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トンマッコルへようこそ（WELCOME TO DONGMAKGOL）
（2005年 韓国）（上映時間 2時間12分）
監督：パク・クァンヒョン
出演：シン・ハギュン、チョン・ジェヨン、カン・ヘジョン、イム・ハリョン、
ソ・ジェギョン、リュ・ドックァン
＊シネマスクエアとうきゅう、シネ・リーブル池袋ほかにて公開
ホームページ http://www.youkoso-movie.jp/
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＜ストーリー＞
朝鮮戦争が続く1950年代初頭。"トンマッコル"と呼ばれる人里離れた村に、あ
る日アメリカ人パイロットが操縦する飛行機が不時着する。その後、道に迷っ
た韓国軍兵士２人と北朝鮮人民軍の兵士３人もそれぞれ村に姿を現す。鉢合わ
せとなった両軍の兵士は対立するが、戦争のことなど知らないのんびりした村
人たちによって、やがて少しずつ打ち解けていくのだが……。
＜レビュー＞
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現実のシビアな問題を見据えた、ほのぼのヒューマン・ファンタジー
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韓国映画って、そのものズバリではなくても、南北対立や米軍問題などの社会
問題が背景にあると、とても味わいのある映画になる気がします。
この映画の背景にあるのは朝鮮戦争。ユートピアのような平和な村に、アメリ
カ兵、韓国兵、北朝鮮兵という三者が訪れて、最初は対立するものの、しだい
に打ち解けていくという物語。
まず目を引くのは映像の美しさ。ポップコーンの雪、たくさんの蝶々など、印
象的なイメージショットが多用され、ファンタジックな映像が満載。まさに
ユートピアそのものの雰囲気を生み出しています。
そこに持ってきて宮崎アニメなどでおなじみの久石譲の音楽が、これまたファ
ンタジックなんですよねぇ〜。
村人たちも純朴そのもので、最初にイガミ合っていた兵士たちが仲良くなって
いくところも、「こういう村に暮らしているんだから不思議じゃないよなぁ
〜」と納得させられてしまいます。
その過程をつないでいくイノシシ退治などのエピソードもどれも印象的です。
そして、この村のファンタジックさを、最も象徴している存在といっていいの
が、『オールド・ボーイ』のカン・ヘジョンが演じる村の娘。まるで妖精その
もののような彼女の言動が、とげとげしかった兵士たちの心に人間らしさを取
り戻させていきます。クリクリした目がたまんないですよねぇ〜。
実力派シン・ハギュン、チョン・ジェヨンをはじめ個性的な兵士たちも存在感
タップリ。
こうして、純朴な村人たちと美しい自然に包まれて、対立を乗り越えひとつに
なった兵士たち。しかし、このまま何事もなく過ぎていくように思えた頃、そ
こに厳しい現実が迫ってきます。
で、ここからは一転して戦争アクション映画のような展開が待っています。詳
しい経緯は内緒にしておきますが、ここで兵士たちは以前のように命令されて
戦うのではなく、自らの意思で行動していきます。そして、その結末は……。
押し付けでなく、さりげない感動のラスト。それと同時に迫ってくるのは、こ
の物語を現実の世の中とつなげたいという、つくり手たちの意図です。
これは昔の話、それもほとんど寓話に近い話ですが、それを通して描かれるの
は平和への願い。現在も韓国、北朝鮮、アメリカというように対立する人々が、
トンマッコルの兵士たちと同様に、いつか対立を乗り越え、平和に暮らせる日
が来ることへの切なる願いが感じ取れるのです。
それを「ただの理想」と笑う人は笑ってください。理想のない世の中が良くな
ることなんてないはず。理想を語れない世の中って恐くありませんか？
《ぽちのオススメ度》
★★★★☆
（ファンタジーと社会問題をきっちり結び付けた見応えあるヒューマンドラマ。
心に染みる映画です。）
＜ぽち＞
〔鑑賞データ〕
2006年10月28日（日）ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午後1時30分の回
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