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クレイジー・ハート（CRAZY HEART）
（2009年 アメリカ）（上映時間1時間51分）
監督・脚本：スコット・クーパー
出演：ジェフ・ブリッジス、マギー・ギレンホール、ロバート・デュバル、コ
リン・ファレル、トム・バウアー、ジェームズ・キーン、ウィリアム・マルケ
ス、ライアン・ビンガム、ポール・ハーマン、リック・ダイアル、ジャック・
ネイション
＊TOHOシネマズシャンテほかにて全国公開
ホームページ http://movies.foxjapan.com/crazyheart/
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＜ストーリー＞
かつて一世を風靡した57歳のカントリー・シンガー、バッド・ブレイク（ジェ
フ・ブリッジス）は、今では酒に溺れて場末のバーなどのドサ回りで食いつな
いでいた。そんなある日、地方紙の女性記者でシングルマザーのジーン・クラ
ドック（マギー・ギレンホール）の取材を受けたバッドは、彼女に心を寄せる
ようになるのだが……。
＜レビュー＞
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人生の年輪と悲哀を感じさせる深みのある演技
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かつての人気カントリー・シンガーで今は落ちぶれた男が、シングルマザーの
女性記者と知り合ったのをきっかけに、再起を目指すようになる物語。ベタと
いえばこれほどベタな話はありません。
主人公と女性記者とのロマンスに加え、彼女の幼い息子に音信不通の自分の息
子を重ね合わせる父親の心情、かつての愛弟子との友情物語なども散りばめら
れているものの、それらも含めて、なんのヒネリもない手垢の付いたストー
リーです。演出も特に目を見張るようなところはありません。
しかし、それでもこの映画は魅力タップリ。心にじわじわと染み込む味わいの
ある感動物語に仕上がっています。
その原因は、主人公のカントリー・シンガーにジェフ・ブリッジスを起用して
いるから。
疲れた表情、酔った醜態、顔のシワ、ゼエゼエという息遣い……。さりげない
表情やしぐさが、人生の年輪と悲哀をそのまま表現しています。女性記者と知
り合って、人生に希望を見出すあたりも、説得力バツグンの演技。ウソくささ
がまったく感じられません。
味わい深い歌も素晴らしい！もともと音楽好きらしいのですが、それにしても
見事な歌声。主人公の人生を体現しています。「おれの歌は人生から生まれ
る」というポリシーが、素直に受け止められる歌声です。
ありふれたストーリーをこれだけのドラマにするのだから、第82回アカデミー
賞の主演男優賞も納得です。
主人公に再起のきっかけを与える女性記者役のマギー・ギレンホールの抑制的
な演技も印象的。プロデューサーも兼ねる名優ロバート・デュヴァルの存在感
のある演技も心に残りました。
あまり目立たないところでは、かつての愛弟子の人気シンガー役のコリン・フ
ァレルの男気を感じさせる演技も見もの。そして、こちらも素晴らしい歌声を
披露しています。
単純なハッピーエンドではなく、ほろ苦さを感じさせながら、それでもほのぼ
のとした余韻を残してくれるラストも好印象。「人生に遅すぎることはない。
いつからでもやり直せる」という前向きなメッセージが伝わってきます。
どんなにベタな話でも、これだけの名演技があれば、見応え十分の映画になる
ことを証明してくれる映画。ジェフ・ブリッジスの演技を心ゆくまで楽しみま
しょう。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（ベタなストーリーなれど、ジェフ・ブリッジスなどの名演技と音楽で見応え
ある映画に。しみじみと感動できます。）
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2010年6月21日（月）シネマート新宿にて。午後1時50分の回
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