エグザイル/絆(EXILED/放・逐)


(2006年 香港)(上映時間1時間49分)
製作・監督:ジョニー・トー
出演:アンソニー・ウォン、フランシス・ン、ニック・チョン、ラム・シュー、
ロイ・チョン、ジョシー・ホー、リッチー・レン、サイモン・ヤム、ラム・
カートン
*シネマスクエアとうきゅう、シアター・イメージフォーラムほかにて全国公

ホームページ http://www.exile-kizuna.com/
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<ストーリー>
中国返還間近のマカオ。香港マフィアのボス、フェイの命を狙ったために逃亡
の身となったウー(ニック・チョン)が戻ってくる。彼の前に現れたのは、
ウーと一緒に育った4人の仲間たち。そのうちの2人はフェイの命令でウーを
始末するために、そして残りの2人はウーを守るための訪問だった。再会と同
時にウーの家で銃撃戦が始まるのだが……。

<レビュー>
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ジョニー・トーによる緊迫感と熱気に満ちた香港ノワール
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「エグザイル」といっても日本のヴォーカル&ダンス・ユニットの映画ではあ
りません。ハリウッドも注目の香港の鬼才ジョニー・トー監督による香港ノ
ワール。

香港ノワールといえば2002年に『インファナル・アフェア』という傑作が登場
して、その後はどうなるかと思いきや、またまたこんなスゴイ映画が出てしま
いました。

中国への返還間近のマカオ。生まれて間もない子供を抱えて妻が夫の帰りを待
っています。その夫とは香港マフィアのボスを銃撃して逃亡していたウーとい
う男。そこに現れたのがウーと一緒に育った4人の男たち。しかし、今では彼
らの立場は二分。2人はボスにウーを殺すように命じられ、そして残りの2人
はウーを守ろうとします。そして、ついにウーが戻ってきて……。

冒頭から間もない室内の銃撃戦が、スタイリッシュで迫力満点です。カメラ
ワークが巧みだし、部屋にあるアイテムを巧みに使うなどディテールにもこだ
わっています。

続いて、一転して5人が仲良く荷物を運んだり、大工仕事をしたり、食事をす
るシーンが登場。それらを通して、彼らの過去や現在の微妙な立場を端的に説
明してしまうから見事なもの。

その後は、複雑な関係の5人がワケあって一緒に行動することになり、殺人を
請け負います。現場となるのがオシャレなレストラン。ここでの銃撃戦もまた
見応え十分。直後のヤミ医者の家での銃撃戦ともども、素晴らしいアクション
シーンです。

後半は5人が4人になり、またしても思わぬ出来事に遭遇していきます。前半
に張られた伏線を生かして、意外なドラマが展開されます。ウーの妻が大きな
役割を果たして、そして迎える最後の銃撃戦。

この銃撃戦も、時間は短いけれど濃密です。ラストにはらりと落ちる写真が印
象的。終わり方もカッコイイですねぇ〜。

全編にヒリヒリするような緊迫感が漂う映画です。銃撃戦の素晴らしさだけで
なく、屈折した関係にありながらもけっして裏切らない、男たちの友情にシビ
れまくりました。しかも、合間にはユーモラスなシーンやリラックスしたシー
ンをはさんで、メリハリがうまくつけられています(退職間近の刑事なども、
いいアクセントに……)。女性も活躍しますが、やはり男のドラマという感じ
です。

俳優陣では、ウーをねらう男を演じるアンソニー・ウォンが最高。こんなに沈
黙が似合う役者はいません。カッコよすぎ。

さらに、フランシス・ン、ニック・チョン、ラム・シュー、ロイ・チョンとい
う4人の男たちも、いずれもゴツゴツした存在感があります。ウーの妻役のジ
ョシー・ホーも好演(マカオのカジノ王スタンレー・ホーの娘さんだとか)。

アクションシーンだけでなく、すべてにおいて完成度の高い映画。香港ノワー
ルの近年の代表作の一つといえそうです。

ちなみに、ジョニー・トー監督は、ジャン=ピエール・メルヴィル監督の『仁
義』をオーランド・ブルーム主演で監督予定だそうで、そちらも楽しみです。

《ぽちの満足度》
★★★☆☆(+1/2★)

《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆
(見事なガンアクションと男たちのヒリヒリするようなドラマにノックアウト
されました。ノワール好きでない方にもオススメ。)
                              (ぽち)
〔鑑賞データ〕
2008年12月6日(土)シネ・リーブル池袋にて。午後4時35分の回


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