デス・プルーフ in グラインドハウス(Death Proof)


(2007年 アメリカ)(上映時間1時間53分)
監督・製作・脚本・撮影・出演:クエンティン・タランティーノ
出演:カート・ラッセル、ロザリオ・ドーソン、ローズ・マッゴーワン、シド
ニー・ターミア・ポワチエ、ゾーイ・ベル、マイケル・パークス
* TOHOシネマズ六本木ヒルズほかにて公開
ホームページ http://www.grindhousemovie.jp/
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<ストーリー>
テキサスの人気DJ、ジャングル・ジュリアは仲間たちとバーへ出かけ、楽し
い会話を繰り広げていた。そんな彼女たちを、ドクロマークの不気味な車に乗
る謎の男、スタントマン・マイク(カート・ラッセル)が狙う……。それから1
4ヵ月後、スタントウーマンのゾーイ(ゾーイ・ベル)は、売りに出されていた
憧れの車、70年代型ダッジ・チャレンジャーに仲間たちと試乗し、ボンネット
に乗って危険なスタントを始める。そんな彼女たちを、スタントマン・マイク
が、新たな獲物にしようとしていた……。

<レビュー>
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タランティーノやりたい放題! 白熱のカースタントは一見の価値アリ
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アメリカでは、かつてB級映画ばかりを2本立て、3本立てで上映する"グライ
ンドハウス"という映画館があったそうです。

「あれ、面白かったよな。復活させるか!」と意気投合したのが、クエンティ
ン・タランティーノ監督と盟友ロバート・ロドリゲス監督。それぞれが、いか
にもそれっぽいホラー映画を作ってアメリカでは2本立てで上映したのですが、
アメリカ以外ではどちらもディレクターズ・カット完全版として単独で公開と
なりました。

まあ、はっきり言ってタランティーノやりたい放題です。よく「映画はアート
か?エンタメか?」という議論がありますが、ある意味、タランティーノほど
エンタメと距離の遠い監督はいないかもしれません。何しろ、自分のやりたい
ことをしているだけで、お客のことなんか考えていませんもの。

絶対死なない「耐死仕様」の不気味な車(て、そんなのねえよ(笑))を操る
スタントマンが、殺人鬼となって女の子たちを次々に毒牙にかけるというB級
ホラー度満点のストーリー。

しかし、肝心のスタントマンが動き出すまでは、エロっぽい女の子たちがオゲ
レツなガールズトークを延々繰り広げる展開で、かなり退屈。美女によるセク
シーダンスもあったりして、あれがグラインドハウス映画の魅力なんでしょう
が……。

そんな中でも、凝りに凝っているタランティーノ監督。わざと映画にノイズを
入れたり、フィルムに傷をつけるなど、昔の映画の雰囲気を忠実に再現してい
ます。音楽も最高にイカしています。

そして、いよいよ狂気のスタントマン・マイクが行動を開始すれば、それはも
う背筋ゾクゾクものの世界に突入。女の子たちが血だらけでのたうち回り、手
足がぶっ飛ぶ凄惨なシーンは、いかにもB級ホラーらしい魅力にあふれていま
す。

後半も前半同様に、セクシーな女の子たちがガールズトークを繰り広げるので
すが、これまた前半同様に思わず眠気を催す退屈な展開。

しかし、そこにまもなくスタントウーマンのゾーイが加わります。そして、始
まるのが大スタント大会。通にしかわからない映画『バニシング・ポイント』
に登場した70年代型ダッジ・チャレンジャーに試乗し、ボンネットに乗って、
危険なスタントを始めるのです。

いやぁ〜、このカーアクションが半端じゃないんですよ。CGナシのすべて生
身の本気モード。迫力があるとか、そういう次元を越えた凄まじいアクション
です。

そこに絡んでくるのが、例のスンタトマン・マイク。女の子たちに危険なちょ
っかいを出すものの、それが原因で恐怖の復讐劇に見舞われるという痛快な展
開。ここでのカーアクションもまたしてもけた外れの迫力。CGを使ったアク
ションがいかにもセコく思えてくる超ド級のアクション。

それにしても、前半のコワさがウソのようなスタントマン・マイクの情けなさ。
あのコワい前半があるからこそ、クライマックスで観客は胸がスッとするんで
すよねぇ〜。

スタントマン・マイク役のカート・ラッセルのコワさと情けなさの両極端の演
技も印象的でしたが、やはりこの映画で一番目立っているのは、スタントウー
マンを演じたゾーイ・ベル。本物のスタントウーマンで、ユマ・サーマンのス
タントをやったことからタランティーノに抜擢されたとか。

B級テイスト満載のくだらない映画なれど、タランティーノの意気込みと出色
のカーアクションは見応え十分。個人的にはかなり満足。

しかし、女は強い。てか、コワイよなぁ〜。

《ぽちの満足度》
★★★☆☆

《ぽちのオススメ度》
★★☆☆☆(+1/2★)
(延々続くガールズトークには飽きたものの、カースタントは見応えタップリ。
クライマックスは誰もがスッキリ。特に女性は大拍手では?)
                            <ぽち>
〔鑑賞データ〕
2007年9月8日(土)池袋シネマサンシャインにて。午後4時30分の回。


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