デュプリシティ スパイは、スパイに嘘をつく
(DUPLICITY)


(2009年 アメリカ)(上映時間2時間5分)
監督・脚本:トニー・ギルロイ
出演:クライブ・オーウェン、ジュリア・ロバーツ、トム・ウィルキンソン、
ポール・ジアマッティ、デニス・オヘア、トーマス・マッカーシー、キャス
リーン・チャルファント、ウェイン・デュバル、カーン・ベイケル
*TOHOシネマズみゆき座ほかにて全国公開
ホームページ http://duplicity-spy-spy.jp/
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<ストーリー>
トイレタリー業界の新興企業エクイクロム社の社長ディック(ポール・ジアマ
ッティ)は、業界トップのライバル会社B&R社が驚異的な新製品を開発した
との情報をキャッチする。その情報を入手するため活動していたエクイクロム
の産業スパイ・チームに、元MI6のレイ・コヴァル(クライブ・オーウェ
ン)が加入する。一方、彼と因縁浅からぬ元CIAのクレア・ステインウィッ
ク(ジュリア・ロバーツ)は、B&R社のスパイとして雇われていた。だが、
実はその裏では……。

<レビュー>
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産業スパイの男女が演じる駆け引き。そしてラストの大ドンデン返し
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『フィクサー』(2007年)でオスカー候補となったトニー・ギルロイ監督によ
る新作。新製品を巡るライバル会社同士のスパイ合戦と、その中で暗躍する1
組の男女の姿を描いたクライム・サスペンスです。

トイレタリー業界を舞台に業界トップ企業と新興企業がくり広げるスパイ合戦
は、「本当にこんなことあるのか?」と思うほどの熾烈な戦い。禁じ手なしで、
あれやこれやと策略を繰り出す両陣営は、まるでCIAかMI6のようです。

それもそのはず、両社のスパイ・チームには、それぞれ元MI6のレイ・コヴ
ァル、元CIAのクレア・ステインウィックというホンモノの元諜報員がいま
す。2人の虚々実々の駆け引きは見応えタップリ。そんな2人を中心に、過激
なスパイ合戦の行方を時間を行きつ戻りつしながら描きます。

観ているうちに混乱してくるのがレイとクレアの関係です。はたして2人は仲
間なのか、それとも敵なのか。最初の出会いではクレアがレイをだましたもの
の、その後の関係は二転三転。一応、クレアは二重スパイとして潜入していて、
レイとは仲間同士ということになっているものの、その裏にはいろいろなこと
がありそうに思えてきます。

自制を組み替えることによって、観客をどんどん混乱させる仕掛けが効果的で
す。あまりに凝った脚本で、途中で混乱してしまう人もいそうなほどです。

そして、この映画の真骨頂はラストの大ドンデン返しにあります。新製品の化
学式をめぐって、両社のスパイが演じるスリリングな戦い。はたして、勝負は
どちらに軍配が上がるのか。そしてレイとクレアは何を企んでいるのか。そこ
で登場するドンデン返し。巧妙な駆け引きを演じるレイとクレアという図式を、
根底からひっくり返す驚きの結末です。

正直なところ、途中まではそれほど魅力的に思えなかったこの映画。スパイ同
士のだまし合いは堪能したものの、レイとクレアの恋愛模様がやや中途半端だ
ったりして……。

しかし、最後のこのドンデン返しと、そこに至るスリリングな経過だけで、一
気に好感度がアップ。そういう意味で、なかなかニクイ映画です。

《ぽちの満足度》
★★★☆☆

《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆
(ラストの展開だけで一気に評価がアップ。ジュリア・ロバーツとクライブ・
オーウェンの駆け引きが楽しい映画です。)
                             (田中ひろあき(ぽち))

〔鑑賞データ〕
2009年5月2日(土)新宿武蔵野館にて。午後3時50分の回


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