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ダージリン急行（THE DARJEELING LIMITED）
（2007年 アメリカ）（上映時間1時間31分）
監督・製作・脚本：ウェス・アンダーソン
出演：オーウェン・ウィルソン、エイドリアン・ブロディ、ジェイソン・シュ
ワルツマン、 アンジェリカ・ヒューストン、アマラ・カラン、カミーラ・ラザ
フォード、イルファン・カーン
＊シャンテシネ、恵比寿ガーデンシネマほかにて全国公開
ホームページ http://darjeeling-movie.jp/
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＜ストーリー＞
長男フランシス（オーウェン・ウィルソン）、次男ピーター（エイドリアン・
ブロディ）、三男ジャック（ジェイソン・シュワルツマン）のホイットマン兄
弟は、フランシスの提案で、インド北西部を走るダージリン急行に乗り込む。
父の死をきっかけに絶縁状態だった兄弟の絆を取り戻すための旅だった。だが、
それぞれに問題を抱える兄弟はすぐに衝突してしまい……。
＜レビュー＞
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ユーモアいっぱいの３兄弟のインド旅行。仲直り＆生き直しはできる？
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父の事故死をきっかけにギクシャクしていた３人の兄弟が、ダージリン急行に
乗ってインドを旅行して、仲直りと人生のリセットをしようとするロードムー
ビー。
しかし、乗り気なのはお膳立てをした長男だけ。後の二人は仕方なく参加した
だけ。
しかも、３人はそれぞれに問題を抱えています。長男はバイク事故で瀕死の重
傷を負い顔中包帯だらけ。二男は父の遺品を独り占めにしたと非難され、妊娠
中の妻との仲もギクシャク。そして家族をネタにした小説を書き上げた三男は、
失恋の痛手から立ち直れず。
こんな超個性派の３人の旅だから、仲違いするのも当然のこと。ああだこうだ
とケンカばかりの旅。
そう聞くと、なんだかシリアスで重たいドラマのようですが、実際はまったく
違います。全編が笑いに満ちたユーモラスな映画。３人の旅はまさに珍道中。
東洋の神秘に憧れる西洋人のおかしな行動をはじめオフビートな笑いが満載で
す。
監督は『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』『ライフ・アクアティック』のウェ
ス・アンダーソン。これまでの作品と同じようにユル〜い雰囲気か漂う、クス
クス笑える作品です。
しかし、途中からやや雰囲気が変わってきます。すさまじい大ゲンカや奇行の
果てに、ついに３人は列車から追い出されてしまいます。
そして、ある衝撃的な事件が起きて、インドの小さな村と関わることになりま
す。そこでの出来事を通して、彼らは共通して心の傷となっている父の死と向
かい合うことになります。
こうして少しだけ３人の距離が縮まり、それぞれの人生が前向きに進むかと思
ったところで、もう１つの大きな心の傷が浮上します。それは長らく会ってい
ない母の存在。はたして彼らは母に会えるのか？
後半は３人それぞれの心の内に迫っていく展開です。さりげない描写を通して、
彼らの微妙な心の変化を見せていきます。インドという土地柄も効果的に使わ
れます。
観ているうちに、ジワジワと胸にしみこんでくるものがあります。心の傷を癒
すことや、一度壊れた人間関係を修復するのはとても難しいこと。それでも、
何とかやり直せるかもしれない。そんなポジティブな気持ちにさせられました。
オープニングと同じに、列車に飛び乗るシーンをラストに持ってくるところが
秀逸。しかも、トランクを使って新たな旅立ちを表現する巧みな仕掛け。さわ
やかなあと味の残る映画でした。
オーウェン・ウィルソン、エイドリアン・ブロディ、ジェイソン・シュワルツ
マンという３人の顔ぶれがなんとも良い味。３人の母親役のアンジェリカ・ヒ
ューストンも貫禄の演技。途中で出てくるインド人の男が、どこかで見た顔だ
と思ったら、『その名にちなんで』のイルファン・カーンでした。本筋とは関
係のないところでチラッと登場するビル・マーレーにも笑わせられます。
ちなみに、本編上映前には、ジェイソン・シュワルツマン演じる三男を主人公
にした、ナタリー・ポートマン共演のショート・フィルム『ホテル・シュヴァ
リエ』が上映されました。
《ぽちの満足度》
★★★☆☆
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆
（クスクス笑って、ジンワリできて、あと味さわやかな映画。オフビートな笑
いなど個性的なタッチなので、好き嫌いは分かれるでしょうが、なかなかの映
画だと思います。）
（ぽち）
〔鑑賞データ〕
2008年3月12日（水）新宿武蔵野館にて。午後4時55分の回
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