリップしてきて、シングルマザー＆一人息子
と知り合い、交流を深めていくお話。タイムスリップものは数々あれど、この
映画の視点はなかなかユニークです。
全体はコメディー仕立て。大仰なサムライ口調をはじめ、タイムスリップして
きた安兵衛と現代社会とのギャップなどで笑わせます。全編に笑いどころが満
載です。
ドラマ的に面白いのが、ひろ子と友也の家に居候することになった安兵衛が、
そのお礼に家事を一切引き受けるところ。江戸時代は「男は外で仕事、女は家
の中で家事をする」のが常識。安兵衛も当然そうした考えの持ち主ながら、そ
れとは逆転した日常を送ることになります。
そのおかげで、それまで仕事と子育ての両立に苦労していたひろ子が、バリバ
リと仕事をこなすようになります。いわば安兵衛という「主夫」の出現によっ
て、ひろ子は輝き出すのです。息子の友也も、安兵衛を父親のように慕います。
こうして幸せを手に入れたように思えた家族ですが、やがて大きな転機が訪れ
ます。主夫として家事全般をこなすうちに、安兵衛はお菓子作りの才能を発揮
するようになります。そして、友也とともに出場したコンテストをきっかけに、
パティシエとなって忙しい日々を送るようになります。それによって再びひろ
子と友也の家庭から、主夫が姿を消してしまうのでした……。
タイムスリップというSFネタを通して、家庭における男女の役割分担、ワーク
ライフバランス、仕事の本質など、現在的なテーマを追求しているのがこの映
画の魅力。安兵衛が必死で仕事に打ち込む背景に、江戸時代における彼の境遇
が絡む設定も効果的です。
とはいえ、基本はあくまでも、ほのぼのとしたコメディー。その枠内で、さり
げなく様々な問題提起をしています。楽しく笑いながら、温かな気持ちになっ
て、ついでに仕事や家庭に関するあれこれを考える。そんな映画です。
脚本・監督は『アヒルと鴨のコインロッカー』『ジェネラル・ルージュの凱
旋』『ゴールデンスランバー』などの中村義洋。その手腕は今回も健在。コメ
ディーとしての笑わせ方に加え、お菓子コンテストの盛り上げ方なども見事で
す。老若男女誰でも楽しめる映画に仕上げています。
ラストもよくある展開ながら、巧みなまとめ方。和菓子屋での「再会」で観客
を温かな気持ちにしてくれます。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（ありふれたタイムスリップものながら、現代的テーマを追求した視点がユ
ニーク。誰でも楽しく笑えて、心が温かくなる映画。）
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2010年8月1日（日）シネ・リーブル池袋にて。午後2時30分の回
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