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大統領暗殺（DEATH OF A PRESIDENT）
（2006年 イギリス）（上映時間1時間33分）
監督：ガブリエル・レンジ
出演：ヘンド・アヨウブ、ブライアン・ボーランド、ベッキー・アン・ベイ
カー、マイケル・ライリー・バーク、ロバート・マンジャルディ
＊ シャンテシネほかにて全国公開
ホームページ http://www.20071019.jp/
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＜ストーリー＞
シカゴを訪れたアメリカのブッシュ大統領が、演説後、何者かによって暗殺さ
れる。当局は少しでも疑わしい者を多数拘束するなど、強引な捜査を進める。
やがて容疑者としてシリア人の男が逮捕されるのだが……。
＜レビュー＞
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現在のアメリカのコワさをあぶり出す架空のドキュメンタリー映画
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ブッシュ大統領が暗殺された！！！
という設定でつくられた架空のドキュメンタリー。暗殺前後の警備陣やデモ隊
のようす、暗殺後の捜査のようす、そしてアメリカがどんな方向に動いていく
のかをリアルに描いています。
とにかく発想がユニークです。こういうネタを考える人もいないわけではない
でしょうが、実際にやってしまうのだから大したもの。批判を恐れぬその根性
にはただ拍手するのみ。
そして、出来もなかなかのものです。ブッシュ大統領やチェイニー副大統領な
どは、実際の映像を使って登場させ、それ以外のフィクションの部分と巧みに
融合させています。不自然さはまったくありません。
特に感心させられるのがインタビュー証言のつくり方。警察関係者、大統領ス
タッフ、ＦＢＩ捜査官、記者、容疑者、その家族などなど、すべての関係者は
役者が演じているのですが、これがいかにもホンモノのドキュメンタリーのよ
うなのです。
この映画の背景には、当然ながら現在のアメリカに対する強い問題意識があり
ます。右傾化して、何でもかんでもテロのせいにする政府。そのために、盗聴
をはじめ人権無視の行為を公然と行い、もはや警察国家と化している。そんな
現状への痛烈な批判が根底にある映画です。
デタラメな証拠でシリア人が犯人に仕立てられていくところでは、恐怖と怒り
が湧きあがってきます。いくらフィクションとはいえ、実際に似たようなこと
が行われているだけに、絵空事とは思えません。
ああいうブッシュの登場のさせ方について、アメリカでは「不道徳だ」という
意見もあるようです。また、「必然性があるのか？」という指摘もあるようで
すが、このぐらいやらなきゃダメですヨ。世界中の政府が「テロリストをやっ
つけろ！」の大合唱をしている中で、きちんとそのコワさを示さなきゃいけな
いんですから。
ただし、いくらリアルにつくったところで、現実にブッシュは生きているわけ
だから、多少の違和感が残るのは致し方ないところ。まさか本当にブッシュを
殺すワケにもいかないし。
そのあたりを考えれば、個人的には、この映画を通常のサスペンスドラマの形
式で描いても面白かった気がします。特に後半は真犯人探しが大きな要素にな
るだけに、そのへんをうまく使ってハラハラドキドキのサスペンスに仕上げた
ら、また別の魅力が生まれたかも。つくり手のメッセージも自然に伝わったの
では？
まあ、それはそれとして、問題意識を持ったユニークな映画なのは間違いあり
ません。今の時代には観る価値のある映画ではないでしょうか。
でも、これってアメリカ映画じゃなくてイギリス映画なのね。さすがにアメリ
カじゃ無理か……。
《ぽちの満足度》
★★★☆☆
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆
（架空とはいえ迫真のドキュメンタリー。今のアメリカに疑問を持っている方
はぜひどうぞ）
＜ぽち＞
〔鑑賞データ〕
2007年10月7日（日）ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午後4時30分の回。
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